東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:では森辺さん、引き続き今日はどういう話を。
森辺:引き続きハウス食品の広浦専務をお招きして今日もお話をしていきたいと思います。広浦さんどうぞよろしくお願いいたしします。広浦さん、前回、前々回と御社の海外展開のお話ならびに中国事業のお話を少しお聞かせ深くさせていただいたんですが、今回はタイとベトナムの展開について少しお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。
広浦康勝(以下、広浦):分かりました。タイ、ベトナム、ここ数年のまだ短い時間でチャレンジした事業ですのでまだまだ先行投資の期間、勉強中というスタンスです。どのようにしてエリアを決めて、そのエリアで何を提供していくのかっていうところなんですけど、最もポイントにあげてますのは、ニーズがあるかどうかっていうことと、今はニーズがなかったとしてもニーズが生まれる可能性があるのかどうか、ここをどのように見極めていくのか、というところがベースだという風に思ってます。
ですから、まず対象ニーズの理解をすると。そのニーズに対して我々は提供するものを決めるんですけど、そこで日本であるブランドを持ってくっていうのも考え方としてはありますし、これはタイのC-vittの事例です。ベトナムの展開につきましては、ハウス食品グループが持ってる技術ですね。具体的に言いますと粉体でありますとかレトルト、ルー。それと機能性素材から行きますとスパイスとかビタミンという機能性素材、そういった技術をいかにベースとしてそのエリアで提供できる、お役立ちできるものがないのかどうか。ベトナムの展開事例としては我々その粉体の技術を使ってベトナムの方の食生活に役立つものはないんだろうかと。少しベトナムの展開はそういう発想での展開です。
森辺:タイのC-vittは結構あれですよね、見た目もC1000の見た目と近くて、コンビニなんかはだいぶ入って。
広浦:非常にタイはご存知のようにモダントレードの展開術っていうのは、少しまだ進んだ状況がありますので非常にコンビニエンスではよく売れてます。しかしトラディショナルなルートに対しても注力してますので、そのウェートは徐々に解決していきたいと。
森辺:そうですね、タイは今2割ぐらいがモダントレードで8割ぐらいがトラディショナルなので、じゃあこのC-vittはトラディショナルトレードも今後さらに、
広浦:バランスはそこをとろうと。しかし半分以上はモダントレードですね。
森辺:今後の展開ということですよね。なんか今ちょっと、モダントレードとかトラディショナルトレードのお話が出たんですけど、チャネル構築が日本企業がもっとも今、難しさを感じている一方で、そこへの投資にやっぱり経営資源を集中させてきていて、結局売上げを作るのはチャネルになってくるので、チャネル構築の重要性がすごく上がっているんですよね。その中で御社にってのチャネル構築ってどんな風なものですかね。どんなポイントがあるとか。
広浦:実際に展開してまして、やはり一番重要な課題でもありますし、チャネル構築ってのは一番やはり難しいなっていうんですか、という風に実感しているのが現状ですね。チャネル構築のポイントっていうんですか、大きくこだわりたいなって思ってますのは、顧客が見えるのかどうかってところですかね。
お客様が我々見えない限りですね、売っていただいてるだけってのはこれは中期的に見て、メーカーとしてですね、ひとつの課題になってくるのではないか。そういう意味では、いかに顧客が見える、我々としてですね、チャネルを構築できるのかどうか。それともう一つは、前回も中国のところでお話ししましたように、顧客との接点の最大化が図れるようなチャネル構築の戦略を立てないとだめだなって。チャネル構築という風にいいますと、どうしてもモダントレードであるとかトラディショナルトレードとかっていう話に陥りがちなんですけど、例えて言いますと、中国での今のe-commerceっていうんですか、ネットの売り上げってのはすごい伸展なんですよね。
森辺:5億円超えましたね、ついに。
広浦:だからそういう意味でのチャネルの顧客設定の最大化を考えたときに、面でとっていくような構築の考え方をするのかどうか。それと前回も言いましたけど、業務用っていうんですか、B to Bですね、ここのチャネルって言っていいかどうかですけど、を介したお客様とのリレーションていうのは特に、食文化を作っていくというスタンスで取り組んでいく事業については非常に重要なチャネル展開の戦略に位置づけられるのではないかなっていう風に考えますね。
