東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:3回前ぐらいから中国シリーズでお届けしてるんですけれども、中国といえば結構いまネットが当然盛んで、ネットショッピングっていうのも一つの話題にチャネルとして上がってくると思うんですけれども、ぶっちゃけ森辺さんとしては、具体的にその辺どう考えているのかなというのが。
「T-mall(天猫)」やるべきやらないべきみたいな議論をしている企業さんもあると思うんですよね。ただ、当然ユニクロみたいに大々的に売上を上げてる企業もあれば、そこにまだ足踏みをしている企業もあれば、色々な様々なステージがあると思うんですけれども、その辺どう見られているのかなというのを、ちょっとリアルとは違いますけれど、お聞きしたいなと思ってるんですが。
森辺:まず中国のネットショップ…ECといったら「T-mall」しかないじゃないですか。圧倒的なシェアで。「T-mall」って、例えるならば筋肉増強剤みたいなもので、基礎体力無いのに増強剤打っちゃって…確かに楽なんですよ。けどネットだけでやるっていう会社なんであれば、「T-mall」にすがる以外無いですよね。「T-mall」様々で「T-mall」でいいと思うんですけど、本当にその国で事業を作っていくんだとすると、先に「T-mall」をやるっていうことが、恒久的に見て必ずしもプラスにならない。
今言ったユニクロも確かにやってるけども、オフラインファーストですよね。オフラインの店舗で絶対的な地位を確立した上で、更に上積みするためにオンラインをやっているっていう話で。「自分達の商品はオンライン限定です」って言うんであれば、僕は最初から「T-mall」をやるべきでしょうけど、本当にそんな会社なんて少ないじゃないですか。そう考えると、一旦「T-mall」に載せれば売れるんだよね。考えようだと思いますけどね。
はっきり言うと、先に「T-mall」なんてやっちゃだめっていうのが、僕の結論なんですけどね。特に消費材。安物合戦してオンラインでやると値段が当然安くなるじゃないですか。そうするとオフラインで売れなくなっちゃうんですよ。
東:まだまだ消費財に限定して言うと、洋服とかアパレル関係とかは、オフラインとオンラインの比率って近しいものになってるのか、少し事情が違うと思うんですけど、消費材メーカーにとっていうと、例えば日用的に使うシャンプーとかお菓子とかっていうのは、オフラインでやらないでいきなりオンラインでやっちゃうと、その後が見えづらいっていう形になっちゃうってことですかね?
森辺:そうですね。要は市場規模拡大・マーケット市場拡大させたい時に、オンラインに先に楽だからってやっちゃいました、価格下がっちゃいました、その価格でオフラインのリテール入れるディストリビュータ買わせるなんて話になったら、同じ価格では当然できなくなるので、オフラインは値段が高くなっちゃうと。下手したら30%高い、みたいな状況に陥ってる会社っていうのは結構多いし、その後が大変ですよね。先に増強剤打って楽しちゃうと、基礎体力ついてないのに増強剤打っちゃうんで、筋肉はムキムキできるかもしれないけど、見かけ騙しの筋肉みたいな話にはなりがちですよね。
東:なるほど。そうすると、森辺さんよく「不明(ちゃねる?ちゃねり?)」(5'27.90)を作る時に全体最適っていうことを言われるんですけど、その全体最適っていう言葉を使うんであれば、オンラインから「T-mall」も含めて始めるのか、オンラインとオフラインを同時にやるのか、オフラインから始めて「T-mall」っていう、話の選択肢が大きく分けると3つあると思うんですけど、森辺さん的には…消費材でも色々あるので中々言い切れないと思うんですが、どういった形で進める方がベストではなくてベターなんじゃないかなっていうような感覚があるんですか?
森辺:基本的に99%の消費材はオフラインから初めて、そこで確固たる地位とマーケットシェアを築いてから、初めてオンラインに行くべきだと僕は思っていて、流行り廃りで、今年の夏メチャメチャ流行ったよねー、TV通販、バナナの叩き売り~、みたいな商品は、端からオンラインで行ける時に行くだけ行っとけっていうのはあるんでしょうけども、その国の文化になって、習慣になって、その国の国民がそれを日々今後何世代に渡って使っていくような事業をその国でしようとしてるんだったら、リアルでしっかり売って、そこでの地位を確立して初めてオンラインの上積みを作らないといけない。
お客さんにご支援を依頼されて「オンラインではここまで行ってるんですけど、オフラインが中々ね」なんていう会社、いっぱいあるじゃないですか。中途半端にオンラインでそれだけやられてたらね、何億か売り上がっちゃってるわけで。でももう4P無視してるわけじゃないですか。そうすると、何億か売り上がっちゃってるところの価格を調整していくなんて、一時的には売上を落とす可能性があるわけですよね、そこにメス入れようとすると。だから、やる方も怖くてやりにくいわけですよ。だから、断っちゃいますものね。「そんなに中途半端にやってて、メス入れますよ?大丈夫ですか?」「いや、怖い」って言われたら、断っちゃいますものね。
だから、オフラインからやるべきだと僕は思いますけどね。
東:そうすると、オフラインから初めて、ある程度めどが立ったところでオンラインを始めるっていうのがいいっていうことですかね?
森辺:だって、オンラインなんてぶっちゃけいつでもできるじゃないですか。サイト開設して商品掲載したら明日からでもできるわけで。後はコンバージョンレートの話ですよね。どれだけプロモ打った、どれだけコンバージョン上がるっていう話なんで、データとの戦いですよね。そうすると、オンラインなんていつでもできるから、オンラインやって「はい3億売りました」「4億売りました」ってそんなのどうでもいい話で、オフラインでいかに勝負して確固たる地位を築いた上にオンライン載せていくかと。賢い会社は皆んなそうやってますよね。
東:その方が、爆発的にオンラインも売れる感じですかね。
森辺:売れるし、足が長いし、利益もよく・高く取れる。だから、オフライン難しいからとにかくオンラインやりました、みたいなのは全くもって全否定です。
東:分かりました。ちょっと森辺さん、今日はオンラインっていうことで少し話題が違ったんですけども、時間が来たのでここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。