東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、久々に海外での収録になりますけれども、現状どこにいるのか。
森辺:現在ベトナムのホーチミンにおります。なかなか東ちゃんと一緒に同じ国に行くという機会が少ないからね、久々。前回は確かフィリピンのマニラでしたね。
東:今回はベトナムのホーチミンよりお伝えしたいと思うんですけど、まずベトナムという国の概要をざっくりご説明いただけないでしょうか。
森辺:皆さん一番気になってるのが、ベトナムはASEANの中でどういう位置付けにあるのかっていうところだと思うんですけど、基本的にはまだ消費マーケットとしてはインドネシアとかタイとかマレーシア、フィリピンに比べると、ちょっと落ちると思うんですよね。どちらかというと生産拠点スタートで始まって、チャイナプラスワンのワンとして捉えられてたタイとかベトナムとかになるんですけど、そういう位置づけで始まった国で、人口としては8700万人くらいかな。2050年ベースで1億人突破するなんていうふうに言われてますけど。平均年齢が28歳くらいなので、フィリピンの23歳とかと比べると若干高めですが、インドネシアが確か28歳くらいだったんで同じくらい。
首都はハノイなんですけど、経済の中心地はホーチミンですよと。ホーチミンの人口は700万人超くらいですかね。ハノイは650万人超くらいだったと思うので。一人当たりのGDPは平均1500ドルくらいを推移してきたんだけど、最近はベトナム全体で2000ドルくらいまでいってます。ただ、ホーチミンとかは3000ドルを超えて4000ドル近くまでいっています。マニラとかだと1万ドル弱だし、ジャカルタとかだと1万ドル超えてるんで、そこと比べてもまだ半分くらいの市場という感じですかね。
東:数字的なデータはありますけど、町並みとかはどう感じますか?
森辺:そうですね、このホテルの窓からもホーチミンの町が一望できるわけなんですけど、高いビルが増えましたよね、一時期に比べて。なので1区の中心街なんか行くと、高くて太い、いわゆる近代的な高層ビルが目立って増えたなというイメージがありますが、他のASEANの首都と比べると、やっぱり若干落ちるかなという感じですかね。
東:地下鉄なんかも工事が始まったばかりですからね。
森辺:中心街のメイン通りの下に地下鉄が通るわけなんですけど、そのおかげで一番のメイン通りが封鎖されてね、日本だったら鉄板かなんか敷いて車を通らせるんでしょうけど、完全なる通行止めになってえらいことになってますけどね。
東:少しずつ変化をしている町ではありますよね。
森辺:これから非常に魅力的なんじゃないですかね。ベトナムブームって1980年代から何回も来てるんですよね。来ては静まっての繰り返しなんですけど、また今ちょうど来てるんでね、これから大きくなっていくマーケットだと思いますんで、非常に注目すべき市場じゃないかなと思います。
東:ASEANなりアジアの中でのベトナムの位置付けは今度どうなっていくような感じを受けますか?
森辺:プライオリティとしては、上位1、2位じゃないですよね。ホーチミン攻める前にジャカルタ攻める、バンコク攻める、マニラ攻めるっていうのもあるし、すでに近代化してるクアラルンプール、シンガポールは別にしても、ASEANだとそういう位置付けですよね。人口もインドネシアの3億超えますよとか、フィリピンの1億5000万超えますよっていうところまではいかないですから。それでも1億人いくので決して無視はできないんでしょうけど、プライオリティが一番高いかっていうとそうじゃないと。
東:町並みを見て、10年前だと日系企業の看板がけっこうあったんですけど、今は中国系と韓国系が非常に目立つんですけど、韓国勢っていうのは日本企業がホーチミンで何かをやる時にひとつ立ちはだかる壁のような気がするんですけど、その辺はどうでしょうか。
森辺:韓国、中国強いですよね。ASEANどこ行っても強いんですけど、特にベトナムは韓国、中国が目に付きますよね。いろんな産業セクターでそうなんですけど、中国は陸続きになってるし、日本企業がベトナムに生産拠点を移す前から中国企業は生産拠点を移してるんで、1990年後半くらいから一部の中国の家電メーカーさんはベトナムに生産拠点を移管しはじめたりとかしてましたんでね。2000年代前半になったらかなりの勢いで移管してたんで、華南の方の企業なんかは結構早かったと思いますよ。中国の製造業でコンカとかは結構早くからベトナムに移管してたはずです。
東:韓国勢はどうですか?
森辺:韓国勢も中小企業の部品メーカーさんが日本の中小企業さんより早くベトナムに出てきてて、基本的にガッツあるじゃないですか、それで早かったのと、それとベトナムにおける韓流ドラマの放映がすごく多いので、それで若者が韓流に影響を受けて韓国製品の購買意欲が著しくあがってる、他のアジアでもそうですけど、ベトナムは特にそれを強く感じる市場ですよね。
東:看板とかを見ててもサムスン、LG、ハイアールとかすごい目に付きます。
森辺:多いですよね。日本も相当ODAやってるんですけどね。
東:地下鉄なんかも日本のODAなんですけどね。
森辺:そうそう、あそこに見える橋もそうですよね。空港もそうですし。そうですね、そんな市場ですかね。
東:ベトナムのホーチミンに限ってでもいいんですけど、小売りの市場って具体的にどんな感じになっているのか概要だけご説明いただければと思うんですけど。
森辺:インドネシアとかジャカルタとかマニラとかバンコクとかクアラルンプールと比べて圧倒的に違うのが、モダントレードといわれる、いわゆる近代小売、チェーン展開しているスーパーとかハイパーとかドラッグストア、コンビニ、この数が圧倒的に少ない。大体の数なんですけど、ベトナム全土でも数百なんですよね。ジャカルタとかだと、コンビニだけで1万とか、1コンビニで1万とかいってますけど、非常に少ない。ファミリーマートさんがいろんなごたごたの経緯がありましたけど、今こっちで56店舗くらいやってると思うんですけど、コンビニでもそんなものなわけですよね。一番多いのがコムマートで72店舗くらいやってたと思うんですけど、最大手ですよね。地場系の最大手。
東:最大手でも70店舗くらいですよね。
森辺:あとメトロとかビッグシーとかロッテマートなんかが強いんですけどね、いわゆるこういう近代小売りが非常に少ないというのが特徴的。
東:今回イオンとか行かれたと思うんですけど、どうですかね?
森辺:イオンはちょっと離れたところにあるんですよ。当初できる時はこんなところにイオンを作って大丈夫かと思ったんですけど、そのイオンすごい大きいんですね。フードコートからゲームセンターから子どもが遊ぶアミューズメント施設とか何から何まで揃ってるんで、日本の中でも大きい系のイオンと同じように、行ったら朝から晩まで居られるみたいなところなんで、かなり人が入っていますね。僕はうどんが食べたくてイオンに行って釜揚げうどんを食べたんですけど、おいしかったですよ。ホーチミンのイオンは人がすごい入ってます。今イオンは2店舗あるんですよ。大きな特徴は近代化してるスーパー、小売りが他のASEANに比べたら圧倒的に少ない。これが何を意味しているかというと、いわゆる伝統小売りといわれるGTとかTTとかっていう市場を取っていかないと間口数が取れないんで、この市場で売上を上げて利益を出すっていうのは達成できないっていうことを顕著に現してるんですけどね。
東:なるほど。今回は時間が来ましたのでここまでにして、また次回引き続きベトナムからお送りしたいと思いますので、よろしくお願いします。
森辺:はい、よろしくお願いします。