東 こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺 こんにちは。森辺一樹です。
東 では、森辺さん。今日はですね、前回の9月28日に、ユーロモニター・インターナショナル社と、あと、明治大学の大石先生と一緒にセミナーをやったんですけれども。
セミナーに来られてない方もいらっしゃいますので、それでちょっと振り返るところも入れたいと思うのですが。
前回は、どういうセミナーだったのかということを、ちょっと森辺さんから簡単にお知らせいただければと思うんですけれども。
森辺 「スパイダー・グローバル・マーケティング・セミナー」というのを定期的にやっていまして。
それで、前回は主催が当然弊社なんですけれども、特別協賛でユーロモニターさんに参加していただきまして。それで3部構成だったんですね。
1部が基調講演で、アセアンでは拡大する中間層を狙え、ということで明治大学経済学部の大石教授。みなさんご存知のグローバルマーケティングの権威の方ということで基調講演をしていただきまして。
それで、2部でアジア新興国のチャネル戦略は、こう描け、ということで、チャネル戦略の話をさせていただきまして。
3部でパネルディスカッションを大石教授と、ユーロモニターの鈴木さんという日本の代表者の方ですかね。カントリーマネージャーさん。
その方々と私とパネルディスカッションをやりました、という3部構成だったんですよ。
それで、消費財メーカーさんが多かったんですけれどもB to Bの方も来られていまして、結局、B to BもB to Cも共通するところというのがあるじゃないですか。
それでB to Cの場合はリテーラーが一階層入るという問題があるんですけれどもね、基本的なところはボクは一緒だと思っているので。
まあ、B to Bの方の参考にもなったのではないかな、と思うんですけれどもね。
東 なるほど。そうすると、森辺さん的には、振り返るとどういうセミナーだったと思われましたか。
森辺 今回は初の取り組みで、ユーロモニターさんに特別協賛をしていただいたおかげで、「データから読み解くアセアン市場」というサブタイトルが付いているんですよ。
基本的には、大石先生の基調講演も私の講演も、ユーロモニターのデータを使って、そこからいろいろなことを読み解いていったんですよね。
ですから、そういう意味ではいろいろなことをね、数字で把握できた良い機会だったんじゃないか、より具体的なお話が。
P&Gが強いですとかネスレが強いですとかの、ふわっとした話ではなくて、シェアベースでどれくらい強いのかと。
それで、そのシェアベースでこれくらい強いというところの要因がどこにあって、そこから日本企業は何を学べるのか、という、そういうお話だったのかなと思いますね。
東 なるほど。そうしますと、ちょっとお見せすることはできないのが残念なんですけれども。
どういったデータを用いて、どういった内容の講演をされたのか、ということを振り返っていただきますと、森辺さんの感想で構いませんので、どのような感じだったと言えることができるんでしょうか。
森辺 まずですね、欧米メジャーに学ぶアセアン・チャネル構築ということでですね、いかに欧米メジャーが強いのかということを、ユーロモニターのデータを使ってご紹介をしていったんですけれどもね。
特に日系企業さんが難しさを感じているということは、アセアンの中でもVIPと言われる、ベトナム、インドネシア、フィリピンなんですが。
なぜ、ここで難しさを感じるのかと言いますと、当然TT、伝統小売の比率が圧倒的に高いから、という話になるんですけれども。
この市場で、例えばベトナムなんかで言いますとね、ヘアケアのカテゴリでユニリーバのシェアは2014年度ベースで37.5パーセントあるんですよ。
それでP&Gが28.7パーセントあるんですよね。この二つで65パーセント以上のマーケットシェアを持っているということですが、ものすごいじゃないですか。
東 そうですね。
森辺 その他のところは、ほとんど数パーセントとか、コンマ数パーセントというような話になりますし、日系企業なんていうのは上位のランキングには全く出てこないという状況なんですよね。
次に、インドネシアなんかでも、やっぱりユニリーバとP&Gは上位を占めていて。
ユニリーバは42.3パーセント、P&Gが29.3パーセントということで、ここでも7割近い、もう7割超えていますよね。
それで、これだけ強いというのを、まず数字で見ていただいたということが一つなんですよね。インドネシアなんかは、ライオンさんも入っているんですけれどもね。
東 マンダムさんなんかも入っていますね。
森辺 マンダムも入っていまして、日系では5位くらいになるのかな。ライオンさんが6位くらい、5位ですか。
東 そうですね。
森辺 でも、結局5.2パーセントなんですよね。ですから、インドネシアではマンダムが強いと言っているじゃないですか。ヘアケアのカテゴリでいうと、7.6パーセントということで4位なんですけれども。
そういうことなので、ユニリーバとP&Gが、いかに強烈かということを学んでいただいて。
