阪西:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの阪西です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
阪西:今日もポッドキャストにお寄せいただいた質問にお答えしたいと思います。
森辺:はいはい。
阪西:お願いします。質問内容ですが、「アジア新興国で成功するためには、やはりチャネルでしょうか?」という質問です。ご回答をお願いします。
森辺:なるほど。シンプルな質問ですね。
阪西:シンプルです。
森辺:まあ、結論を先に言うと、「イエス」なんですけど。チャネルです。
阪西:やはり(笑)。
森辺:アジアで成功するためにはチャネルですよと、これ間違いないと思うんですよね、イエスですと。ただ、チャネルだけじゃだめだというのもまた事実としてあって、すべてはつながっているんですよね。
阪西:はい。
森辺:すべては連鎖していて、ただ、その中でも日本企業が弱いのはチャネルであって、売り上げを上げる、マーケットシェアを得るということを「成功」と呼ぶんであれば、チャネルがしっかりしていれば、それはかなうと。
阪西:はい。
森辺:で、結局そのアジア新興国でどうやって成功するのか、どうやって売るのかと、メーカーが。消費財メーカーなんだと思うんだけどね、これ。ちょっと言っちゃいけないもんね、これ。匿名希望だから言わないけど、消費財メーカーでしょう?
阪西:はい、そうです。
森辺:で、そうするとやっぱり重要なことって、ターゲットが中間層であるということは、もう絶対重要で、30億に拡大する中間層をとらずして、アジア新興国に出る意味は一切ないと。アジア新興国に出て、ちょろちょろ富裕層やっているんだったら、もうそもそも出ないでということなんだよね。中間層を絶対的なターゲットにすると。もういろんな社内的な何か理由――「うちの商品は品質が」とか、「まずはブランド力をつけて」とか、「ブランディング的に」とか、もういろんなこと、いろんな社内で言う人いると思うんですけど、アジア新興国に行くんであれば、最初からど真ん中の中間層。もっと言ったら、その下の貧困層をねらった方がいいと言いたいぐらいなので、富裕層とか、上位富裕層議論をしないということがすごく重要で。
阪西:なるほど。
森辺:世界を牛耳る十大消費財メーカーの、欧米の先進的なグローバル消費財メーカーは、1社の例外もなく、中間層ど真ん中攻めていない会社は1社のない。なので、まずは中間層がターゲットだということにしたんでするね。その前提が、日本企業の場合崩れていると。頭では中間層ってわかっていながら、何となく上位中間層とか言い出しちゃって、で、どんどんどんどん富裕層に引っ張られていって、で、なぜ富裕層に引っ張られるかというと、商品の現地適合化しなくていいから、値段安くしなくていいからと。あまり考えなくていいから。労力使わなくていいから、だからそっちに行くんだよね。で、その言い訳がブランディングだとか、何とかだと言い出すんだけども、結果としてMT(モダントレード)の棚しか並ばないから、ストアのカバレッジが悪いと。で、結局シェアにも売り上げにもつながらないという、そういう状況になるんだよね。なので、中間層をターゲットに設定しますということと、あとその「4P」なんですよ。4Pが中間層の求めるプロダクト(Product)を、中間層が買えるプライス(Price)で、中間層が買いやすいプレイス(プレイス)で、中間層が手に取りたくなるプロモーション(Promotion)をどれだけするかという、この4Pが、中間層に対して最適化されるということがすごく需要なんだけど、最初のそのターゲッティングの設定が間違っちゃうから、ぶれちゃうからね。プロダクトも、中間層にとっていい商品じゃないんだよね。要は物のクオリティーとして、いいものを、まあまあそのいいものにしては安い値段で、となっちゃうんです。そうじゃないんだと。中間層が求めている「いいもの」を、中間層が買える許容範囲ギリギリで売ると。決して安く売れと言っているんじゃなくて、彼らの手の届くギリギリのところの値段を出すということは、そういう状態。で、プレイスも、中間層の人たちが買いやすいところは、どう考えたってMTの棚だけじゃないんですよ。TT(トラディッショナルトレード)の棚に置かないと、彼らにとっては買いやすくない。
阪西:うーん。
森辺:で、もう1つは、日本の消費財メーカーに言いたいのは、並べることと選ばれることというのは全く違っていて、チャネルが実現できるのは、並べることです。配架力。いかに多くのTTに並べるか、MTに並べるかというのは、チャネルができること。
阪西:はい。
森辺:けど、並んだものを消費者がとる、とらない。それはどうやって判断するのかというと、やっぱり消費者がとりたくなる、選びたくなる仕掛け、ストアカバレッジはチャネルで上げれるけど、インストアマーケットシェアは、プロモーションの投資が必要ですよということを言いたくて、なおかつ最初に言ったプロダクトとプライスが中間層に合っていなければ、幾らプロモーションやったって、それは砂漠に水まいているようなものですよね。だから、全部がつながっていて、中間層をターゲットにして、中間層が欲しいプロダクト、中間層が買えるプライスにして、中間層が買いやすい売り場に並べますと。プレイスね。プレイスに並べますと。そして初めて中間層が選びたくなるプロモーション投資をすると、すべてがうまく回っていくというパズルになっているんですよ。このパズルのピースがどれか1枚外れていても、絵は完成しないので、中でもこのチャネルというのが、TTが何十万店、何百万店あるから、このプレイス、チャネルディストリビューションネットワークというのがすごい重要なんだけど、このパズルのピース集めてくるのはめちゃめちゃ重要なんだけど、ほかのプロダクトとかプライスとかプロモーションのピースもなかったら、売れないですよ、成功しないですよということを言いたくて。
阪西:なるほど。
森辺:何かすげえいいこと言っているな、俺今日。すごいわかりやすかったんじゃないかな、くどかったかもしれないけど。
阪西:はい、響いてきました(笑)。
森辺:リスナーの皆さん、うちの阪西は僕の秘書なんで、僕におべっか使って、「響いてきました」とか言っていますけど、皆さんの心にも響いていたら嬉しく思います。そんな感じでどうですか?
阪西:はい、お答えいただきありがとうございます。
森辺:はい。
阪西:では、そろそろお時間になりましたので、この辺で終了したいと思います。
森辺:今日乗っているよ(笑)。終了しような。
阪西:もうちょっと聞きますか?
森辺:いいよ、いいよ。乗っているけど、終了しよう。
阪西:はい、では終了したいと思います。ありがとうございます。
森辺:ありがとうございます。
<了>