阪西:皆さんこんにちはスパイダーの阪西です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さんこんにちは、スパイダーの森辺です。
阪西:今回もも引き続き、リスナーからの質問にお答えいただきます。前回の内容の続きですが、販路の構築の2つめの重要なポイントについてお教えください。
森辺:確か前回は、リスナーのメーカーさんからの質問に答えましたと。自分たちの過去の海外失敗を分析したところ、販路が上手く築けなかったことが、各国の総じての要因であると。多くの日本企業が同じような理由なのか、それとも自分達だけなのかっていうお話しだったですよね?
阪西:そうですね。
森辺:私の答えは確か、どこも一緒ですよと。安心してくださいねというのが一つで、二つ目の質問が、じゃあどうやったら販路築けるんだということで、一つがその販路を作るっていうテクニックとかスキルの具体的なそのビルドの話が一つですよという。ただその前段として、本当に会社として経営から現場までがチャネルの重要性とか販路の重要性を、会社として痛感してますか、理解してますかと。本当の意味で分かってますか。そこの軸がぶれると、強固な販路なんて作れませんよと、そういう話をしたんですよね。それが一番目の理由ですと。
なんで、今日はそれが会社として販路が重要だということが、経営から現場までが理解をしましたと。それが前提で、強固な販路を作っていくということですね。
阪西:はい、ありがとうございます。
森辺:まず日本の企業がなぜ強固な販路を作れないかは、その最大の要因はデザイン力です。強固な販路を作るのに必要なのは、デザイン力とビルディング力、それからマネジメント力。この三つが必要ですと。要は、販路ってデザインをしないといけない。要は、永続的に売上が上がる水道管を作ってくわけですよ。販路っていうのは何かって言うと、消費者やユーザーさんに水道管のパイプを残してくって話ですよね。そのパイプがあるからこそ、初めてユーザや消費者が蛇口をひねって、皆さんの商品である水がそこをじゃんじゃんじゃんじゃん流れていくと。このパイプがなければ海外売上上がらないってそりゃそうですよね。ですから、最初にやるべきはパイプをひく、インフラをひくと。
ただそのパイプを、一つの代理店に一本通してそっから先はお任せです、なんていうことをしていたら、当然その先の姿が見えないので、代理店の言われるがまま。「いやいや、色んなとこにパイプ作ったからね」「ほらどう、ここほら作ってあるでしょ」って。良いところだけ見せられて、本当に作らなきゃいけないところは見せない、という状況になっちゃうわけですよね。
そうすると、自分達がその国でマーケットシェア2割取るためには3割取るためには、どういうパイプラインを引くべきなのかっていうのを、最初にデザインするっていうことは凄い重要なんですよ。10年先を見据えて、販路というパイプラインのデザインをする。それを一気に作れないというのは分かってるので、じゃあ今年ここまでやる来年ここまでやる再来年ここまでやるっていうこのデザイン力。ここがまだ絶対的に欠けてるってが1つですよね。
2つ目はビルドなわけですけど、実際にそれを構築していきますと。この構築をしていくっていうのは、非常にデザインっていうのは絵に描いた餅なので、その絵に描いた餅をどう具現化していくかというお話ですよね。ここは本当に大変な作業になります。過去この番組でも再三お伝えしてきましたけども、そのディストリビューションネットワークを引いていく。多くのディストリビューターは、アジアでは華僑が多いので、オーナー華僑ですね。その人達とどういう風に人間関係を築いていくかということが大変重要になってきて、その各種テクニック論っていうのは過去のポッドキャストを聞いてもらえれば色々出てくると思いますけども、そんなことをやっていくと。
多くの日本の企業は、代理店決めたら「後お願いね」というスタンスなので、その後マネジメントをしないと。残念ながらアジアのパイプはすぐ穴が開くしすぐ錆びるしすぐ詰まるしということなので、常に詰まらないようにメンテナンスをしないといけない。穴が空いたら直さないといけない。そういうことを常時やってかないといけない。強いチャンネルを持っている先進的なグローバル企業ってのは皆んなこれをやってるんです。しっかりデザインをして、それをしっかり作って、そしてそれをしっかりメンテナンスすると。マネジメントしていくということなので、このデザインをしてビルドしてメンテナンスをするっていうことがやっぱりすごく重要で、これを3年5年7年10年かけてどんどんどんどん太く強くしていく。最初はストローみたいなパイプになっちゃうわけなんですよね。そこに毎分50ccぐらいしから商品が流れないところでね。太く長くしてって、毎分何十リッター、もしくは何十ガロンって流れるようなものにしていかないといけないので、生き物なわけですよねパイプってのはね。チャネル販路ってのはね。
なので、そんなことをしっかりやっていかないといけないと。
日本でも思い出して欲しいんですけど、皆さんの会社が創業した時、戦後なのか戦前なのか分かりませんけどもね、皆さんそれぞれだと思いますけどもね。50年100年の歴史があって、その時の創業者はそれやってきたんでしょう。海外展開ってのは第二創業なので、それを異国の地でもう一回ゼロからやろうとしてるのに、3年でなんとかなるとかね、なんか代理店に任せてあとお願いねって、日本でそんなことやないですからね。そこの考え方を根底から変えていかないと、なかなか難しいというのが海外でチャンネルを作っていて実感をすることなんですよね。
でもね、日本で言うと、もうパイプは引かれてるんですよ。パイプが引かれてるところに蛇口をひねる消費者やユーザーがね、あまりにマニアックだしあまりに高度だから、今まではミネラルがこれぐらい入った水を流してたんだけども、急に時代が変わって超軟水じゃないと飲まなくなっちゃったとかね。ビタミンが入ってないと飲まなくなっちゃったから、メーカーは開発を何回も何回もやって色んなものを流して行って、マニアックなユーザーや消費者に答えていくってことをするわけでしょ。基本的に日本で行ってる事業っていうのは、この作りとかパイプデザインすることとかパイプを作ることとかパイプをメンテナンスするって、日本の代理店は優秀ですからメンテナンスなんて殆ど必要ないわけですよ。そのいわゆる強固なチャネルを作る3つの重要な仕事っていうのは、日本ではやってないんですよね。何をやってるかって、中に流す水をどうするかっていう議論を日本ではやってる。海外、特にアジア新興国に行くと、中で流す水の重要なんだけど、そもそもこのパイプをデザインするとか、パイプを作るとか、パイプをメンテナンスするっていうことが大前提として必要な市場で。ここを分かってくれると、すごく前に進むんですよね。結局ね、今世界がそれだけグローバル化して日本の競合だけじゃなくて、世界の競合と世界を市場に戦ってるわけじゃないですか、メーカーっていうのは。そうすると、皆さんの今の海外のチャネルが、毎分1リッターしか流れませんと。一方で競合がこのチャネルや販路の重要性に気づいていて、まい分5リッター流れるチャネルを持っていて、それを10リッター20リッター流せるようにね、どんどんどんどんメンテナンスしてってたら、もう日々チャネルの中を流れる水の量に差が開いてくわけですよ。これがガロンの差になってきたらね、もう追いつけないわけですよね。だから早くチャネルやんないといけないよと。中長期の投資だよってことを、再三この番組でも申し上げてる、というお話でございました。
阪西:分かりました、ありがとうございます。ではそろそろお時間になりましたので、この辺で終わりたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。