東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:じゃあ森辺さん、前回はエースコックの村岡社長との対談の内容を少しシェアいただいたんですけれども。なかなかエースコックのカップ麺とかっていうのは消費者は知ってると思うんですけども、そこの社長がどんな社長かとか、会社がどんな会社かってなかなか知る機会がないと思うので、皆さんも一度は食べたことがあると思うので、もしよろしければ差し当たりないところで教えていただければと思うんですが。
森辺:いろんな消費財メーカーの社長さんにお会いしてますけど、その中でも一言で言うとすごいあったかい感じの人。会った瞬間にあったかさがこう「わーっ」と伝わってくる方で。ものすごいね、感謝の気持ちの強い人なんですよね。対談をこちらからお願いしてるのに「ありがとうございます」「ありがとうございます」って何回もおっしゃっていただいてね。お話しする中でもその消費者への感謝とか、ベトナムで成功させてもらってるからベトナムへの恩返しとかね、そういう言葉がすごく聞かれて。感謝の気持ちの強い人なんだなっていうのは、すごくありましたね。あたたかいって、繋がるじゃないですか、感謝の気持ちと。
一方でビジネスに関しては、結局村岡社長が一番大切にしてるのは消費者なんだと感じたんですよ、対談の中で。結局、消費者が望んでることを自分はどうやるかっていうことしか、彼の中ではないんだと思うんですよね。消費者が欲しいものを作るし、消費者が繰り返し買って彼らの生活の中に溶け込めるような値段設定をするし、彼らが買いやすい売り場にそれを置くし、彼らが選んでくれるようなプロモーション投資をするしと。非常に単純明快で、「それ以上考えること、他にあるんですか?」ぐらいのね、方なんだと思うんですよね。
社長なんでね、こういう対談ものって45分から1時間ぐらいでパット終わらせるんですよ。事前に広報の担当者と打ち合わせをして、お忙しい社長の時間を極力短くするためにバーッってやるんですけど。なんだかんだでね倍ぐらい時間もらって、1時間半か2時間ぐらい時間いただいてね、すごくいい方でしたね。お土産もたくさんいただいてね。即席麺をね、まだ食べきれてないですけど。益々のエースコックが好きになりましたね。コンビニ行った時「選ぼうかな」っていうそんな気持ちにさせてくれる、そんな社長さんでした。
東:ありがとうございました。そしたらベトナムの話に戻って、大体ハオハオが置かれてますと。具体的にどんな競合がいてそれだけのシェアを握れた要因というか、どうして成功したのかってのは、前回も少し森辺さん話しをしていただいたと思うんですけど、その辺は具体的に挙げるとどんな印象を持ちましたかね。
森辺:まず彼らの成功要因、前回語ったような話もあるんですけどね。とにかく進出スピードが早かったっていうのが一つで、即席麺の市場がまだ成り立ってないタイミング、1995年にはもう販売してましたから、93年に出てね。とにかく早かったんですよね。結局村岡社長もおっしゃってましたけど、TT50万店のうち30万店は食品が置けると。そこに即席麺っていう物が置いてない中で、一番最初にそこに即席麺を置いたら勝ちだったと。「だから結果として早いのが私たちが勝てた要因なんですよ」って謙遜されてましたけどね。でもその早いってこともすごいことじゃないですか。だって誰もやってない経営判断をやらないといけないので、そこってすさまじい経営判断だと思うんですよね。
一回並ぶと、二番煎じ三番煎じが中々入り込めない。だってTTの棚狭いし、「いやもう即席麺あるよ」って言われたら、次の二番手をね、一番手が入ってしかも売れてたら、二番手に取り替える必要性が無いじゃないですか。かといって、二番手も置くだけのスペースはTTにはないわけですよ。そうすると何か特別なことをしないと、TTのオーナーは置いてくれないと。そうすると二番手は利益率は下がったりとかね。そういう話になるわけですよね。
その間にハオハオのブランド力がもうを圧倒的にベトナムで指示されちゃった。だから彼らはそこに投資したって言ってましたからね。しっかり投資したので、ベトナムの消費者がハオハオはベトナムの食品だと思ってるんですよ。だからそれはすごく要因になったんだと思うんですよね。
すごくね、いっぱい苦労してて、実は。例えば、18円とかにするためにね、その原材料どうするとかね。一つエースコックが絶対ブレない軸ってのは安心安全なんですよ。インスタント麺って言うと何か健康に悪いとかね、毒々しいとかっていう印象があるけども実はそんなことなくて、すごく健康に害のあるものは実は全く入っていないっていうことで、人の安心安全を守るっていう軸はずらさないと。それ以外の品質過多は一切しない。例えば日本だと、ものすごい高級な袋に入ってるじゃないですか。高級っていうか頑丈な。でも海外に行くと即席麺の袋なんて、ちょっとピッてやったら破けるようなね、でもあれでいいわけですよ消費者は。だからああいう包材を作る業者を、日系を普通は連れてくじゃないですか。そうじゃなくて、ローカル企業を育てたって言ってましたね。麺を作るための材料、そういうものを調達して一次加工するような、そういう工場も5年がかりで育てたってつってたんで、そういうことを散々投資をしたから、93年に決めて95年に販売開始して、そっから上手くいくまで…最初はいろんな失敗があったらしいんですよ。最初から18円で売れないんでね。5年ぐらい散々苦労して、2000何年にハオハオができて、そっからって言ってましたね、一気に。そういう苦労を乗り越えてきてるっていうのは、すごくねエースコックのアジア新興国のノウハウとしては、たくさん詰まってるんじゃないですかね。
東:なるほど。そうすると、商品を開発するのに結構時間がかかったと。結構日本企業だと、こう考える経営者の方もいると思うんですけども、その商品ができてから工事投資をするみたいなことを考えて、まず商品開発を現地でやりなさいと。それから工場投資をしますじゃなくって、エースコックさんは工場を投資して、そこからそこで商品開発をしたっていうことですよね。
森辺:社長おっしゃってたのは、当時は工場を建てたじゃないですか。そこで即席麺作って売っていこうって始めたわけですけど、でもそんな18円で売れるハオハオなんて生まれないし、現地のことを考えてと言っても最初はね、おそら日本の色が多く出てて。その中で結局彼らの中間層以下が買える値段にするためには、もう仕入れから全部変えないといけない、梱包材から全部変えなきゃいけないと。そのためには、協力会社を育てるしかないって事をおっしゃってて、それに気づいたんだと思うんですよね。出て、最初やってたと。確かに富裕層には買ってもらうけど、数が出ないじゃないですか。マーケットシェア5割なんて無理ですよね。その中で気づいて、そこに投資をしてたっていうことだと思うんですよね。やり切ったっていう。だからそこやらないとアジア新興国って絶対爆発しないじゃないですか。だからそこはひとつの覚悟があったんじゃないですかね。
ハオハオ見てるとね、皆さんも是非食べてもらいたいんですけどね、ゼロからやってるんですよあれ。日本でこれが売れてるから、それをベースにっていう日本のエースコックの即席麺の面影が全くないんで。ゼロからベトナム人のために作ってるっていうのをね、すごく感じる商品ですよね。
東:わかりました、じゃあ今日はお時間が来たので、森辺さん、ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。