アジア新興国事業の本当の敵は内にいる ― 既存ディストリビューターという最大の壁
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この放送の要点
- 日本企業のアジア新興国展開は20〜30年間ディストリビューター主体で進んできた。
- 彼らは売りやすい商品を売りやすい場所に売る。それ以上の拡大は投資と捉えて動かない。
- 現実解は既存を残したまま、別エリアに新しいディストリビューターを追加すること。
- ただし従来と同じやり方では、言うことを聞かない相手が2社に増えるだけになる。
日本企業のアジア新興国事業は長年ディストリビューター任せで進んできたため、成長の踊り場に差しかかると彼らの論理とぶつかります。ディストリビューターは売りやすいものを売りやすい場所に売るのが基本で、一定規模を超える拡大には動きません。既存を維持しつつ新規を追加する場合も、従来と同じやり方では言うことを聞かない相手が増えるだけで、業界標準を基準値とした販売チャネルの再設計が欠かせません。
テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDER INITIATIVEの森辺です。今日で3回目ですかね、「本当の敵は内にいる」という、このドキッとするようなタイトルで3回目ですけども、今日は、ディストリビューターが敵になってしまうということについてお話をしていきたいと思います。長年ディストリビューターと付き合いをしてきていて、多くの日本企業のアジア新興国展開ってね、やっぱりディストリビューターに任せてきたという歴史的背景があるんですよね。もう20年、30年、ディストリビューター主体でやってきた。自分たちは後方支援はしているものの、やっぱりつくる人だし、売るのはディストリビューターと、そんな中でやってきたので、ディストリビューターがやっぱり発言力も強いし、市場のことは、やっぱり売ることはディストリビューター。ただ、ここに来て、今のファンダメンタルズを見てもそうだし、マクロ経済的にアジア新興国を見たときに、もっとやれるはずだ、もっとやらないといけないと、そういう状況の日本企業って結構たくさんいて。ただ、今のディストリビューターにいろいろ言っても、「それは駄目だ。あれは駄目だ」と何か理由をつけて、なかなか自分たちがやりたい方向に進んでいかない。だんだん、だんだん、ディストリビューターとの関係がぎくしゃくしてきて、「どうしよう、ディストリビューター替えるべきか。別のディストリビューターを追加するべきか。どうしよう」という、こういう状況の企業って非常に多くて。これも「敵は内にいる」ということは、まさにディストリビューターで。
ディストリビューターって、自分たちの販社じゃないんですよね。自分たちの販社だったとしても、開発と販社で意見が分かれてみたいな、販社は分かっていないとか、開発は分かっていないとか、そういう問題は同じ会社でもあるわけですよね。組織が分かれるとね。人が3人以上できると意見が分かれるというのは人間ですから。これはやっぱりディストリビューターなんて身内じゃないし、あくまで外部の企業ですから。彼らは彼らの理屈で動いているわけですよね。ディストリビューターの基本は、メーカーがやりたいことをやるんじゃなくて、自分たちが一番売りやすいものを売りやすい場所に売るということが彼らのビジネスのモットーなんですよね。これが一番彼らにとっての投資対効果が良いから、ROIが良いから。これが契約当初はメーカーのやりたいこととディストリビューターのやりたいことは合致するんだけども、ある一定度まで成長が来ると、メーカーはもっとやりたいと、もっともっとと。ディストリビューターは、いや、これ以上やろうとすると、さらに経営資源を投下しないといけない、人を増やさなきゃいけない、トラック増やさなきゃいけない、業務が複雑になると、大変ですと、今のままが一番いいというところに来るわけですよね。そうすると、やっぱり何を言ってもなかなかポジティブにいかないという、こういうステージ。これもやっぱり、今までそういうスタンスでやってきたメーカーの責任がまずあるということを理解しつつも、このままの現状だと絶対に変わらない。僕の過去の経験で、そういうふうに陥ったところとね、そのディストリビューターにいくら鞭を打とうが、飴を与えようが…。まあまあ、飴はいっぱい与えたら動くかもしれないですけど。でもね、与えた飴分の成果が出るかと言ったら出ない。やれるんだったらもうやっているんですよね。ディストリビューターのやれることはもう全部やって今で、それ以上いかないというのは、それ以上のエリアとか、それ以上の、B2Cだったら小売とか、それ以上のチャネルとかっていうのは、彼らはもう売れないわけですよね。だから、今の状態が彼らにとっては最大限やっていますと。ここからさらに成長したい場合は、この今のディストリビューターをある程度維持したまま、別のディストリビューターを別のエリアで追加していくということが実際には現実的。もちろん抵抗はあるんだけども、それで、じゃあ、もうやめるというようなディストリビューターには僕は1社も会ったことがない、華僑の、8割華僑のファミリービジネス、ある程度ビジネスが今あって、それを感情論に任せて捨てるなんていうことは絶対にしないので、基本的には新しいディストリビューターとやっていくと。
ただ、ここですごく重要なのが、新しいディストリビューターと今までのやり方でやったら、結局言うことを聞かないディストリビューターが1社から2社になるということになるので、いかに新しい方法でやっていくかということなんですよね。じゃあ、新しい方法ってどういう方法なの?といったときに、やっぱり日本企業の多くは今まで基準値をもって自分たちのチャネルをつくってきていないので、ただパートナーを見つけて、「良さそうだ。でかい。良いとこだ。さあ、やってください。頑張ろう、一緒に」ってやってきたので、それが相対的にほかの主要な競合と比べてどうなのかというのは見えてないんですよね。そうすると、どういうやり方が今の業界標準なんだろうと、競合の標準なんだろうと。それをベースにやっぱり新しいやり方でやっていく。ひいては自分たちの既存のディストリビューターとのやり方も変えていくような、そういう取り組みにつなげていかないと、やっぱりこれはなかなか将来的にも難しくなるので、そういう意味では良いチャンスというふうには思います。新しいディストリビューターと何か新しい取り組みをやるときに、既存のディストリビューターは「なんだよ」という目で見ているわけですよね。「ほら見たことか。失敗したじゃないか」と言われたら、もう完全に力関係は終わってしまうので、この新しいディストリビューターとの取り組みを始めるときはやっぱり本当に戦略的にやっていかないといけないし、「とにかくまたディストリビューター、良いところを見つけてやればいいんでしょう」ぐらいの、こういう話だとちょっとなかなか難しい、そんなことになるので、そこはしっかりと気をつけないといけないと思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。



