・こんにちは。ナビゲーターのアズマタダオ(以下A)です。
・こんにちは。森辺一樹(以下 森辺)です。
A:今日は。日本企業で森辺さんが成功していると思われる企業を少し挙げていただいて、その成功要因みたいなのを、教えて頂ければと思うんですけど。森辺さんが、パッとイメージとして浮かぶところで、日本企業で海外に強いとか、海外で成功している企業ってどんな企業がありますか。
森辺:消費財でいいかな。
A:いいですよ。
森辺:まず、ヤクルトさんでしょ。それから、ユニ・チャームさんでしょ。味の素さんでしょ。サロンパスさん。この辺はやっぱり強いですよね。あと、ピジョンさんも強いですよね。なんで彼らが強いかって話だよね。
A:そうですね。
森辺:一つあるのが、一点集中で突破してるっていうのが、絶対的にあるんです。
A:一点に集中してるっていうのは、具体的にどういうことかちょっと教えていただきたいんですけど。
森辺:これは、商品。いわゆる自分たちが売ろうとしている商品が、一点突破で、まず風穴を開けて、そこから広げていくっていうことをやってるんです。
A:そうすると、例えば、今、挙げていた企業でヤクルトなんかは、日本で売ってるヤクルトをそのまま売ってるっていう感じなんですか。
森辺:ヤクルトも、会社のホームページ見ると、いろんな製品売ってるじゃないですか。ただ、僕たちがヤクルトって言って、パッと頭に出てくる、あのヤクルトあるじゃないですか。あのちっちゃい。
A:はい。あのちっちゃい。
森辺:ベージュ色した。ベージュ色ってあれだけど、肌色した。
A:肌色の、昔ながらのヤクルト。
森辺:それを一点集中で突破してるんです。
A:それってどこの国。日本では結構当たり前に売られてますけど。アジアとか欧米に行っても、あの商品がスーパーとかに並んでるイメージなんですか。
森辺:メインですよね。消費者が、ヤクルトって言われた時に、パッとその商品が頭に浮かぶ。味の素も、味の素って言われたら、パッと味の素のあの小袋の調味料が浮かぶ。
A:ユニ・チャームさんなんかは。
森辺:ユニ・チャームも、パッとマミーポコが浮かぶっていう。おむつ一点突破ですよね。サロンパスも湿布がパッと浮かぶ。だから、何でも、かんでもっていうんではなくて、どの商品で勝負するのかっていうことが、議論し尽くされて、検証し尽くされて、その上でアジア新興国を一点突破してきてるんです。そこから広げていくっていうのがあって、どれもこれもあれもっていうのは、やっぱり上手くいかないです。逆に言うと、そんなに総合消費財メーカーとか、総合食品メーカーよりも、僕は中堅ぐらいの会社の方が、そもそも強い商品が少ないわけじゃないですか。日本でも。そうすると、成功する可能性って、実は非常に高くて、そんな風に思います。
A:一点突破の方が、結果的に見て成功しているっていうのは、森辺さんなりに見ると、どんなところが成功している要因だと思いますか。
森辺:やっぱり、飴もあって、チョコもあって、ビスケットもあって、何とかもあるっていうと、それだけ経営資源も分散するわけじゃないですか。ただでさえ、日本とは違った土壌で戦っていく時に、やっぱり、選択と集中って、導入期はすごく重要で、自分たちがこれというふうに決めた商品に、すべての経営資源を投下して、一気に風穴を開ける。風穴開かないと、成長期に入っていかないんです。どれも、導入期で、ずっと導入期が続いてしまうみたいなことになってしまうわけなので、経営資源を集中させるっていうことは、すごい重要だと思います。
A:今、聞いてるリスナーさんは、当然、海外に行ったりする方もいらっしゃると思うんですけど、なかなか行かないで日本国内で活躍されてる方もいらっしゃると思うので、例えば、ヤクルトだったら、アジア新興国にどのぐらい浸透してるかって、森辺さんなりに肌感覚で感じるところって、どんな感じなんですか。
