阪西:皆さんこんにちは、ナビゲーターの阪西です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さんこんにちは、森辺一樹です。
阪西:今回も弊社東に代わりまして、私、阪西がナビゲートさせていただきます。よろしくお願いいたします。
森辺:東ちゃん、どこ行ったの?
阪西:中国に本日飛び立ちました。
森辺:ああ、そうですか。リスナーの皆さんすみません。東、最近すごく忙しくてですね。来週も彼、北京だよね?
阪西:中国に行きますね。
森辺:さっき行ってたの?
阪西:先程。今フライト中だと思います。
森辺:ということで、すいません、阪西がピンチヒッターを務めますんで、よろしくお願いします。
阪西:よろしくお願いします。
森辺:じゃあ阪西さん、今日はどんなお話を。
阪西:今日は、ちょっとある記事に注目しまして、森辺さんにお伺いしたいと思います。日本経済新聞に出ていた記事なんですけれども、森辺さんは、株式会社明治さんのカールっていうお菓子、ご存知でしょうか。
森辺:もちろん、大好きです。
阪西:私も好きですが、皆さんご存知のカールが、東日本での販売を終了するという記事を見ました。
森辺:あったね、そんなのがね。
阪西:話題になったかと思うんですけれども、そこで西日本だけでの販売になるにあたって、その背景のポイントですね。一つ、コンビニエンスストアの存在ということで、コンビニは売り場面積・陳列棚が狭いので、売り場の効率っていうのは死活問題である。なので、カールのようなかさばるお菓子っていうのがちょっとネックになっているようなんですが、それについてどうお考えでしょうか。
森辺:時代の流れだよね。ちょっとその記事読んで無いんだけど、多分つまりはこういうことで、カールって相当古くからやってるお菓子だと思うんだよね。日本のスナック菓子系で最も古い部類のお菓子だと思うんだけど。カールおじさんが出てる、チーズ味のね。僕大好きで、サクサクした食感。
阪西:美味しいです。
森辺:そもそもカールってサクサクした軽い食感で、大きいよね。一個一個が大きいから、当然袋も大きくなるわけだよね。こういう物って空気を運んでるみたいなもんだから、言ったら運ぶ人は嫌だよね。
例えばその…カールが100円なのかな?わかんないんだけど。
阪西:100円前後ですか。
森辺:コンビニでいちいち値札を見ないからわかんないけど、100円だったとしてね。カールくらいの大きさの100円の物と、例えば100円のチョコレートと、大きさ全然違いますよね。消費者にとっては「俺は今チョコレートを食べたいんじゃなくて、カールが食べたいんだよ」っていうんで、大きい小さいとかね、密度が高い低いとか、重い重たくないは関係なくって。「僕は今カールが食べたい」「チョコ食べたい」で選ぶんだけど、それを取り扱ってる問屋とかさ、コンビニの店主とか、物流会社にしてみたら、いかに小さな密度でたくさん運べてたくさん置ける物がいいよね。
まず物流会社だったら、4トントラックの中にとりあえずたくさん入った方がいいよね。コンビニの店主だったら、限られたスペースの中で場所いっぱい2m取るもの、2m並べても1万円しか売れない…例えばね、物と、30cm並べて、小っちゃい物でね、密度の高い物でね。単価が高くて、同じ1万円になるんだったら、絶対そっちの方がいっぱい並べたいよね。並べる種類も多くなるからね。
そういう流れの中で、カールが東日本から消えると。記事読んで無いからわからないけど、なぜ東日本から消えるって、コンビニって東の方が多いでしょ?
