東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、引き続き前回これのお話をされたんですけど。
石原明(以下、石原):いやーこれね、中小企業の社長さんは大企業の方もそうだと思いますけど、特にこの辺をリアルにわかってる人はいないと思うんです。だってほとんどの場合に「日本企業は海外に進出するためには現地で有力な人を探せ」って言わないですか?
森辺:皆言いますね。
石原:言いますよね。あれ何で言うんですかね?
森辺:パートナーが重要なんですよね。でもそれはそれで重要なんだけど、もっと重要なことはそれだけじゃないんだけどなって思うんですけど皆言いますよ。
石原:ですよね。だから例えば僕なんかも海外に行き始めてる会社さんで「どうして行ったの?」って言ったら「向こうにすごいパートナーがいるんだ」とか「今度ドバイに行ってきます」とか、「シンガポール行きます」「何でですか?」って言ったら「向こうの王族実はこういう人がいて」みたいな「王族の中の王族と繋がっている人がいて」みたいなね。
森辺:いいよ、どこでもって。
石原:その話言ってたじゃないですか。僕は基本的に怖いとしか思わないのに、この間森辺さんも言ったように止まらないじゃないですか。すごく新鮮だったのは、例えばそういう人間関係とかコネクションも釣り合わないところで起きるわけがないっていうような、すごいクリアな意見を頂いて、どうやったら人が止まるのかなとか中小企業は不用意に何千万も突っ込んじゃう人がいるわけなんですけど、それってどういうふうにしたらいいかっていうのを聞いてみたいと今日僕は思ったんです。
森辺:究極的に言うと、やけどしないと止まらないっていうのはあるんですよね。失敗しないと。だけどその失敗が致命傷になる会社だってあるし経営者だっているし、その致命傷で海外展開が遅れるっていうことにも…。
石原:あとそのルートにまた色んな人を紹介しちゃう人もいるでしょ?そうすると国内の関係もまずくなりますよね。
森辺:そうですね。
石原:そういうのって実際あるんですかって言ったら、万に一つもないぐらいって仰ったでしょ?千に一つじゃないよね?
森辺:万に一つですよ。
石原:ってことは…。
森辺:本当にその有力なコネを持って、年間来るんですよね。10人ぐらい来るよね。その海外から…
東:一カ月に一人くらい。
森辺:「自称こういう人です」っていう感じで、「あなたの雑誌を見て」とか何か連載か番組を聞いてかわかんないですけど来られて…。
石原:そっか。いらっしゃるんだ。
森辺:「タイではこんだけのコネクションを持ってて、実は財閥系の〇〇なんだ」とかっていうことを色々言ってくるわけなんです。
石原:向こうに行くと確かに大臣出てきたりするじゃないですか。要するに王族っぽい人に会わせてくれたりそこに連れて行かれるじゃないですか。あれは何かとっても簡単に信じてしまうパフォーマンスだと思うんだけど、本人も欲があるから信じてしまいますよね。
森辺:アジアで今大臣を引っ張り出すのって結構大変ですけど、日本よりかは身近に下りてくるじゃないですか。例えば日本でも大臣クラスがパーティーいっぱいやってますよね。そこに行くことは全然可能なわけじゃないですか。2万円のチケット買って政治のパーティーに参加する。そんなようなものは別にアジアでも当然あって、多くの場合そのエリアに工場を誘致したいとか企業を誘致したいとか中小企業を誘致したいっていうので当然大臣が顔を出してきてて、そこで会ったからといってじゃあ何なのっていうと、別にその政治家と会うこととビジネスって全く違うので。会うのは単なるイベントですもんね。
石原:そっか。政治家とか偉い人と会ってもビジネスとは関係ない。
