東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺:こんにちは。森辺一樹です。
東:じゃあ森辺さん、前回に引き続き水野さんをお迎えして、やっているんですけども、今回はどういうお話をお伺いしましょうか。
森辺:今日はですね、少し、前回水野さんっていう人がどういう方で、1990年代から中国で何をしてきたのかっていうのをちょっとお話いただいたんですが、今日は水野さんの会社のサービスのお話を最初に聞いてみたいなあと思います。水野さん、よろしくお願いします。
水野:よろしくお願いします。
東:よろしくお願いします。
森辺:そしたら、水野さん、今いくつか会社を中国、香港、日本というふうにお持ちになられたと思うんですが、その会社のサービスの内容のお話をちょっとご紹介いただいてもよろしいですか。
水野:わかりました。とりあえずうちの会社でやらせていただいてますのは、一応会員契約制といいますか、顧問契約をいただいて、それをベースに対応するという方式を取ってます。つまり倍の料金をいただいても単発の仕事は受けないっていうのが原則です。で、この会員契約っていうのは月当たり3万円からということ。
森辺:安いですよね。
水野:基本的には3万円と考えていただいて結構なんですけれども、こういうかたちで大体電話ですとかEメールでの回数無制限でお受けすると。で、その中からまたなんかいろいろ手を動かしてほしいと、調査してほしい方々、政府手続きをしてほしいですとか、いろんな、申告だ、税務申告だ、記帳代理だ、外貨送金の手続きだ、まあいろいろありますけれども、そういったものがあったらまた個別契約を結んでお受けするというような、こういう制度になってますね。
森辺:そうすると、その3万円で中国ビジネスに関することが聞き放題っていう、そういうことですよね。実は私も入ってます。なるほど。で、それが主のビジネスですと。
水野:そうですね、はい。で、ポイントが、いろんなことを言っていただく方がいらして、まあありがたいですし、参考になるんですけれども、やっぱり非常に多いのが、とりあえず、水野、いつもへろへろの顔してるねと。そんな回数無制限にするからとりあえずご質問たくさんくるわけで、もうちょっと料金上げたほうがいいんじゃないっていう、そういう話を言っていただける方が多いんですが、私、この3万円っていうのはとりあえず今特に上げる気もなく、この価格でいこうと思ってるわけですね。で、これについては私の一つの考え方ですか、どうやってビジネスを開拓していくかっていうやり方に非常に密接に関係してくるわけなんですが、その根っこの部分っていうのは経理部、二十何歳のときに経理部でいたときに遡るわけなんですよ。大きな会社でしたので、私、最初、財務部で、それから経理、中国の研修から帰ってきたときに経理になったわけなんですが、経理っていうのもいくつもあるんですね。一つ経理部があるわけじゃないんですよ。ですから本部経理と呼ばれてるもの、あと例えば繊維なら繊維経理、機械なら機械経理、とまあ各営業部門がまた経理部を持ってるっていう、こういう話になってまして。で、私は本部経理にいたんですね。で、そのときはやっぱり1990年代でしたから、中国の情報なんて今ほどない、まずインターネットもない時代、パソコンって一家に一台っていう、そういう時代でしたから、まず情報に飢えてるわけですね。で、中国の法律っていうのはやっぱり非常に大雑把。つまりどういう特徴があるかというと、一個法律が出ても通達がすごくたくさん出て、元になる法律の内容が通達で変わっちゃってる。あとは非常に作りが粗いので解釈の余地っていうのは非常にある。じゃあこれを、今この法律読んでるけれども、これって通達で変えられてないのかな、だとか、これってこのようにもこのようにも解釈できるけれども、どうやってこれ現場では運用されてるかと知りたくてしょうがないわけなんですが、まあ20代で好奇心旺盛でしたから。ただ何もわからない、情報がないと、こういう状態ですね。で、そのときに社内のことを考えてみた。そうすると、これだけ事業展開してるわけだから、専用も、金属も、機械も。だから絶対社内には情報詰まってるはずなのに、どうにかしてその情報にふれれないかなと思ったんですが、いきなり、「すいません、経理の人間ですけど何かトラブルあったら教えてください」みたいなこと言っても気持ち悪がられるだけなので(笑)、さらに二十何歳の若造でしたから。で、一計を案じまして、とりあえず法律をともかく読みまくって、それで社内配布冊子で中国側のポイント、会計ですとか税務のポイント、あと会社設立とかですね、そういう制度のポイントを解説してあげるんですね。