森辺:基本的に、大手のMTには完全に入ってるじゃないですか。いわゆるスーパー市場、近代小売市場っていうのは、普通に売られてるわけです。フェイス取りの広さも、非常に大きい。要は、たくさん店舗に入ってますよ、導入率100%ですよとかって言っても、探さないと分からないような置かれ方じゃ、入ってるとは言えないですよね。
A:たしかにそうですね。
森辺:でも、ヤクルトの場合は、かなり大きなスペースをバーンと取ってるんですよね。導入率が非常に高くて、さらに、国によっては訪問販売もやってるじゃないですか。だから、どの国に行っても、ヤクルトって言った時に、一般消費者がそれを知ってますよね。
A:なるほど。日本で言うと、ヤクルトレディーというのか、ヤクルトのお姉さんというのか、そういった形式で販売しているイメージもあるんですけど、海外でも訪問販売をやられてるって言われたんですが、そういった形式を取ってられるんですか。
森辺:そういう形式を取ってる国もあるので、いわゆるディストリビューターを使ってなのか、小売に直販なのかの一般小売市場と、家庭への直販。それは、国によって差があるわけです。そこは、非常に強いです。日本もそうですよね。
A:スーパーでも見れば、オフィスに売りに来たりしますもんね。
森辺:そのノウハウがヤクルトの強さで、それを上手く活かしてる国、やってない国。要は、その直接販売とか、ダイレクト販売がレギュレーションで禁止されてる国もあるんで、そこは多分戦略判断をしてるんでしょうけど。すごく上手いですよね。
A:訪問販売をしている国でいうと、具体的にどういった所に。
森辺:中国なんかはそうです。中国は非常に有名で、大分ご苦労されて、訪問販売の比率を上げてったっていう。たしか、フィリピンもやってたんじゃないかと思うんですよね。
A:そうですよね。
森辺:フィリピンなんか、めちゃめちゃ強いですからね。フィリピンって基本的に、アメリカ寄りじゃないですか。アメリカの製品に対する需要度というか、「不明(09:16)」は非常に高くて、日本はその次っていう話なんですけど。フィリピンなんかも、やっぱり強いですよね。
A:他に、強い企業で挙げていただいたのが、味の素さんとか、サロンパスさんとか、ピジョンさんとか、あるんですけど。そういった企業が、アジアでどうなってるかっていうのは、どんな感じでしょうか。
森辺:ユニ・チャームさんなんかは、ご周知の通り、ASEANでは圧倒的です。P&Gのパンパースとか、キンバリークラークとか、ドライパーズやってるSCAとか。キンバリークラークはハギーズかな。そういう所よりも、圧倒的にシェアが高い。タイもインドネシアもベトナムも。フィリピンがP&Gが強いんで例外ですけど。あと現地の地場のEQってとこが強いんで、例外ですけど。圧倒的なシェアを誇るし、インドネシア、中国でも、P&Gよりは劣ってますけど、日本のメーカーとしては圧倒的なシェアです。当然、製品の一点突破っていうのは、一つの要因なんで、また次回、別の成功の法則、いくつかあるんで、お話しようと思いますけど、今回はその一点突破っていうところでお話してます。味の素だってそうですよね。パッケージを変えてるっていう。でっかい大袋に入れてるのか、例えば近代小売では小袋に入れて、お釣りの出ない単位の値段で売ってるとか。そういうのもありますし。サロンパスなんか、南米でも強いですからね。僕もびっくりして。南米ってブラジルとかって、ドラッグストアの数が変態的に多いんですよ。こんなにいるの、みたいな。そんな市場でも、どこ行ってもサロンパス入ってますしね。日本のメーカーだと思ってないんじゃないかな、地場の人が。アメリカのメーカーとかって思ってるかもしれないですね、サロンパスなんか。
A:じゃあ、いい意味で現地に浸透してるというか、そういった形になってる。
森辺:そうですね。
A:分かりました。じゃあ、ちょっと今日は、森辺さん。時間がきてしまったので、ここまでにしたいと思います。また次回、よろしくお願いいたします。
森辺:はい。よろしくお願いします。