東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:じゃあ森辺さん、前回に引き続き香港からお届けしたいと思うんですけれども。マーケットとしては、日本の商品に対しては非常に馴染みが深いというか、信頼を持っている香港の人々なんですけども、そんなに大きくはないじゃないですか、人口のパイで見ると。そうすると、このマーケットを少し引いて見て、日本企業としてはどう捉えればいいのか。本腰入れるには人口が少なすぎるとか、マーケットがあんまり大きくはないと思うんですよね。例えば中国に比べたらとか、インドネシアに比べたらってなってくると思うんですけど。その辺は森辺さんどうお考えですかね。
森辺:そうですね。香港自体670万人の人口なので。ただ所得は高いですよと。大体ね、こっちの人の初任給って日本の初任給とホント変わらないんですよ。ちょっと欠けるぐらい。
東:そうすると20万弱ぐらいですかね。
森辺:なので生活レベルも良いし、売ってる物見てみたらね、最近円安だから特になんだけど、高いんですよね。確かに食事はね、安いんだけども。日本でも今食事ワンコインで別にとれますからね、あれですけど。この670万人…確かに日本と同じような所得の人達がいるといえども、中々630万人か…あ、ごめんなさい730万人。730万人はちっちゃいじゃないですか。
ただここで考えなきゃいけないのは、観光客の存在なんですよね。香港で皆さんが街で見る人の大半は観光客で、観光客が既に香港の人口を上回っていて、純粋な観光客だけで確か2700万人ぐらいいたのかな。毎年いるんですよ。それプラス、中国から毎日国境を越えて香港来て、また出てったりみたいな人達がいるわけですよね、色んな目的でね。その人達入れると5000万人とかね、そんな数字なんですよね。
そうすると、いかに香港をハブにしてね、空港としてのハブ空港だし、金融としてもハブの金融拠点になってるじゃないですか。港もそうですよね。そうすると、この香港から広東省を中心とした中国もそうだし、ASEANやアラブ諸国、インド、さらにはアフリカ、中東。こういったところへの波及を考えるっていうのは、非常に重要なんですよね。だからやっぱり香港で認知されるっていうことは、すごく意味のあることであるというのは一つありますよね。この点に関しては、シンガポールと同じですよね。
東:そうすると、香港の純粋な市場だけを見るんではなくって、そこに来ている人、純粋に観光客だけでも2600万人ぐらいですかね。そうすると、日本が1000万人超えた超えないで騒いでますけど、それの3倍近いっていうことですよね。
森辺:我々が日本の銀座や新宿でね、観光客の中国人いっぱい来ると「ああ観光客だ」ってすぐ見たら分かるけど、香港来たらどれが観光客でどれが香港人か、多分多くの日本人はわかんないじゃないですか。けどもうほとんど目に映ってる人達は観光客なんですよ。だって人口の何倍も観光客が来てるんだからね。1000万人来てあんだけ日本で騒いでるわけで、「特需だ、特需だ」って言ってるんで、香港なんてのはもう長らくずーっとそんな状態なんですよね。だからそれが特需じゃなくて、それが経済になっちゃってるっていう市場なので、そういう意味では波及効果っていうのはすごい重要ですよね。
東:そうすると、一つは香港のマーケットを見るけども、それだけではなくって流動人口を考えると、日本の企業の商品が目にする数っていうのは、圧倒的に多いってことですね。
森辺:だからそれを日本の家電のメーカーもよくよく理解してたので、パシフィック・クラブのあるあの辺の海沿いのね、ところにビル群がバーッと、100万ドルの夜景でしたっけ?言われるところに、昔日本の企業の看板のネオンがグワーッて出てて、もう右から左まで全部日本のネオンだったんですよ、企業のね。それが今全部中国の会社になっちゃってるから、やっぱりそういう意味で日本のプレゼンスっていうのは落ちちゃいましたよね。全盛期は相当なものだったんで。なので、頑張んないといけないですよね。
東:分かりました。そうするとちょっと整理すると、森辺さんなりに香港をどう見ればいいのかってのはもう一回教えていただきたいんですけども。
森辺:香港はアジアの中でもシンガポールと同じように、超先進的な国。まあ国と言っていいのか、ここ特別行政自治区なんで…エリアですと。その中で、たかだか人口は700万人強ぐらいですけども、数千万人の流動人口・観光客を考えると、世界中に波及をしていく、影響を与えていると。したがって、香港の攻略というのは大変重要になると。その香港を並行に任せてしまうっていうのは、その先を考えると大変危険ですよと。自分達でしっかりマーケティング戦略を作って、計画通りやっていかないと、良い時は良いですけど、並行は悪い時は悪くなっちゃうんで、しっかりやっていく必要が消費財メーカーにとってはあると思います。
東:分かりました。じゃあ森辺さん、今日はここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。