東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:じゃあ森辺さん、前回前々回に引き続き、講演とかセミナーでの質問内容をリスナーの皆さんで共有したいと思うんですが。
もう一つはグローバル展開の際に、現地での決定は良い面もあるがマイナス面もあるのではないでしょうかと。良い面とマイナス面がどうあるのかっていうのは、森辺さんの意見を教えてくださいみたいな質問があったと思うんですが。
森辺:この質問の意図はですね、現地に権限委譲をしてね、現地でいろんなことを決めていくって、当然良い面もあるし悪い面もあるだろうと、それをどう思うかという事なんだけども、僕は基本的には権限委譲ドンドンすべきだと思っていて、現地で物事をパンパンパンパン決めてかないと、現地のビジネス環境があって、その環境の中であるその判断をしてるわけですよね。だからそこを判断させないと、日本の全く違う環境の中で判断をするってのは難しいことなので、現在に判断をさせると。
ただ、当然間違った判断をしてしまった時に、本社側で分からないことを向こうに権限を委譲して判断させてるわけだから、もしそれがダウンサイドに動いちゃった時にね、本社で歯止めがかかんないわけですよね。バックアッププランが用意出来ないと。何故ならば、本社ではよく分らないから現地に判断させてるって話なので、アップサイドの時は良いんですけど、ダウンサイドの時にはマズイと。
結局、グローバル消費財メーカーって言われる人達もね、現地に何でもかんでも判断させてるかって、必ずしもそうじゃなくて、一々本社の承認を取らしてるんですよ。ただ、絶対にかえちゃいけない所ってのは本社でしっかり決められていて、そこの軸は一つあると。その上で、本社に承認が必要なもの・必要のないもの、この3段階が明確なんですよね。日本の場合は、「何でもかんでもとにかく本社に確認だ」ということになっているので、現場に権限が以上されてないから、基本的には1から10まで本社に確認をすると。ただ本社も、そんなこと聞かれてもよくわからんなーと。お金がかかるんだったらダメよ、かかんないんだったらとりあえずちょっとやってみたらっていう回答になっちゃうわけですよね。
だから、その軸を明確に決めるっていうことが重要なんじゃないですかね。何を判断しちゃダメで、何を承認取らなきゃダメで、何を判断していいか、っていうことだと思うんですよね。
東:マイナス面というのは、売上が下がったり利益が下がった時に、本社側が全く分かってないことだと歯止めがきかないので、より悪い方向に行ってしまう可能性があるという。
森辺:そうですね。
東:なるほど。その辺の判断基準をきちんと決めないと、なかなか現地だけに任せっきりってのも難しいんじゃないかということですか。
森辺:そうですね。だから逆に言うと、ブランディングとかね、会社とかプロダクトのブランディングとかっていうのは本社が決めることで、変えちゃいけない部分だと思うんですよ。けど、この現地でのマーケティングとかセールスとかっていう部分に関しては、やっぱり本社に権限を移譲してやらせていくっていう事だと思うんですよね。
その中で、予算とそれから経費と売り上げとの関係で、予算をどう組むかっていう話だと思うんですけどね。マイナスっつってもそんな大きいマイナス無いんで。日本企業の場合はどんどん現地に判断させて、ガンガン行けっていう、どっちかというとそっちの方が良いと思いますけどね。
東:分かりました。じゃあ今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。