東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、本日はどんな話を。
森辺:はい、引き続きハウス食品の広浦専務をお招きして。広浦さん、今日ちょっと私一点だけ質問をしたいんですけど、ずっと前からすごく思っていたハウス食品に関することなんですけどもね。カレーの事業を今中国でやられてるじゃないですか。豆腐の事業も米国で1983年からやってると。そんな中で豆腐がまだアメリカ人にとって聞いたこともない見たこともないような時代、まだ豆腐ブームが来てない、健康ブームが来てない時代からアメリカで豆腐をやるっていうことに対して、ものすごく苦労と根気強さと信念といろんなものを背負いながら、ひたすら豆腐事業を米国で頑張ってきた御社の先人たちがいらっしゃって。今、カレーの事業が10年弱くらい10年くらい経つんですかね、中国で。これもまた中国人にとってカレーがそんなに身近でないところから根気強くカレーを人民食にということでやられてきて。このなんていうんですかね、日本の企業に足りない海外事業における信念と根気の強さ、御社の強みの一番の軸なんじゃないかなという気がしてましてですね。恐らくほかの会社さんがカレーを中国でやってたら途中であきらめてたような、そんな気もしないでもないんですよね。これってたぶんハウスのDNAなんじゃないかって勝手に思ってるんですけど、一体何がここまでこうさせたんですかね。何が御社を動かしてるのかなってのはすごく興味がありましてですね。非常に中長期で海外の市場をとらえて、そこに中長期で投資をされている。多くの企業が短期的なRIを見て、だめだったらすぐ撤退みたいな、こういう海外展開をやる中、僕は御社のとられてる経営戦略というかやり方ってのは非常に学ぶものが多いと思うんですけど、その辺いかがですかね。
広浦康勝(以下、広浦):はい。食文化を変えていこうという我々の取り組みですので、この文化を変えていくということについては、そんな短期の覚悟で出れないっていうんですか、それなりの会社としての覚悟をして展開を意思決定しなければならないかなと。ですから中国の展開ってのも当然、我々の覚悟としては食文化を作っていくんだから時間は長くかかるし、それなりの苦労もあるしと。それでも、マーケットとしても中国は大きいですよね。海外の全体の戦略からしましても無視できない、重要なエリアだと。いろいろ今問題等ありますけど、それを乗り越えていく企業が多分中国で認めていただける企業になっていくのではないかなって理解しています。
それと、ハウス食品、ハウスという会社名そのものの理念の理解なんですけど。創業の精神でもありましたように、ファミリーのイメージでありますとか。特に親がですね、子供の成長を思う気持ちであるとか、家庭を大切にしていく。そういったことに対して、我々食を通じてどれだけ貢献できるのかどうか、ここがハウス食品の企業の理念なんですよね。中国での展開については、いくらこのハウス食品という風にいっても、コーポレートブランドを強く打ったとしても、なかなか展開できませんから。それを我々は製品ブランドであるハウスバーモンドカレーにですね、このコーポレートブランドを展開させる一つの役割を込めて我々はハウスバーモンドカレーを主力のブランドとして、お客様とコミュニケーションしていくということに注力をしてきたんです。
ですからバーモンドカレーのブランド理念っていうのは、子供の元気、家族の笑顔を作るブランドでありたいというのが、このバーモンドカレーの大きな使命ですので、それを通じてお客様とコミュニケーションしていくというものを地道に展開していこうではないかという風に考えています。
森辺:広浦さんとお話ししていて感じるのは、恐らく今4つの地域で海外事業をやられてる中で、すべての地域において恐らく一番最初の海外事業展開する上で企業がもっとも重要視しないといけない覚悟の部分が、多分もうしっかり杭がぶすっと刺されたうえで海外事業を展開されてるんだなって気がしてて。海外事業って意識の部分とテクニカルな部分っていうのがあると思うんですよね。以前、広浦さんにお聞きした、とにかく食べていただくためのいわゆる試食会をやるっていう、これはテクニカルな話ですよと。それ以前にやっぱりその経営としての一番最初の覚悟、中長期の投資になるぞという覚悟っていうのがやっぱり非常にしっかり設定されてるってことなんですね、きっとね。
広浦:先般もちょっと違うところで同じようなご質問いただいて答えたんですけど。我々、海外事業と革新っていうんですか、展開していくときのどういったところの行動を重視しようかっていうところを常に確認しているわけですよ。その根本の一つにリーダーシップをやりきる力っていうところがありまして、これを生むもっとも重要な要素っていうのが、今まさにご説明ありました、覚悟をもって取り組むっていうことと、会社の覚悟なんですよね。ですから会社の覚悟をいかに前線、各エリアで頑張ってるみんなにきちっと伝えていく、ということも。非常に泥臭い話ですけど、ここが伝わらないと前線も心配でやっていけない。それが少しロングタームで事業を育成していくっていうことに対して、短期間の損益等々で判断しないよと、いう個々の意思決定にも大いに関係しているのではないかなという風に。
森辺:ものすごくわかります。私こういう仕事をしてると、日本の本社の海外事業部と現法のいわゆる最前線で戦ってる人たちとの意見のすり合わせと事実のすり合わせみたいなことをやることがすごくあるんですけど、やっぱり本社は本社で現場が言うことを聞かない、現場は現場で本社は何もわかっていないっていうのが大概の日本の企業の海外事業をやられてる本社と現地法人の構図なんですけど。結局、現地法人に会社としての覚悟がしっかり伝わってるから現地法人も頑張れる、自分たちも個人が、現法自体が覚悟を持ってるっていう、そういうことなんですよね、きっとね。それが多分すごく素晴らしい仕組みになってるっていうのがハウス食品の特徴なんだなっていうのを、今日お話ししていてすごい感じました。
わかりました。広浦さん、ちょっとまた、今日もお時間来てしまいましたので、また次回どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
広浦:ありがとうございました。