森辺:関係ないですよね。利益は別に政治家さん上げてくれないし、政治家がそれを宣伝して売ってくれないし。そうするとあんまり偉い人と会っても関係がないっちゃないっていう。パナソニックやソニーやトヨタがその国でおっきな一つの産業を作っていくとかっていうと、これはまた政治家との関係が、国との関係が非常に重要。これはわかるんですけど、中小企業がアジアでやることに政治家が本当に必要かっていうことを考えたら、いらないでしょ。
石原:別に王様が出て来なくてもいい。
森辺:いいですよ。なんですけどそういうところに。言わないですけど。そこはあるんじゃないかなと思います。
石原:何をチェックしたらいいですか?どういう裏の取り方とか。
森辺:まず誰かに頼るっていうんじゃなくて、全部自分で調べ上げるっていう、そこが一つのキーになるんじゃないかなと思います。お金をかけて調べるんじゃなくてもいいんです。自分で情報を取っていく。ですから誰かの言いなりになるっていうのが海外展開の一番の怖さで、コンサルタントもそうだと思います。森辺の言いなりになる。これは怖い話で、森辺はこう言ってるがそれが本当なのかというのは、ちゃんと皆さん自身が精査していくといことがすごく重要で、自分でビジネスをやられるので、それがたぶん一つあるんじゃないかなと思います。
石原:5回も6回も行って、色んなことをやってて持ち出しのみで一円にもなってないけど、まだ行くみたいな人多いもんね。
森辺:多いですね。旅行になっちゃってるみたいな感じですか。
石原:旅行ですよね。
森辺:なかなか難しいところで、逆に言うと中小企業の経営者のことは石原さん以上知っている人は僕はいないと思うので、逆に僕もどうしたらいいんだろうっていうのを聞いてみたいんですけど。
石原:大手と中小企業って明確に違うんだっていうことを今日森辺さんの話を聞いててわかったんだけど、そういう情報のそもそもの区別からしたほうがいいのかなっていう感じがしました。どうですか?
森辺:そうですね。例えば情報を取るっていっても、大手の場合だと我々が主としているような競争環境の調査をやったり、市場環境の調査をやったり、流通環境の調査をやったりということを戦略を作るためにやるんですけど、たぶん中小企業がやるべき調査ってそんなことではなくて、もっと目が粗いというか、どうやったらこれ売れるんだろうって、100万円、1,000万円入ってくるんだろうをベースに知るべきことを知るっていう、そういう調査なのかなっていうのを今日石原さんと話しててパーって閃いたんですけど。何か一回整理してみようかなってちょっと思ってます。
石原:そうですか。それはなかなかありがたいよね。
森辺:中小企業終わったらもうここだけ読みなさいみたいな。
石原:ガイドブックと何かDVDぐらい作って頂いて、それこそ販売してもらうような感じぐらいをサービスとしてやって頂ければ、中小企業はすごく助かるんじゃないかな。
森辺:あとは、中小企業さんが海外で売上を上げるためには、自分たちで売れないじゃないですか。だって自分たちが現地に会社の法人を出すなんていうのは最初からリスクが高いので、とにかく自分たちの商品を売ってくれる人を探すというのがもうキーなんですよね。『BUYERを探すんじゃなくてSELLERを探せ』って僕言ってるんですけど、買ってくれる人じゃなくてそれを流通に売ってくれる、押し込んでくれるこの人を探すという。その時に実力のほどが本当に数字で見えてくるまで独占販売権を与えないっていう。
石原:そういうことか。
森辺:売ってくれる人を探すために馬鹿みたいに現地に行くっていうのは僕は大賛成だと思うんです。だけどそうじゃない政治家と会って何かパーティーに出てすごい人に会ったとか、地元の○○に会ったとかそんなことばかりやってるんではなくて、その人から売ってくれる人をどう経由するかみたいな。
石原:うまくいった事例とか何かあります?
森辺:中小企業さんで?
石原:中小企業っていうか中小企業でも役に立つような話ってあります?
