東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:今日は原点に戻ってというか、ディストリビューターの選定のところをいつも強く言われてると思うんですけども、もう一度お客さんからのお問い合わせで、今既存のディストリビューターから新規に替えたいとか、既存と併用したいとか、色々お問い合わせをいただくんですが、ディストリビューターの選定が重要になってくるじゃないですか。その辺ってどうお考えなのかっていうのを、もうちょっとお聞かせいただければなと思って。
森辺:ディストリビューターの選定で、一番最初のステップというか考え方として、凄く僕が重要だなと思うのは、ディストリビューターって恋人探しじゃないんです。だから、その国に存在する全てのディストリビューターを全部並べて、その中で最も自社にふさわしいディストリビューターを選んでいかないといけない。
当然向こう都合のこともあれば、こっち都合のこともあるので、必ずベストになるかっていうとそうではないんだけども、ベストグループを選んでいくっていうことをやっていかないといけないんです。恋人探しだと、運命とか出会いとかそういう話なんで、その国の全ての男性女性を並べて、全部比較して自分に一番合った恋人誰でしょう?そんなことやらないじゃないですか。そんなやつやらしいですよね。そうじゃないので、そういう方法を取らないといけない。
にも関わらず、日本企業の多くの失敗っていうのは、基本的には向こうからのアプローチで、「何か良さそう」だと。その「何か」っていうところを全部確実に詰め切らずに、「何か良さそうだ」でそこにしてしまう。なので、その国で本当に良いディストリビューターなのかっていうことを、相対比較しないまま、そこと付き合ってしまう。そこが一番の問題で、ディストリビューターと組んだら3年はそことやるじゃないですか。もっと言ったら…
東:やらざるを得ない。
森辺:現実的にね。もっと言ったら5年6年で切れないなんてのは総じてあって。じゃあ全部比較するっていうんだけど、どれだけの数あるのよって言うんですけどね、アジアでASEANだったら一カ国数百ですよ、あったって。数百前半ですよ、百・二百の話です。アメリカとか中国とかって言ったらね、何千何万とかっていうのはあるけど、ディストリビューターの絞り込みも、最初は絶対評価で消去法で切ってっちゃえばいいので。自分達が10億やりたいのに、1億のディストリビューターなんかと付き合ってたってしょうがないじゃないですか。そうすると、売り上げ何十億以上っていうんでバーンと切れるんで、そうすると最後悩むのって、数百とか数十を相対比較して決めるって話だから、非常に現実的なんですけどね、相対比較して決めるっていうのは。そこがやっぱり大きいんじゃないですかね。
東:それってお客さんから聞かれるのは、ディストリビューターは大きければいいのかみたいな話もあると思うんですけど、その辺はどう…
森辺:僕は必ずしも大きければいいと思わないんです。何故ならば、大きい所は確実にその国でマーケットシェアを例えば2割以上持ってるような、主要のクライアントを抱えているディストリビューターであるっていうことになるので。そうすると、新たに入ってくる日本企業の商品を、どれだけ本気になって扱うかっていうと、結構未知数であると。なので、必ずしも大きいところが良いとは限らない。
小さいところだと、逆に社長が全て管理牛耳ってて、物凄く乗り気で、社運を掛けてやるというケースだってあるので。でもそれって、マインドの話じゃないですか。けど、小さいとスキルが足りないので、物理的に無理っていうことも比較をしていかないといけないですよね。
デカイとスキルは良い、物理的にはできる。けどマインドが入らないんでできない、を取るのか、小さいところだと、マインドは良いけどスキルが足りないから、物理的にできない。その比較なんですよね。
東:森辺さんが言うマインドというのは何となく分かるんですけど、ディストリビューターのスキルっていうのは具体的にどういったことを指すのかっていうのは、簡単でいいので教えていただきたいんですが。
森辺:例えば、「○○(MT?)」(6'42.43)を取りたい。その国の主要10社の小売に対して、ルートはあるんだけども、大手ほどの強いルートがないとか。後、フードは強いんだけどノーフードは弱いとか。後、TTなんかだと現実的にセールスマンの数が少ないから、多くのTTを回るだけのスキルが無いとか。そういうことですよね。小売との交渉力が弱かったら、入らないじゃないですか。
なので、小売との交渉力が強いと、例えばネスレやってます。ネスレをベトナムでもインドネシアでもいいですけど、従来小売・主要のMTに入れてます。そしたら、その小売とは関係がガチガチなわけじゃないですか。そうすると、リスティングフィーをある程度調整しながら、スッと入れてもらえる可能性もあるわけなんです。そういう話ですよね。
東:小売との関係性っていうところは、一つ大きく見なければいけない。
森辺:まあ、ネスレは直販してるからディストリビューター使ってるっていうあれは無いけど。例えばネスレとかじゃなくてもうちょっと小ぶりな、その国では結構売れてるようなプリンシパルを持ってて、MTとやってるというと、やっぱりMTとの取引額がデカイから、当然小売にとっても大切なディストリビューターじゃないですか。そういうのはやっぱりありますよね。
東:じゃあ、森辺さん今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。