東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:では森辺さん、先週までアメリカに行ってたと思うんですけど、我々結構アジアが専門って見られがちですけど、意外とアメリカとかヨーロッパの市場もやってるんですけど。アメリカって今どんな感じだったかっていうのを教えていただけないでしょうか。
森辺:そうですね、アメリカ久々だったんですけど、僕の出張ってほぼ反対側じゃないですか、アジア方面なので。太平洋を越えることはそんなにないんですけど。久々に行って、相変わらず大きいマーケットだなっていうのは一つですよね。結構その企業の中で、当然アメリカやってる大企業さんほとんどやってて、その上でアジアというところは当然そうなんですけど。実はアメリカでいまいちうまく行けないから、ちょっと格の下がるアジア行こうみたいな会社さんもいらっしゃって。けどそもそも米国と比較してほんとにアジアなのっていうところから参入戦略作らないといけないから。結構、ご相談の10%ぐらいは欧米ってのあるじゃないですか、会社としてね。だから今回はプライベートもちょっと兼ねて半分仕事で行ってきたんですけど、可能性が非常に大きい。ほんとにアジア一辺倒でいいのかなっていうのはありますよね。
東:ちなみにどこに、どの辺に。西海岸か東海岸か。
森辺:カリフォルニアに行ってきたんですけど、ロス、サンディエゴ、サンフランですかね。あとベガスにもちょっと寄っちゃいました。そんなところです。
東:その、可能性があるっていうのは、具体的に、アジアと比較していただいても日本と比較していただいてもいいと思うんですけど、どんなところにそれを感じるっていう。
森辺:僕がいま力を入れてご支援してる、食品日用品の業界に関していえば、単価が日本と変わらない、もしくはむしろ日本より高いんですよ。結局アジア行って苦しむのって、安いものをいかに伝統小売に売ってくかみたいな話じゃないですか。そこで苦労があるわけですよね。投資回収が何年だとか。アメリカってやっぱ伝統小売というか、小売りが近代化されてますよね。その中でものすごい数の近代小売りがあって、そこで売られてるものがやっぱりでかいんですよ、なんでも。たとえば、キャンディーでも500gドーンみたいな。
東:Costcoで売ってるイメージがそのままですよね。
森辺:あれって、製造業にとっては絶対に楽だし、コスト競争力っていうか、利益率はいいはずなんですよ。小分けにして、いわゆるケース代のほうが中身より高いとかね。いちいち、ちっちゃくしていかないといけないとか、そういう問題が日本はあるじゃないですか。けどなんか、ドーン、ガサっみたいな、それってすごく楽なんですよね、メーカーにとっては。だからそういう市場であるっていうことが、メーカーにとってはいい市場で。
日本の商品が並んでるのって、日系のあるんですよ、日系人が行くスーパーみたいなね。お客さんが韓国人と中国人と日本人みたいな。そんなところでしか日本の商品並んでないわけですよ。そうじゃなくて、アメリカ人が行くマーケットでやっぱり勝負して、そのカテゴリーでトップをとれてる日本の日用品とか食品ってほぼない。ここになんていうんでしょう、本気でやってるのっていうのかな、そういうのをすごく思いましたね。だから可能性まだまだあって、実は北米をもう一度っていうの全然ありだと思うんでね。そういう意味を含めて僕は可能性があると思っていて。2012年ぐらいの産経の連載かなんかで書いたんですけどね。なので非常に面白いというかね、いい市場だったと思いますよね。
東:そうすると、さっきの伝統小売、アジアだと伝統小売に、小分けで出したら1個単位で包装して売らなきゃいけないけども、アメリカだと結局、1個っていうことはまずあり得ないですよね、10個なのか、下手したら100個入りなのかみたいなのを大袋で入れるから、絶対利益率としてはアメリカのほうがいいんじゃないかっていうことですかね。ポテトチップスにしてもなんにしても、1袋がでかいわけですよ。ファストフード店行って、SMLってあるじゃないですか、ドリンクのね。だいたいリフィルが無料なんで飲み放題なんですけど、Sでね日本のLみたいな感じで。Lサイズとか頼むとバケツみたいなのが出てくるんですよね。それぐらい違うんですよ。質より量の文化なんで、腹が立つぐらいでかいんですよね。そんな中でじゃあ、アメリカ人の9割が肥満で、アメリカの食品メーカーがそれを作ってきちゃったわけですよ、この何十年かの中でね。それを日本の食品メーカーで変えていけるんじゃないかなとかね。
あと黒人とかヒスパニックの人たち、いわゆる低所得者層っていう層が米国は非常に大きくて、そういう市場はアジアの中間層よりよっぽどお金を払うわけですよ。だから実はアジアの中間層をやるよりもそっちの方が楽なんじゃないの、とかね。それは楽なのか楽じゃないのかっていうことの検証すらしないでアジアに行ってることに僕は問題意識を持っていて。当然僕の専門はアジアなので、アジアでいいんですけど、やっぱりアメリカという超大国、このマーケットを無視するっていうのはどうなのかな、という感じですかね。
東:結構アメリカだと物理的な遠さ、飛行機で10時間とか12時間とか。
森辺:行きは9時間、帰りは12時間です。
東:そうするとアジアだと3~4時間、かかっても5~6時間で行けるっていう、物理的な近さ遠さっていうのがあると思うんですけど、それを差し引いてもアメリカってのは魅力的。
森辺:魅力的ですよね。とにかく大きいですよ、市場が。だから爆発力というかね、それがやっぱり大きいし、その日本企業が持っている良さをうまく生かせば、今のアメリカのたとえば食文化、肥満を作り出してしまった食文化を大きく変えることだって僕はできると思っているし。味覚のちがいはあれど、超一流のアメリカ人、超一流のアメリカ人って言い方悪いですけど、いわゆるアメリカ人がグローバルかっていうとそうではなくて、アメリカ人もアメリカしか知らない田舎者もいれば、世界を知ってるグローバルなアメリカ人もいて、そのグローバルなアメリカ人はやっぱり日本の食品をおいしいという人たちもたくさんいるわけですよね。日本の地ビールのメーカーで、アメリカでものすごい成功してる人もいるし、今ハイチュウだって工場増設してね、バンバン売れてるっていうことですし。
東:感触がないですもんね、アメリカだと固いのかべちゃべちゃなのかどっちかみたいな。
森辺:そんな中で、そろそろ、ギトギト着色料の見るからに体に悪そうなチートスから日本の何とも言えないスナック菓子に変わる時代が来てるんじゃないかなって、ものすごくそんな気がしてましてね。それを調べに行ったという、そんな感じですかね。
東:じゃあ、その調べに行っての感触っていうのはまた詳しく、次回お聞きするとして、今日はちょっと時間が来てしまったので、終わりにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。