森辺:最近の案件で一つあるのが、ある地方の中堅企業さんで、ここの社長さんは非常に先見の銘があるというか我々の提案に対する理解が高くて、ものすごいコストをかけてやるっていう決断をされたんです。もちろん中堅企業であるものの、我々のマーケットシェアというものを意識してご支援に取り組んでるんですけど、それは日本での利益体質が非常に良い会社なんです。そういう会社はやっぱり上場企業並みのことをやりたいっていう。今まで中途半端なことを10年間やってきたけど何の成果も出なかった、海外に行きまくった、色んな人に会った、騙されもした、良い人にも会った、けど10年間を振り返った時に「じゃあいくら売れたんですか?」っていうのが我々の質問だったんです。「まあ売れてない」と、「じゃあやり方を変えよう」って。
石原:業種的にはどんな感じですか?
森辺:製造業です。
石原:立派な社長ですね。
森辺:そうです。なので我々自身もご支援のしがいがありますし、あとはちょっとずつやっていくっていう方もいらっしゃいます。いきなり海外へ行ってとかいうのではなくて、3年先5年先を目指してちょっとずつちょっとずつやられていくという、そういう社長さんもいらっしゃるんです。一概にはあれですけど、中小企業は本当に売ってくれる人を探すっていうところの業務にフォーカスをするべきなんじゃないかなという気がします。
石原:なるほどね。ビジネス的に言うと、森辺さんの会社はどちらかと言うと上場会社とか大手の会社さんじゃないですか。もし中小企業で何らかのお願いをするとしたらどんなことだったら可能なの?年間の費用とかもかなりあると思いますけど。
森辺:そうですね。たぶん我々の仕事というのは海外のチャネル構築を専門としている会社なので、そのお客さんの海外でのチャネルを作って差し上げるということ、どのぐらいの深さでやるかというのは当然お客さんのニーズによって変わってくるので別にして、そこの路線は可能かなと。
石原:まずは勉強会に出るとかこのポッドキャストの内容とかワーッと聞いて、でも先ほどの話で言うとちょっと利益体質の良い会社じゃないとそう簡単に取り組まないっていうことだよね?
森辺:そうですね。というのは結局海外ってリスクがいっぱい潜んでるじゃないですか。そこで何かあった時にそれが日本国内の屋台骨を揺るがしかねないというか、そこは結構あって。それこそ石原さんが国内のしっかり見られている会社さんとかだと国内が安泰だから海外を支援しやすいと思います。
石原:例えば10年ぐらい見るって感じ?最低10年?例えば出てくるのに中小企業と言えども10年越しで考えて、年間これぐらいの費用は普通に出していいぞっていうような体質があればやるべきだけどっていう感じなんですか?
森辺:10年はちょっと行き過ぎですけど、5ヵ年ぐらいの計画で海外展開でこれだけ毎年かかっていくと。
石原:もし売上がゼロでも全然平気ですよぐらいの準備をしろってことね?
森辺:そう。準備をしないと。東京の会社が福岡に攻めるとか札幌攻め上がるっていう話じゃないじゃないですか。もう海をまたいで別のほうへ行くっていう話なので、コストはやっぱりかかっちゃうんですよね。
石原:そうですよね。いやおもしろかったですね。
森辺:ありがとうございます。
石原:スッキリしました。
森辺:何かまた時期を見てぜひぜひ遊びに来て頂ければと思います。僕も前回、今放送中ですね、ちょうどね。
石原:ちょうど前の僕のほうの番組に森辺さんがゲストで来て頂いて。
森辺:はい。石原明の経営ヒントプラス。
石原:でもなんか反響がすごくて。
森辺:そうですか。
石原:森辺さんのサイトに行ってイケメンで驚くとかそういうのとか。
森辺:いえいえ。急に私のポッドキャストがアクセス上がって…。
石原:いや、わかんない。あと一応勉強会とかもやってるので、海外の話ってちょっとピントが狭いのであれですけど、何か機会を見つけてさっきの森辺さんが人をどういうふうに信用するかとか、ランクが上がるかとか、そこを待たないと無理だみたいな、そういうちょっとおもしろい切り口も考えたりとかすると先々それでより交流を深めて頂ければありがたいです。よろしくお願いします。
森辺:よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
東:ありがとうございました。