東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:では森辺さん前回に引き続き、セミナーとか講演の中で出た質問内容を共有したいと思うんですけども。結構皆さん興味があったということを聞いてるのが、先進グローバル企業と日本企業の組織体制の違いってどうなってるんですか、みたいな。自社のことをよくわかってるので、グローバル企業はどうなってるのかってすごい興味があると思うんですけども。この辺はどうなんですかね。
森辺:そうですね、組織体制っていうと非常に意味合いが広いんですけど…非常に分かりやすい部分から言うとですね、先進グローバル消費財メーカー10社って全部欧米の会社じゃないですか。それがアジア新興国の現地法人に行った時に、欧米の白人がいるかっていうとね、いないんですよね。
結局その組織体制がね、欧米の本国の人達っていうのは、そこに法人を開けて、そこでビジネスが回る仕組みを作って、それを運営してる人をアサインして、もしくは教育をして、そしてその地を離れて、本国であったり、ホンコンとかシンガポールのリージョナル・ヘッドクオーターから、それをマネジメントするという、そういうやり方なんですよね。
例えばインドネシアとかもね、インドネシアの法人のトップはインドネシア人で、これをインドネシアでアサインする場合もあるんですけどね、多くはね、アメリカの大学を卒業したような、アメリカで活躍してるインドネシア人をアメリカで雇用して、それをインドネシアに落とすとかね、こういう事やってるわけですよね。だから非常にグローバルなインドネシア人…僕達がインドネシアで見るようなインドネシア人じゃないインドネシア人。そういう人達が組織のトップにいるわけですよ、現法の。その下にインドネシア人が、インドネシア人を作っていくと。一方で日系企業はどうですかと。インドネシアの日系企業で、「日本人がうちはいません!」という会社なんてまずないですよね。トップは絶対日本人ですよね。
だからそこがもそもそも違っていて、3年いて何とか仕事に慣れて、5年でちょっと仕事ができて、10年でよく分かるということだと思うんですけどね。日本人が10年インドネシアにいるのと、さっき僕が言ったようなインドネシア人でアメリカで教育受けてインドネシアに戻ってるようなインドネシア人とね、パフォーマンスどっちが高いかって、流石に敵わないじゃないですか。
だからそういう意味で、組織の組み立て方が根底から違うっていうのは、ひとつ大きくありますよね。
東:その違いって、どういった影響を及ぼすということを森辺さんはお考えですかね。
森辺:結局そういうインドネシア人が、例えばインドネシアの小売との交渉をする、もしくはディストリビューターの交渉するっていっても、やっぱり日本人が出てきてやるのとね、向こうの受け止め方ってやっぱ全然違いますよね。人間関係の作り方も全然違うし、そりゃもう日々の細かなところで圧倒的な差が出てくる。部下の求心力も全然違うんですよ。インドネシア人にとって、そんなインドネシア人てもう憧れの象徴じゃないですか。片や日本から来た日本人ね。優しいのかもしれないけど、基本的にはいつも日本人同士で日本食食べて帰って、日本人カラオケ行って帰る。もうそれ見てるわけじゃないですか。その求心力とそのアメリカ大学アイビーリーグ卒のインドネシア人とね、どっちが求心力あるかつったら、やっぱり社内的な面で見てもね、求心力の違いってのもあるし、日々の業務プロセスそのものにも大きな差があると思うんですよね。
後、発想の領域。そこの地で事業を組み立てていく回していく、その発想力とか人脈・プロセスその全てにおいて大きな違いがやっぱりあるので、その違いがあることにすら僕たち日本人は気づけないんですよね。だから余計怖いっていうことだし。なので、これはね結構クリティカルな問題なんですよね…と思います。
東:そうすると、その辺は どうして行ったらいいのか。
森辺:改善策ですよね。僕はね、究極は本社のグローバル化なんですよ。なんで日本人を現地に送んなきゃいけないからつったら、東京の本社がやり取りしやすい相手を送りたいからなんですよ、究極の理由は。アメリカの大学を卒業したアイビリーグのインドネシア人の、英語はめちゃめちゃ綺麗なね、マイケルなんとかみたいな人を送っていくマネジメントって大変じゃないですか。だって東京の本社がドメスティックなのに、そんな人をマネジメントするって、自分より長けてるわけだからね。だからその本社グローバル化していかないと、現法をグローバル化させるって事は難しくて、そこがね日本企業のすごく大きな弱点だと思うんですよね。だからここを変えて行かないといけないんじゃないかなと思いますけどもね。
東:分かりました。じゃあ森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。