東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:では森辺さん、今日は始める前にちょっと、
森辺:宣伝がございます。すみません。FacebookとTwitterでですね、いろんな海外の情報を配信しておりますので是非、承認ボタンでですかね、リクエストボタンを押していただければと思います。私個人のやつもありますし、会社のもございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
東:個人のアカウントは
森辺:森辺一樹で検索をすると、出てくると思います。あと、SPIDERのはSPIDERで出てくると思います。
東:よろしくお願いします。じゃあ森辺さん、前回はですね、日本企業が海外に出たときに、こういう傾向で失敗するよねっていうのをお話しいただいたと思うんですけれども、じゃあ実際に今後、もしくは今やっていて、どういう形で海外の販路っていうのを構築していったらいいかっていうところは、まず戦略面から始まると思うんですけども、どういったことから考えればいいんですかね。
森辺:そうですね、大きく言うと参入戦略を立案するって話なんですけど、前回も少しちょっとお話ししたかもしれないんですけど。参入戦略を立案するのにまず必要なものってインプットなんですよね。インプットって何かっていうと知識ですよね。そこに経験が備わってるとよりいいんですが、当然経験を持つっていうのは時間があるんで、ただ少なくとも知識っていうのは入れないと戦略がたたないので、闇雲進出になってしまうと。そうするとそのインプットを、つまりは知識を増やすのに、いわゆる4Cというのを私は必ずお客さんのためにやってるってのは4Cですよね。
東:じゃあ、その4Cってのを一つ一つ具体的に簡単にでいいので教えていただきたいんですけど。
森辺:Company、自社ってのが一つですよね。もう一つ目はCustomerで市場で。もう一つはCompetitorで競合。で、最後がChannelで流通ということなんですが。基本的にその自社の強み弱み、経営資源を自己分析するっていうことと、あと客観的にそれを評価してもらう、っていうことをまず一つしないと、自分たちの戦闘能力が測れないんですよね。ですから海外で戦う上での自分たちの戦闘能力をしっかり見つめなおしましょうと。ここは実は弱いと思ってるところが強かったりとか、強いと思ってたところが実は海外では全然強くなかったりってことはあるので、自分の観点と、他者観点というか第三者観点の二方向で見るのが一番いいですよと。
市場に関しては、出る市場っていうのが儲かる市場なのか、本当に大丈夫な市場なのかってことを見ていかないといけない。これは国決めの時にすごく使うんですけど、なんとなくまんべんなくアジアっていうんではなくて、一番成功確率が高いところに出て行かないと、プライオリティつけるわけじゃないですか、だからなんとなくベトナムが騒がしいからベトナム、とかね。ミャンマーが騒がしいからミャンマー、インドネシアが騒がしいからインドネシアっていうんじゃなくて、ほんとに自分たちのビジネスにとって、どこがおいしいのかっていうことを見るための情報集めなんですけど。それが市場ですよね。
競合っていうのは、その市場には当然競合がいるので、出たときにどういう強い相手と戦わなきゃいけないのか、もしくは弱いのか、そういうことを見ていかないと。結局その儲かる市場で競合と戦って勝つから儲かるわけじゃないですか。なのでここは非常に重要ですよ。
あと最後が、流通なんですが、特にアジア新興国は、例えば一般消費財だと伝統小売網が非常に大きいですよね。近代工業よりも大きいウェイトを持っているので、その伝統小売でいかに間口を広げるかっていうことが一つの重要な課題になってくるので、その流通を知る。さらには流通構造を知っていくっていうことをやらないといけないと。B to Bに関しても同じで、流通は、小売りではないですけども代理店チャネルを作っていいって、その代理店の中にはいろんなややこしい商習慣っていうのがあるので、その実態をしっかり見ていかないといけないし、代理店が日本のように優秀ではないということを考えていくと、教育をしたり管理をしたりしていかないといけないので、その実態を可視化していく。それを私は勝手に4C という風に呼んでいるんですけども。こんなことをやらないと、戦略なんて絶対に生み出せないので、これは必須項目になると思います。