阪西:そうですね。西の方が少ない。
森辺:西にはまだスーパーとかがいっぱいあるから、そこに置いていくっていうんだろうけど、すごく悲しいよね。明治のカールは日本の文化みたいなところが
阪西:代表的な…
森辺:代表的なお菓子だから、それが姿を消すっていうのはね。ただ、それは今のコンビニの事情、流通の事情とかを考えると、必然的な話だし、東日本から姿を消すといっても、それは今の話であってね。将来的には西日本からも消えていく話で。
カールじゃなきゃダメなんだっていう消費者にとってはカールじゃなきゃダメなんだけど、結局流通とか小売のことを考えると、もっと小さくて、もっと密度が高くて、それでカールくらい売れて、場所取らない物を、小売も流通も求めてるわけだよね。
阪西:確かに、ベストですよね。
森辺:だから、そういう商品を開発していかないといけない時代に来ている。だからコンビニ向きじゃなくなってきてるのかもしれないね。その昔、コンビニなんか無かったからさ、スーパーばっかだったからさ、デカくたって店舗大きいから多少デカい方がよかったんだけど、これだけコンビニ時代になってくると、カールのような商品ってのは中々不向きなんだろうなあと。
これは海外でも一緒でね。例えばインドネシアってコンビニがASEANの中で最も多い国で、ご存知インドマートとアルファマートが一番2強で、他はほとんど活躍できてないんだけど。一万数千店舗ずつあるんですよ、それぞれ。だから合わせて二万五千店ぐらい。もっとあるのかな?二万六千店ぐらいに今なってるかな?あるんですけどね。比較的インドネシアのコンビニはスペースがある方なんですけど、そこと比べてシンガポール、それから香港、韓国…はソウルね、のコンビニはめちゃめちゃ狭いんですよ。5人ぐらい入るともうパンパンみたいな。
阪西:狭いですね。
森辺:そんなところにカールみたいなお菓子は置けないので、スナック菓子っていうのはあんまり置いてなくて。じゃあ何が置いてあるかっていうと、プリングルスのポテトチップス。袋のポテトチップスとかいっぱい置くとやっぱかさばるし。でもプリングルスの筒を立てて置くと、全然スペース違うんだよね。
阪西:そうですね。イメージがもう
森辺:湧くでしょ?例えばでっかい袋のポテトチップスを、1、2、3、4、5って奥に置くときに、プリングルスだったら3SKUを横に並べて、その奥に5つダーッと置けるから、3倍ぐらい置けるんだよね。当然店の店主としては、そっちを売りたいのでそうなってくるし、袋のスナック菓子が置いてあっても、やっぱりちょっとサイズが小さいよね。半分ぐらいのサイズになっているっていう。だからそういう面積的な物理的な要因でそうしてるっていうのもあるし。
もう一つは、例えばインドネシアでもトラディショナルトレード、TTの伝統小売の棚っていうのは、横2m奥2mとかってのが一般的なTTで。
阪西:狭いですね。
森辺:当然ちょっと大きなTTもあるけどもね、狭い中でそんなにたくさんは置けないから。ベトナム然り、フィリピン然り。だから逆にそういう小さい物が求められるし、もう一つの観点で言うと、先に入れたもんが勝つ。スナック菓子ポテトチップス一個入れたら、ポテトチップス二個はいらないよと。だって他の物置かないといけないから。チョコ置かないといけない、ガム置かないといけない、シャンプー置かないといけない、オムツ置かないといけないと。だからポテトチップスは一種類でいいんだと。そうするとやっぱ最初に置いたもんが勝ちなんだよね。
それのいい例が、エースコックのベトナムのハオハオがそうでしょ?TT30万店に袋麺置いちゃいました。ハオハオ置いてあるから、他が来ても「袋麺二種類はいらない」と。「ハオハオでいい」と。というので、海外では物理的な理由と、伝統小売の要因でそういうケースがあるけど。
すごく面白いね。時代の流れですね、このカールの話はね。
阪西:そうですね、悲しいですが。
森辺:ただ、明治さんはカールに代わるすごい商品をまた生み出すんじゃないかなと思ってます。そんな感じで大丈夫でしょうか。
阪西:はい、ありがとうございます。ではお時間になりましたので、今日はこれで終了したいと思います。ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。