東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:じゃあ森辺さん、前回前々回とエースコックのお話をしてきたんですけれども。結局まとめてもらうと、エースコックのベトナムでのグローバルで強さってのは具体的にどんなことかってのは、森辺さんからご説明いただきたいと思うんですけれども。
森辺:前回前々回話したことと少しかぶるところもあると思うんですけど、結局エースコックのベトナム市場における強さの秘訣は、まず最初にターゲットが中間層以下に設定されていて、そっから絶対軸がぶれていないっていうことなですよね。ですから中間層の人たちのために全てが行われていて、日本での成功体験とか日本の会社としてのやりたい・やりたくないみたいな、日本企業としてのエゴみたいなものっは一切出ない。全てがベトナムの中間層以下のためになっている。
したがって、その4Pが中間層の求める即席麺…それは味だったり、成分だったり。それが中間層が買いやすい値段、つまりは18円で売られていると。そして、中間層が買いやすい場所、ベトナムの場合はMTが1200~1300、対して食品の置けるTTが30万店あるので、そこへの配架を進めるためのチャネルを強化したと。ストアカバレッジ上がったので、最後のプロモーションの、彼らに選んでもらうためのプロモーションに投資をして、ブランドを確立した。それがうまく回ってったと。
ですから即席麺て結局いかに多くの人に、いかに早いスピードで繰り返し買ってもらうかがもう一番重要で、そのことから軸がぶれないんですよね。だから日本で人気のある即席麺をちょっと改良して出そうとか、日本よりはちょっと安くして出そうとか、そういう話に一切ならないっていうところが、彼らの強さの秘訣だと僕は理解をしています。
東:分かりました。じゃあそういったところが強いということですね。もう一つは、経営判断が早かったっての森辺さん前回言われてたと思うんですけど、そういう面ではどうですかね。日本側の本社の決断の早さとか、そういったところっていうのは具体的にどう感じましたでしょうか。
森辺:そうだそうだ、それすごく重要なことで忘れてました。経営判断が早かったと。だから今僕は説明した事に至るまでの経営スピードが、もう圧倒的に早かった。1993年に決めて、1995年から発売してるんですよね。アジア新興国にそんなタイミングで出るなら、もう5年6年苦労するのは目に見えてるので、やっぱ彼らも苦労したんですよ。その後大きな成功があったっていうことなので、とにかくアジア新興国って早く出ることがすごく重要で、そして早く出た後、そこで得るを多くの失敗を成功のエンジンに変えて、大きな長期的な成功を手に入れるっての法則なので、そこはやっぱ彼らの強さの秘訣ですよね。
東:わかりました。そうすると、結構早い早いタイミングで出てるっていうのは、一つのキーポイントになると思うんですよね。成る程成る程。
そうすると、エースコックさんはこれから、ベトナムでは我々から見ると結構な成功を得てると思うんですけども、これからはどうして行こうとするのかっていうのは、最後に教えていただいて終わりたいと思うんですけども。
森辺:これはもう公示になっていますけど、今エースコックって売り上げが900億ぐらい。うち半分が海外で、ベトナムのマーケットシェアも50%ぐらいなんですね。ここでの成功体験・ノウハウ、これが今のエースコックには相当蓄積されてるので、そのノウハウを持って今ミャンマーに着手を始めたということで。早いですよね、ミャンマーも徹底的にやっていくと。
村岡社長もおっしゃってたのがね、輸出でチョロチョロやったって、現地食にはならないと。だって高くなるし、他国で企画・開発されたものが輸出されていくので、当然現地の人のために出来てる物じゃないじゃないですか。現地の人の手によって。そういう意味ではミャンマーっていうのは、もう本格的にやると。主戦場だという風におっしゃってたんで、恐らくベトナムでのノウハウがミャンマーでも相当活かされると思うんですね。なので、これからのエースコックのミャンマーは大変楽しみだなあ、という風に感じる次第です。
東:分かりました。じゃあ森辺さん、3回に渡ってありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。