東:はい、わかりました。もう一回4Cを頭文字だけでいいので、教えていただきたいんですけど。
森辺:Company 自社、それからCustomer 市場、Competitor 競合、Channel 流通、と、この4つになります。
東:わかりました。これは参入戦略とか、どっちかっていうと短期的に立てなきゃいけないときに最初に使う、当然これはずっと使っていくものだと思うんですけど、最初に重要性が結構ウェイトが占めるものだと思うんですけれども。結構日本企業って、中長期的に欧米企業の考え方があるんではないかなと思うんですけども、海外ビジネスとか海外事業とかグローバルを取りに行くときに、日本企業と海外とか欧米の国の企業って、考え方が戦略にあるのか、もしくは一緒だけども歴史が欧米のほうが長いから欧米のほうが先行しているのかってところをどう思われますか。
森辺:一言でいうと、欧米企業は戦略的で、日系企業は属人的なんですよ。そこが全然違っていて。先進グローバル企業っていわれている欧米企業と日本の先進グローバル企業は、海外展開が戦略的なのが欧米、属人的なのが日本、っていうのが一つ大きい違いですよね。
さっき言った4Cなんかは欧米の先進グローバル企業はいやっていうほどやっているんですよね。緻密な戦略を立ててその戦略を仮説として一旦おいて、それを検証しながら仮説を調整調整調整ってやっていくわけですよね。でも、日本企業の場合は、この一番最初にやらなきゃいけない4Cを非常に軽視をして、市場に出てしまって、あと駐在員のいわゆる出来で業績を何とかしようとするというのが非常に大きいですよね。
あと、海外ビジネスの中長期的な視点も結構違っていて、どの程度の規模のビジネスを何年で臨むのかっていうことってすごい重要じゃないですか、海外事業をやるときに。当然日本企業もこれはあるんですね、100億やりたいとか、500億やりたいとか。結局重要なのって、本当に現実的にその数字ってリアルなんですかっていうことなんですよね。それを達成するために、利益曲線が当然、投資が最初はかさむのでへこむわけじゃないですか。そうすると自分たちの企業がどこまで投資ができるのかできないのかみたいな、いわゆる一番最初のところですよね。ココがやっぱり固まってない、明確じゃない。だから撤退のタイミングも明確にならないんですよね。
もっというと、その4Cの前ですよね。もうこれ経営マターになってくるんですけど、一体、海外でいくらやるのと。結構それが現実的な数字を算出するために4Cをやるものなので、そこがちょっとぼやーっとしちゃってるってのは一つありますね。
東:事例というか、森辺さんなりに、欧米企業と日本企業の長期的な視線って今いわれたんですけど、決定的に違うところはどういうところですか。
森辺:たとえば、ASEAN、アジア新興国への進出を見たときに、具体的な名前出しちゃうと、欧米の先進グローバル企業、P&Gとかユニリーバのことを僕は言ってるんですけどね、彼らは欧米の市場はもちろんなんだけども、アジア新興国といったら圧倒的に市場規模がでかいのBRICsじゃないですか。Brazil、Russia、India、China 中国と。そうすると、ここの市場に対する投資の強弱って明確で、ここの市場は絶対に取る、絶対に勝つっていう強い意志と戦略がそこにはあるんですよね。そのBRICsに比べたらASEANなんて小国なわけですよ。そうすると、ASEANとBRICsの投資の強弱が全然違う。
一方で日本企業は、欧米で勝てないわけじゃないですか。P&Gやユニリーバに。だから、アジア新興国なんだけども、その中でもBRICsっていうアジア新興国の中で最も市場規模が今後も今も大きい市場は、なかなか腰が引けてて、手の出しやすいASEANをなめるようにやると。利益が出てる国の、シェアが取れてる国の利益をシェアの取れていない国にまわしていてトータルで利益は稼ぎ出してないみたいな。
だから万遍ないんですよね、強弱がないっていうか。結局、海外事業なんで投資なので、その強弱が欧米グローバル先進企業は明確、日本企業はなめるように万遍なくで。海外売上比率は上がったって胸を張って株主総会では発表するんですけども、じゃあ実際に海外利益率はどうなのっていうとそうでもなかったり、っていう企業が非常に多いですよね。
東:なるほど。じゃあ今日は少しお時間が来ましたので、次回も少しその辺のP&Gさんとかそういった具体例をお聞かせいただければと思います。今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。