森辺:前回お話しした、給食のチャネルなんかも、ものすごく大きいでしょうね。たぶん中国なんかもすごく大きいですよね。
広浦:やはり、子供さんに認めていただかないと、なかなか私どものカレーっていうのは発展が難しいですから。工場見学も積極的に受け入れてますね。
森辺:顧客の見えるチャネル構築って、すごく広浦さんがおっしゃったいい言葉だなと思ったですけど、おっしゃる通りで、多くの企業さんとお話しすると、チャネルの話っていうと、モダンかトラディショナルかっていう。だいたい皆さんおっしゃることって、モダンって正直リスティングフィー払って、何とかフィー払えば物は並びますよね。それをいかに継続的に売れるかどうか、棚から外されないで維持できるかっていったら、正直言ったら商品力なので、消費者が求めるか求めないかっていう話があって。
モダントレードは利益が出ない、少ないかもしれないけど、それなりにやらないといけないところだっていうのは皆さん共通の認識で、結構そのトラディショナルトレードの、いわゆるとうちゃんかあちゃんの小売り店、何十万店、何百万店ある小売をどうやって束ねて、マネージメントしていくかっていうことにだいたい皆さんフォーカスするんですけど。結局、どっちのチャネルにもその先には消費者がいて、そこを見えるチャネル構築にしないと、永続的に売り上げを上げていく、消費者の求めてるニーズに継続して答えてくってことって難しいので。よくよく考えたら当たり前なんですけど、すごくいい言葉ですよね。消費者の見えるチャネルを作るって。
広浦:だから、なんで売り上げが上がっているのか、なんで売り上げが下がってきたのかっていうのは、その向こうがある程度理解する能力を持っておかないと分からないんですよね。ただそこからの発注が落ちてきたっていう事実だけで。ですから、その先がメーカーとして理解できるように構築しておかないと、次の手が打てないんではないかなという風に思ってます。
森辺:その通りだと思います。チャネル構築の支援のお仕事をしてると、今お客さんが既存で持たれてるチャネルは、多くはその消費者が見えないんですね。ですから、セルスルーっていう概念ではなくて、どちらかっていうとチャネルのストックがどうなってるかってことしか見えてないって会社が結構多いので、消費者の顔が見えるチャネル構築って非常に印象的な言葉だなという風に感じました。そしたら広浦さん、ちょっと時間も来てしまったんですけど、最後にですね、今後の御社の海外事業の展望をお聞かせいただけると、いかがでしょうか。
広浦:目指す姿は、海外での売り上げが20%、利益で30%っていうのが目指す姿として、これはグループとして確認してる数字なんですが、それから行きますと、一旦目指すべき姿ってのを600億、15%。ここを掲げて我々今そこへのシナリオを仕込んでいるというところなんです。特に海外事業を展開する上で、すべて成長してますので、この現状からの考え方ではこのスピードにはついていかないな、という意味で、このあるべき姿をみなで共有して、アプローチをしていこうということについては非常に重要かな、という風に思っています。
今、14のSBUで先ほどの目標を達成していこうではないかという風に計画を設定してます。それと、そこへ展開するポイントということでみんなとも確認論議をしているんですけど、やっぱり製品ブランドありきなんですよね。ここをいかに高めていくのかどうか。それと、3点ありまして、2つ目は、ほんとに競争力のあるビジネスモデルを構築できるのかどうかという点。これは特にASEAN等考えた場合に、最先端を行く必要は全くないと。いかに最適なものを選択していくのかどうかっていうところの方がむしろ。ですから自動化のレベルであるとか、工業の品質のレベルであるとか。それは最適選択が求められるかなという風に思ってます。それと最後はやはり、組織と人の問題。グローバル人材っていうのを育てていく。むしろここが一番の課題だなっていう風に思っています。
森辺:なるほど、ありがとうございます。でも、前回お話しをうかがわせていただいた会社の覚悟って話あったじゃないですか。なんか、あれが御社にはしっかりあるのでグローバル人材を育てなくても、現場に行って戦う人たちは安心して海外事業に専念できる。だからそんないい会社なんじゃないかなっていうイメージがあるんで、これからもいろいろとハウスさんの海外展開をウォッチしながら研究をしていきたいなと思いますんで、今後ともよろしくお願いいたします。どうも、ありがとうございました。
広浦:ありがとうございました。