東:こんにちは、ナビゲーター東忠男です。
森辺:こんにちは、森辺一樹です。
東:今日は、もうご存知の方もいらっしゃるかもしれないですけど、日経BPのほうで、新しく連載がスタートしましたので、ぜひご紹介をいただければと思います。
森辺:日経BPの「小さな組織の未来学」というネットの連載シリーズで、グローバルの領域で、連載がスタートになりました。私の連載のタイトルが「グローバル化時代の戦略と覚悟」ということで、今ちょうど、2回までアップされてるのかな。この「小さな組織の未来学」という連載シリーズは、何なんでしたっけ。
東:簡単に説明すると、「小さな組織の未来学」というところから問い合わせをいただいて始まってるんですけど、今から2020年までに中小企業の底力を見せつけて、日本を次のステージに、みたいなコンセプトで、日経BPが運営部隊ですけど、外部でアウトソーシングしているような形で、新しいコンセプトで運営しているメディア媒体みたいです。
中小企業というところで、我々の専門からは大企業寄りになっているので、少しはずれるんですけど、大企業からの目線でグローバル化がどうなっているかというのを書いてほしいというので、今、書いています。
1回目、2回目がすでにあがっているので、皆さん「小さな組織の未来学」とネットで検索いただくと、たぶんトップページに出てきますよね。
森辺:私が東に書けって言われて、書いてます。趣旨も非常にいいもんね、ということを言われて、書いてます。
東:どんな内容かを、少し、まだ見てない方もいらっしゃると思うので、1回目、2回目の連載について、ご説明いただきたいと思います。
森辺:1回目のコラムのタイトルが「戦略覚悟グローバル化」ということで書いてます。何を書いたかというと、結局、グローバル化とか海外展開というのは、大企業であろうが中小企業であろうが、一番重要なものは戦略と覚悟です、というのが僕の持論です。それのどちらか一方が欠けていてもグローバル展開は成功しないので、その重要性について書いてます。たぶん4回ぐらい分けてその話が書かれます。
1回目は、そもそも戦略と覚悟って一体何なの?ということを話してます。大企業は戦略はある程度あるんですよ。それが甘いとか、というのは置いておいて戦略はある。一方で、先進グローバル企業といわれる世界の企業と比較したときに、覚悟という意味ではまだまだないに等しい。先進グローバル企業というのは、中長期でアジア新興国をどうしていくか、という覚悟があるので、短期的な収益というよりは、中長期的にどうやって収益を得ていくのか、ということと、その国のビジネスの仕組みを作りに行ってる。仕組みの上で踊るのではなくて、仕組みをどう作るかということを考えている。そして、中間層であったり、伝統小売とどう向き合っていくか、という話をしています。
一方で、中堅中小企業は戦略はまったくないんだけど、社長一人の覚悟だけはある。
東:結構正反対な感じなんですね。
森辺:ここでキーとなるのは、社長一人の覚悟というのが問題で、他の役員や社員がついてきてなければ、その社長一人の覚悟は意味をなさなくなってしまうし、中小企業であっても戦略が必要ない、ということはなくて。1億やるのと10億やるのと100億やるのでは、戦略と覚悟の度合は大きく変わる。ただ変わるにしても、絶対にその両方は必要で、それについて書かせていただきました。僕、うれしくて、自分のフェイスブックやツイッターで、拡散したの。なので、そんなところからも入れると思います。
東:2回目はどういったことを書かれてますか。
森辺:2回目は、徐々に突っ込んでいって、「富裕層に逃げていないか」ということで、新興国に進出する意味が、中間層の獲得ですよ、ということを説いてます。中間層を獲得しないんだったら、そもそもアジア新興国に出る必要性がまったくなくて、先進グローバル企業の戦略軸は、中間層の獲得というところから絶対にぶれないんですね。
一方で、日本企業というのは、大手でも、まず富裕層から、まず上位中間層から。基本的には日本で売ってるものをそのまま売りたい。現地適応化とか、世界標準化みたいなことは、あんまり考えたくない、みたいな。自分たちの製品というのは、いい原材料を使って、高い技術でいい品質を維持しているのだから、高くて当たり前みたいな。買えない人は買わなくていい、とまでは言わなくても、結果として富裕層を狙ってしまっている、という誤った戦略について説いてるのが2回目です。
あと具体的に、日本のお菓子をどうやって新興国で売っていくのか、ということと、最近記憶に新しいシャープや三洋の失敗、いわゆる日本の家電業界の失敗の事例なんかも載せているので、2回目はより僕の説を、具体的な事例を混ぜて説いてます。
東:今、名前が出た、シャープが鴻海に買収されてしまったというところも、ひとつ家電メーカーに学ぶ失敗事例だと思いますが、これは森辺さんとしては、他の業界にも起きるのではないかと、よく言われますが、それはどうしてなのか。鴻海は、名前は聞いたことあるけど、どういうメーカーかということを知らない方もいらっしゃると思うので、そのあたりも教えてください。
森辺:簡単にいうと、鴻海というのは、自分たちのブランドの製品を持たずに、世界中のグローバルメーカーから下請けのお仕事をいただいて、いいものを大量生産していくということで、OEMをうけて成長していった企業です。売上が15兆あって、非常に巨大なメーカーです。
三洋が買収されたハイアールという会社は、いまや世界一の家電メーカー、中国のメーカーです。鴻海は台湾です。結局ここで話をしてるのは、品質はシャープや三洋のほうが、圧倒的に優ってたわけなのに、品質で劣るメーカーに買われたわけですよね。これがまさに、品質よければすべてが売れるということを、否定している現実なんですよ。
だから、品質がいいからいいんだ、ということだけではグローバルでは成功しない。それは必ずしも日本と同じようなユーザーであったり、日本と同じような消費者が世界にいるということではないから、特に家電のメーカーは、黒ものも白ものも、ガラパゴス化してしまったという現象があって、多くのものがコモディティー化したわけで、そういった話を、事例を織り交ぜながら説明しています。
東:今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。