また、これはフィリピンでも一緒のことでして、ユニリーバが41.7パーセントということですので1社で4割を超えていますよね。
それでP&Gが23.3パーセントなので、まあ、こんな市場です、ということを見ていただいたという感じですかね。
東 もう圧倒的に、ユニリーバとP&Gの市場になってしまっているということなんですね。
森辺 そうですね。それで、それに対して日系の多くのメーカーは、いや、ユニリーバですから、P&Gですから。
あれだけ多くのプロモーション・フィーをかけて、広告費をかけてやっているから、私たちにはとてもマネができないですよ、という印象なんですよね。日本のメーカーというのは。
ただ、グローバル競争をするということは、この人たちと戦っていくということですので、彼らがなぜそれだけ巨額のプロモーション投資ができるのかというと。
やはりチャネルがしっかりと確立されていますので、プロモーションを打ってもチャネルを通じて商品が流れる、というそういう構造なんですよね。
そうすると、彼らは20年前から、そのチャネル作りにさんざん投資をしてきて、それで今、ようやく巨額なプロモーション投資ができるという、そういうお話ですので、そういうことを学んでいくことですね。
東 ちょっとデータがありますので、データをご紹介いただきたいんですけれども。
森辺 例えばね、次はね、食品系でいうと、チョコレート、コンフェクショナリー、お菓子ですよね。
お菓子の中でもチョコレート菓子でいうと、やっぱり欧米などは、例えばベトナムですと上位2社というのは、やっぱり地場系の会社が占めるんですよ。
けれども、ヘアケアみたいに何十パーセントもというわけではなくて、上位2社でも、12パーセントとか11パーセントとかですし。それで、欧米系なんかのマースなどで10パーセントとかですし。
あと、ロッテは日本の会社なのか韓国の会社なのか、微妙なところはありますけれども、ベトナムのロッテに関しては韓国から来ていますので、これは10パーセントくらいあるんですよね。
それとあとはハーシーズも強いですし、それからスイス系の会社さんもそうですしね、それとモンデリーズもそうですし、ネスレも入っているというような状況ですし。
結構、日用品に比べて食品系、特にお菓子系はやっぱり製造が、何て言うんだろう・・・まあ、難しくないと言ったら語弊がありますけれども、やりやすいですよね。
ですので、結構、地場系の勢力も強いですよ、ということが一つですかね。それで、インドネシアもね、ペトラ・フーズというところが1位で、圧倒的な46.7パーセントなんですよ。
東 すごいですよね。
森辺 このペトラ・フーズというのはシンガポールに上場している会社なんですけれどもね、アジアでは非常に強いですし。それで2位がモンデリーズなんですけれども、これはオレオをやっている会社ですよね。
それで、ペトラが46.7パーセントあるのに対して2位のモンデリーズは11パーセントしかないんですよね。
これだけ1位と2位の開きが開いていると、それでボクの大好きなフェレロのチョコのフェレログループも10パーセントくらいなんですよね。
ですから日系プレーヤーはほとんど出てこないという、そういう状況なんですよね。
東 なるほど。フェレロというのはどういうチョコレートなんですか。リスナーさんに。
森辺 空港とかでよく売る3つ入りとか4つ入りで丸いチョコレートで、なんか周りにナッツの砕いたのが付いていて、ボコボコっとしていてね。
噛むとサクッとしていて中はトロッと言いますか、ちょっと空洞形で、まあ美味しいんですよ。甘さ、味、カカオの量、もうね、最高にいいチョコなんですけれどもね。
東 リスナーさんのみなさんも、よろしければどうぞ、ということで。
森辺 多分、みなさんもね、食べたことはありますよ。絶対。
東 食べたことありますよね。でも会社名を聞くと、ちょっとピンとこない人も多いかもしれないですよね。
森辺 “フェレロ“とは書いてあるんですけれどもね。あれは本当に美味しいです。
東 香港とかでも、よく売っていますよね。
森辺 うん。どの空港にも売ってて、スイスの会社だと思うんですけれども、世界中のチョコレートのお土産になってしまっているんですよね。マーケティングがうまいですよね。
東 それで、ついでにフィリピンのデータもあるんですが。
森辺 うん。フィリピンもね、1位はJGサミットという、これはフィリピンの会社ですけれども36.1パーセント。2位がモンデリーズなんですけれども12.5パーセントくらいなんですよね。
それで、やっぱり3位にもペトラ・フーズが入ってきていて、それでハーシーズ、マース、ネスレ、フェレロと続くんですけれども。日本のチョコレートメーカーは入ってないですよね。明治も森永もロッテもグリコもね。
東 そうですよね。
森辺 それで、アセアンの場合はロッテさんなんかは、やっぱり韓国から来ているのが強いので、アセアンでは日系とカウントしないほうがいいと思いますけれどもね。
東 分かりました。では、ちょっと今日は、お時間が来ましたのでここまでにしまして。また、ちょっと続きは次回で教えていただきたいと思います。
森辺 はい。
東 よろしくお願いします。
森辺 はい、ありがとうございます。
(第227回、終了です)