東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:じゃあ森辺さん、前回に引き続き、サッポロさんのグローバルの流儀の内容を少し共有頂きたいんですけれども。実際北米とベトナムに力を入れてやってきたと。それぞれ具体的にどんなことをやってるのか、少しここで共有いただければと思うんですけど。
森辺:サッポロホールディングスの野瀬取締役との対談で、北米に関しては仰ってたのは、一つ大きいのが1960年代に海外への輸出を始めてるんですよね。
東:じゃあ相当早いですね。
森辺:相当早いんですよね。北米市場で、今アジアビールのシェアとしてはナンバーワンを築いていると。そんな中で野瀬さんがおっしゃってたのが、やっぱりカナダの業界3位のビールメーカーのスリーマン買収したっていう事が一つ大きなあれになってるんだけど、これの買収って10年前なんですよね。10年ぐらい前にここを買収していますと。後トヨタ通商、アメリカとの合弁会社で、果汁飲料メーカーのシルバースプリングシトラス社と、業務用の果汁飲料の製造大手であるカントリーピュアフーズ。これも傘下に入れてるんだよね。だから結構M&Aもしっかりやってますと。
特にアメリカは、言ったら全米に配架してるんですよ、既にサッポロは。ただ野瀬さんも仰ってたのは、まだまだやっぱり弱いエリアもあるから、これから強化をしてかなきゃいけなくて。実は「○○」(4'02)クラスのディストリビューター全米で250社ほど使ってると。
東:すごいですね。
森辺:あれだけ広い国でね、250社ぐらいは当然使わないといけないので250社使っていて。それでもディストリビューションネット…全米のね、全ての消費者に届ききっていないという風に言っていて、弱いエリアもあるという風に自覚もしていて。だからさらにアメリカに大きなポテンシャルがあるから、これからも投資をしていくということを仰ってましたね。
なんで…でもすごいですよね。アメリカで1960年代に輸出始めてね、しっかりM&Mもやって、ディストリビューション・ネットワークが重要だという事を当時から気づいていて、250以上の問屋をちゃんと活用して隅々まで配架をしている。そのディストリビューションシステムを作り上げているっていうことは、非常に評価できる内容だなぁという風に感じましたね。
東:なるほど。一方でじゃあベトナムの方はどうなんでしょう。
森辺:アジア第三のビール消費国であるベトナムの市場に関しては、確か2010年だったかな11年に工場設立していますと。アジアに関しては少し前回も話したかもしれないですけど、今からねちょうど40年ほど前にポッカがシンガポールに生産拠点作って活動しててね。僕が1980年代向こう住んでた時にね、ポッカのミルク珈琲てすごく有名だったんですよ。今ではね、お茶系の飲料ではシェアナンバーワンなんですよ、ポッカね。
東:ああ、そうなんですね。
森辺:地元のね、シンガポールの人はポッカ自国のメーカーだと思ってる、ブランドだと思ってるっていうぐらいにポッカって浸透してて、そこと経営統合をしてるんですよね。だからそれも、アジアの事業では非常に大きかったと。そこでのノウハウを足かせにベトナムアジア第3位の消費市場への挑戦を開始したというのがあって。
ベトナムはアジア第3位の消費国でしょ、ビールの。だからここへの取り組みを始めたんだけど、普通はある程度輸出してね、チョロチョロ売れてって、ある程度のマーケットシェアを維持して、チャネルができたから工場投資しましょうっていう段階を踏んでいくんだと思うんだけど、もう「アジアで第3位のビール消費国を取らないわけにはいかない」っていう思いがあったんでしょうね。だから経営判断が早く、もう工場投資決めます、ボーン!決めて、工場が出来上がる2年間の間にね、販路を作って、一気に販売を進めてったっていう、そういう流れがあったと。という感じで、ここなんかは開拓者スピリッツのね、覚悟みたいなのをね、野瀬さんと話して感じましたね。
東:じゃあベトナムでは具体的にどういったことを…
森辺:ベトナムではですね、サッポロビールは市場を3つにカテゴライズしたっつってましたね。プレミアムとメインストリームとローエンド。まずプレミアムから入ってったんですよ。ここにはハイネケンとか欧米の競合ももう既に入ってて、ここでのいわゆる存在感・認知を上げるということをまず取り組んだというのが最初のアクションで。
今では中間層をターゲットにした、いわゆるメインストリーム向けの商品を発売をしてるんですよね。それがブルーキャップっていうブランドなんですけど。結局ベトナムのプレミアムビールから入ってってブランドを確立して、けどメインストリームで売らないと当然MTの数も1200程度で限られてて、一方TTの数50万店あるって言いながらね、もうどう考えても中間層取ると。
なおかつ富裕層とか上位中間層の人達も、メインストリームとか中間層の人達が飲むビールをやっぱり欲してるらしいんですよね。そこの商品を作って行くんだっていうことで、ブルーキャップが生まれて、それを今は中間層に押し込んでるという、そんな取り組みですね。
東:そうすると、プレミアムのカテゴリーでは、ある程度サッポロさんとしてはブランドが確立されたというような形なんですかね。
森辺:ご謙遜されてましたけどね。我々が客観的に見ても、モダントレードの市場でサッポロビールはベトナムで完全にブランドを僕は確立できてると思うし、いずれの主要MTを見てもいい所に置けてるしね。SKUもかなり大きく取れてるし、それはしっかりやれてると思いますよ、プレミアムカテゴリーでは。
中間層向けのブルーキャップは、まだまだこれからだっていう風に野瀬さんも仰ってましたね。
東:では今後ブルーキャップがどういう展開になっていくのかっていうのがひとつ楽しみというか…
森辺:大変楽しみですね。メインストリームの市場取ってナンボだって仰ってたんで、そうですね。
東:分かりました。じゃあ今日はここまでにしたいと思います。じゃあ森辺さん、ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。