これを中国とビジネスをやってるとおぼしき営業課に全部配布、ばらまいたわけですよ。そしたら徐々に徐々に、あれを書いた人間と話がしたいということで反応があって、それで相談っていうかたちで情報が吸い上げられて、それが私のまたノウハウになってって次の本を書けてっていう、冊子を作れてっていう、そういう循環になってった。つまりそのとき思ったのは、やっぱり情報っていうのは頭下げてももらえないと。情報が欲しかったら情報を発信しなきゃいけないっていうのが非常に印象に残った。で、今回はやっぱり本を出したですとか、会員制もそうなんですけれども、いろんな連載を書いたり本を書いたり、それがもう要するに情報発信の過程ですね。で、やっぱりそれに対してアップデート状況ですとかいろんなお悩みがある方が聞きたいことがある。それを受け止めるのが会員制であって、そのサービスが今280社の会企業さんがいらっしゃいますので、そうすると回数制限なしですと、まずとりあえず聞きにきますよね。そうするとやっぱりそれがアンテナになりまして、今中国のどこではこういう問題が起こってるんだと。ですから例えば同じ地域で3件、例えば3社から同じような質問があれば、この地域は今こういう方針で動いてるんだな、北京でも上海でも広東省でもあれば全中国でこういうことが行われてるっていうのがわかると。かえってこういう部分すらアンテナとするために、この制度っていうのは僕にとっては非常に重要だという位置づけですね。
森辺:このサービスが僕も使ってて、質問をね、ちょっと困ったなと、これわかんないなっていうことを、水野さん、ちょっとご意見いただけませんかって出して、もちろん部下の方か何かから返信してもらえれば結構ですって投げるんですけどね、毎回水野さんが回答してくださって、恐縮だなあと思って(笑)、大変だったんですけど、でも全然、全部水野さんが回答するっていうわけじゃないんですよね。
水野:そうですね。やっぱり本来的にはあれなんですけれども、ただご質問いただいて、部下の、まあ部下も部下なりに忙しいですから、そのマンパワーを考えて、大体ご質問いただくと半分以上のものっていうのは僕が即答できちゃうんですね。そしたら部下に振ってやらせるよりも僕が回答しちゃったほうがみんなのためになるだろうということで(笑)、回答すると。
森辺:サービス経営側としてもお得な感じしますね。
水野:あと、中にはやっぱり税関に聞かなきゃいかん、外管局に行かん、ともかく政府機関に聞かないと回答が難しい問題っていうのもありますので、そういうこともやっぱり部下に相談する、優先度、政府機関に相談させて、確認させて、そして回答すると。こういうステップになりますよね。まあ今の中国の政府機関も意外と進んできてますから、一般的な回答でしたら税務署でも税関でもホットラインが出てますからそこに聞きゃいいんですね。そうするとある程度、通り一遍な回答しか出てこないので、そこからさらに突っ込んで表面的にはこうかもしれないけれども、これこれこういう特殊事態があったときにはどうするのっていうときにはやっぱり、その場にいて顔見せないともっと信頼性の高い回答っていうのは取れないので、そうなってくるとやっぱりまた別にご契約をいただいて手数料と契約料、こういう対応になってるっていうことですね。
森辺:そういうことなんですね。なるほど。それで、御社のいわゆるコンサルテーションの専門領域というんですかね、例えば私だと調査であったりマーケティングであったり販路構築だったり、どっちかっていうと売り側のほうをずっとやってきているんですけど、水野さんの会社の専門領域っていうのは、一つが法律、それから税務、それから労務、そんなところが中心なんですかね。
水野:そうですね。基本的には私のノウハウを発展させてきたところですので、まず開始してきたところは会計税務ですとか外貨管理ですとか、そういう財計関係から発達してますよね。それからやっぱりこういったかたちでご相談をお受けしてる過程において、税関の話ですとか通関ですね、あとやっぱり会社を作ったりつぶしたり組織変更したりですとか、そういう会社登記関係の話ですとか、あと経営コンサルティング的な話もありますけれども、やっぱりそういう話が徐々に徐々に増えてきて、それは会計税務の相談よりもそういったような、通関だ、送金だ、政府登記だとか、そっちの話のほうが増えてきちゃいましたので、ですからそういったところに徐々に発展してきましたっていう、こういうことになりますね。
森辺:なんかちらっと水野さんの会社からのメールマガジンを最近見たんですけど、会員向けには水野さんのレポートがものすごい安い、2000円とか3000円とかでお配りになってるって。
水野:そうですね(笑)。
森辺:あれはどういうものなんですか。会員特典なんですかね。
