阪西:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの阪西です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
阪西:森辺さん、前回日、「セブンイレブンがインドネシアから撤退」という経新聞の記事をピックアップしました。今回はそれに関連しまして、セブンイレブンが撤退するということは、そのほかにローソンさん、ファミリーマートさんもありますけれども、こういった企業さんも撤退する可能性があるということですよね?
森辺:まあ、なはないですよね。あのセブンイレブンが撤退したからね。
阪西:これらは日系の消費財メーカーさんにとっては痛手になるんじゃないかなと考えるんですけれども、森辺さんのご意見はいかでしょうか?
森辺:つまりは、あのセブンイレブンが撤退したということは、ローソンやファミリーマートも撤退するんではないかと。これら日系のコンビニは、日本の消費財メーカーには慣れ親しんだ小売であり、その日系の小売が撤退することは、日本の消費財メーカーにとって痛手になるんではないかということだよね。結論から先に申し上げると、ならないんじゃないかなと。
阪西:ならない?
森辺:表面的にはなるようなイメージを受けやすいんだけど、結局セブンイレブン116店舗でしょう?ファミリーマートとローソン全部合わせたって300店舗ぐらいでしょう?そんなところで商品を売ったって、結局あのインドネシアの巨大なマーケットに対しては、何のインパクトもないんですよね。インドマレットが1万2、3,000店舗、アルファマートが同じく1万2、3,000店舗。コンビニでいうとそれだけあるわけですよね。近代小売りだけで3万店あるわけですよ。近代小売りのうちの、もう数でいうと8割がインドマレットとアルファマートなわけじゃないですか。対して伝統工芸が300万点あって、日系のコンビニなんてごみ粒みたいなもんわけです、店舗数でいったら。残念ながらね。だってコンビニだけで見たって2桁の違いがあるわけだから。そこを失ったからって、日系の消費財メーカーにとっては何ら痛手にはならないし、むしろ日系の小売りをあてにしているというのがそもそも間違っているからね。インドネシアの駐在妻御用達、パパイヤという日系のスーパーがあるんですよ、10店舗ぐらい。僕も好きでね。日本のものが何でも売っているからね、行くんだけれども、これは消費者として、いいスーパーだと思いますよ。ただ、日本の消費財メーカーとして、そんな日系のところだけで売って、そこが主戦場になっていたら、あのインドネシアで全くもって戦っていないところなんでね。だって1億、2億売りたいわけじゃないじゃないですか。そんな桁のビジネスを求めていないと思うんでね、日本の消費財メーカー。そうすると、そんな日系の小売りで売るなんていうのはおまけでしかないわけですよ。そうするとやっぱり、メインストリームでどれだけ売れるかという話になるし、メインストリームの地場系小売りの輸入品棚じゃなくて、メインストリームの棚どれだけ売れるかということが、売り上げ規模を上げていくし、マーケットシェアを上げていくことだと思うので、日系の小売りが撤退をしても、日本の消費財メーカーにとっては全く痛手にはならないと。むしろ諦めがついていい傾向になるんじゃないかなと。もう日系小売りに頼れないと。地場系と真っ向から勝負するしかないと思えるので、好影響しかないんじゃないかなというふうに思いますが、どうでしょうか?
阪西:なるほど。その勝負していくということなんですけど、では、日系の消費財メーカーさんは、インドネシアでどうやったら成功できるんでしょうか?
森辺:これは、どの国でも一緒なんですけど、結局、消費財メーカーが成功する方程式って、もう1つしかなくて、ストアのカバレッジを増やすことと、インストアマーケットシェアを上げること。これができたら絶対成功するんですよね。これをどう成功させるか、どうやるか。このストアカバレッジを高める。高めた上でインストアマーケットシェアを高める。これができれば必ず成功するんですよ。では、そのストアカバレッジとインストアマーケットシェアをどう高めればいいのかということが最大の課題で、ストアカバレッジって、いわゆる獲得店舗数。配架率とか、どれだけたくさんの店舗に自分たちの商品並べられるの?もっと突き詰めると、どれだけたくさんの店舗に、どれだけたくさんのSKU(Stock Keeping Unit 最小管理単位)をとれるの?という話ですよね。インストアマーケットシェアというのは、そのストアの中での同一カテゴリーでの自分たちのシェア、例えばガムを売っている会社だとしたら、1店舗当たり月の売り上げが100万円ですと、小売りの。100万円のうち5万円がガムですと。でも、その5万円は5社のガムで5万円がつくられていると。そうしたら1万円じゃないですか、均等に割ったら。けど、自分たちがいかに2万、3万とれるか。その5万円の中の何割をとれるかというのが、僕の言っているインストアマーケットシェアのことなんだけけど、この横軸のストアカバレッジと縦軸のインストアマーケットシェアをどれだけ上げられるかで赤字ゾーンから黒字ゾーンに突き抜けて、マーケットシェア上げて収益化できるということなんですよね。
阪西:はい、なるほど。
森辺:これを、じゃ、どうやって高めるかという方法が、中間層のためのプロダクト――中間層が求めるプロダクトね。中間層が買えるプライスで、中間層が買いやすいプレイスに並べて、中間層が選びたくなるプロモーションをするというわけだ。つまりは4Pマーケティングミックスをいかに中間層に合わせるか。その中にはチャネルが入っているわけですよね。カバレッジを上げるのは、ディストリビューションチャネルだし、インストアマーケットシェアを上げるのはプロモーション投資なんですよね。このチャネルがベースとしてしっかりしていなければ、商品は並ばないので、プロモーションかけても、砂漠に水まいているようなものなので、あまり効果はないと。そうすると、それってやっぱりチャネルという土台があって初めてプロモーションできていく。だからどれか1つが欠けてもだめなんですよね。それをやっていくということをやることが、成功への最短だし、ここからどこか逃げちゃう。上位、中間、富裕層。この今言った中間層のための4Pのどこかが適正でないから商品が売れない。結果として成功しないということがあるので、そこをやっぱりやっていくということだけだと僕は思っているんでね。それをどれだけ客観的に分析できるかということだと思いますけど。そんなに難しい話じゃないと思います。
阪西:なるほど、わかりました。ありがとうございます。では、そろそろ時間になりましたので、この辺で終了したいと思います。ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。
<終了>