水野:ええ、とりあえずうちの契約って3カ月契約で。森辺:3カ月なんですか。
水野:はい。ですから、とりあえず3カ月経ったら随時解約できますよっていう制度してるんで、こちらはこちらで絶えず会員サービスをちゃんと充実させないといけないねっていうプレッシャー、あえてこの制度にしてるわけなんですけど、その点で1回ですね、会員様向けの無料セミナーを開いたり、まあ毎月1回と言っても今のところ香港と日本と上海でやってますから、3回と。で、会場がちっちゃい会場使ってますので、2回やっちゃったりすることもあるとかですね(笑)、あとやっぱりそういう会員様宛のレポートですか、これも極力有用なやつっていうのを割安で提供して、これを読んでいただくことによってまた新たな質問ですとかがくるでしょうから、だからそれを読んでいただいてまた発生した問題をまた投げていただいて、というような材料にしたいなと思ってるわけですね。
森辺:恐らくね、水野コンサルタンシーサービスの利用者として一言申し上げますと、別に水野さんの肩を持つとかおべんちゃらを言うっていうわけじゃないんですけどね、お得。何にせよ、支払いをしてる金額以上のリターンがあるっていう、それをすごく感じましてね。なんかそれをすごく、僕も使ってみてそんなふうに思いましたね。
水野:まあそう思っていただけると非常にありがたいですね。
森辺:いや、多いですね。水野さんのサービスとか水野さんの、あれなんですけど、悪く言う人はいないですよね、広東省含めて。だから人柄が本当にサービスに出てるんだなっていうのは前からずっと思っていて、これだけ長く一つの地域で同じサービスをできてるっていうのは、われわれも見習わないといけないところが非常に多いんじゃないかなっていう、信用と看板っていう話、前回していただきましたけど、そんなことがすごくサービスに出てるんだなっていう。
水野:やっぱりこの業界って狭いんですね。つまり、例えば中国に、上海なら上海で登記されてるのが大体4、5万人いて、実は倍ぐらいいるんじゃないかなとか、いろんなこと言っても、でもやっぱり中国にいる日本人って限られていると。もちろんローテーションしますからあれですけど。で、こういういいうわさも悪いうわさも伝わるのが早いですので、やっぱりこういうところで信用を、ちゃんと頼まれたことをやって、言ったことは守って、それを着実にやってくっていうのがやっぱりビジネスのポイントになっちゃいますので、信用っていうのはやっぱりそういうかたちで構築していくものだというかたちだと思いますね。
森辺:ありがとうございます。じゃあそのサービスのご説明をちょっといただいたんですけど、ちょっと突っ込んだお話で、お客さんから受ける、いわゆるコンサルテーションであったりご相談というレベルでも結構なんですけど、どんなようなご相談が多いんですかね。もちろん時代時代によって変わってくるとは思うんですけど。
水野:そうですね、やっぱりトレンドっていうのがありますよね。ですから例えば税務調査とか税関調査が厳しいときってあるんですよ。何かというと、何かあって税収落ちると必ず税務調査に行くので。例えば2003年にSARS(サーズ)がありました。それでその次の年が税務調査厳しくなった。2008年にリーマン・ショックありました。その翌年また税務調査。で、去年はまた輸出の若干の鈍化ですとか、はたまた、要するに流通税改革っていうのをやって、税負担を減らしますよっていう改革なんですけれども、その結果やっぱり本当に税収が落ちたわけですね。これはいいことなんですけれども、だから、で、高らかにこれだけのことやったって宣言してるんで、それだけにしといてくれりゃあいいんですけれども、やっぱり税務調査はノルマがあるから、向こうも(笑)。ですからやっぱりそういうような年っていうのは、こういうことを税務署から言われた、税関から言われたけれども、言われたことは法律のどの辺に合致してることなのか、これは抗弁の余地があるのかどうなのか、理論的に、っていうご質問が増えますし、あと恒常的に多いのが、例えばこの項目で例えば設計益もも提供したとか、あとは、こういう権利をっていうか商標を使わせたですとか、はたまた出張者を派遣したとか、こういう内容でこの金額で利益を日本に送金できますかですとか、こういう話っていうのは多いですよね。で、あと、去年っていうのは中国のリスクっていうところが語られたところだったので、撤退したらどういうことが起こるのか聞いときたいなだとか、もうちょっと投下資金とかリスクをミニマイズしてビジネスの行い方とか、そういうご相談がやっぱり多かったですよね。デマが非常に飛び交いますからね。中国では利益が出ても配当できないだとか、会社つぶしても【ざいやく】(00:15:31)に【昇進】できないとか、うそ八百なんですけど、それをしたり顔で言う人間が非常にいて、まあ要するにそれでビジネスにつなげたいと思ってるんでしょうけど(笑)。そういうデマを取り去って、本当の姿をどうやって解説していくかっていうのがやっぱり重要なんですけれども、まあただ、その過程の中でとりあえずトレンドとしてはそういったような、要するに状況が変わればご質問も変わりますけれども、そういった感じの会社の話、税務の話、外貨管理の話っていうのは比較的、恒常的に多いですよね。
森辺:じゃあもう、まさに経験値がないと、要は「実態どうなってるんですか、水野さん」みたいな、そういうところのご相談になってくるわけですもんね。
水野:そうです。やっぱり前にも申し上げました、私が20代の経理のときですね。要するに、法律をたくさん読んで書きました。で、社内配布冊子を作りました。で、それで評価を受けました。それはそうでいいと言やあいいんですけれども、非常に私個人として限界とフラストレーションをそのとき感じてたわけですよ。つまり中国で実務経験したことがないと。私は福建省で1年間実務研修性をしただけですっていう状況だったので、つまり法律を読んで書くことはできたんですけれども、いったいこれが現場の運用でどうなってるかっていう話がさっぱりわからない。で、とにかく早く駐在に出て、ビジネスの実務経験を積みたいと。この法律で書いたことが実務ではこうなってるんですっていう発言ができるようになりたいっていうのをすごい20代の頃から思ってまして、それで1997年に香港に行ったときにはもう、しめたと。もう、呼ばれてもいないのに首突っ込んで(笑)、「困ってるでしょ」みたいなこと言ってですね。で、それを繰り返したんですよね。
森辺:それがでも水野真澄の強さですよね。
水野:やっぱり現場を、法律はもう当たり前、これできなかったらもうコンサルタントとは言えないですからね。それをわかって、じゃあ現場がわかると。私、本当に納得できないと自分で税務署やら外貨管理局とか税関とか行って確認したり交渉したりしますから、一番遠くでは雲南省の昆明の税務署の人間と何度も私、出張に行って話しましたから(笑)。そうすると、自分がこういうこと言ったら相手は恐らくこういう返し方してくるなっていうのが徐々に徐々に体験でわかるわけですよ。で、これってやってみなきゃわからないです。ですので税務署の人間に「これっておかしいんじゃないですか」って言っていいのか悪いなのかだとか、非常にプリミティブな話だと、そういう話もよくわからないわけで。だからやっぱり、そういうことをやった経験があり、そして解決してきたっていうのが、それがやっぱり自信になってるのは確かですね。
森辺:そうですよね。だからそれが本当に、そういう意味で、本当に、水野さん以上にそれを早くからやってた人って多分ほとんどいなくて。で、今の本当にその、支援者の多くも水野さんの25冊ですかね、書いた本を読んでそういうことを学んでるんで。でもやっぱり本を読んで学んで、プレゼンテーションもできても、実際にじゃあその対応ができるかっていうとなかなかそうじゃないですもんね。
水野:そうですね。やっぱりその方式をどうやって作るかっていうのがやっぱりずっと20代の頃から、まあやっぱり、こういうことをやりたい、で、そういう仕事にあこがれてきて、で、一応それを実現するためのシステムですとか、あとは組織、人ですとか、そういったものを考えてきて今に至ったっていう話だと思うんですけどね。
森辺:で、あれですか。そろそろ時間近づいてきてるんですけど、水野さんのところの会員サービスっていうのは、今280社ぐらいあるということなんですけど、まだ席はあるんですか、余裕があるというか。
水野:そうですね。これって面白いんですけれども、最初この制度を始めるときに、どれだけのご質問が来るかってわからなかったんですね。ただ大体同じ制度を取ってるところっていうのは、やっぱり同じように、結局毎日毎日聞きたいことがあるわけじゃないので、聞きたいときは毎日聞きたいんですけど、聞きたくないときもあると。ならしてみるとポートフォリオがちゃんと取れるので、やっぱりどの企業様も平均すると月数件ということになると。であればやっぱり、今のところスポットサービスをベースにして会員契約の聞き放題のサービスでも1日のご質問って大体20件ぐらいしかないんですよね。であればまだまだ余力はあるでしょっていう、そういう話にはなると思うんですよね。
森辺:わかりました。ありがとうございます。
水野:はい。
森辺:じゃあ今日はこれぐらいにしようと思いますが、また次回ぜひよろしくお願いいたします。
水野:すいません、ありがとうございます。
森辺:ありがとうございました。
東:ありがとうございました。