サカニシ:皆さん、こんにちは。ナビゲーターのサカニシです。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
サカニシ:森辺さん、今日は、前回に引き続き森辺さんが好きな会社パート2ということで、2社目をご紹介いただければと思います。
森辺:この会社も前にお話した、この番組でもお話したかもしれないですけども、「やおきん」という会社で、「株式会社やおきん」、なんか変な名前でしょう? そこも気になるんだけど、平仮名で「やおきん」という会社で、資本金は高々1,000万円なんですよ。うちの会社より資本金少ないでしょ? 創業が昭和35年に創業していて、会社の設立自体は昭和56年で、従業員が69名と。
サカニシ:69名。
森辺:年商は158億円ぐらいしかないので中小企業です。どういう会社かというと菓子食料品の企画販売。
サカニシ:お菓子屋さん。
森辺:うん。玩具の販売ということで、シンプルに言うとあれですよ、うまい棒の会社です。
サカニシ:誰でも知っていますね。
森辺:うん。だから、日本の1億2,700万人の人たち誰でも知っている会社が、実はこの「やおきん」という会社で、うまい棒を売っている会社です。うまい棒以外にもいっぱい商品はあるんだけど、こういう会社がやっぱり日本の宝で、こういう会社こそ僕は海外でもっともっと成功するべきだし。でも、高々70名足らずの社員、売上も150億弱くらいの会社が、今、成長著しいアジア新興国で本格的に販路を拡大していくといっても、輸出をするということしか及ばなくて、頭は、考えは。そこにグローバル・マーケティングの要素だとか、チャネルストラクチャをどうしたらいいかなんていう発想はおそらくないんだよね。僕が外から見ている限りでは、国内の輸出入商社を使ってひたすら輸出をしますというやり方と、一方で、メーカーが感知しているのかいないのかの範囲の中で平行輸出品、平行品が海外に出ていると。特に、韓国や香港や台湾やシンガポールというような比較的先進的なアジアに限定されてしまっていて、日本では10円20円で売っている商品が向こうでは50円60円と、売っている先も近代小売が中心だし、下手したら日本の輸入品棚にしか並んでいないので顧客層は限られちゃうと。もっと言うと、日系スーパーにしか並んでいないと。こんなの海外ビジネスじゃないし、これが例え、海外売上比率が2割になりました、3割になりましたと言ったところで、150億の3割といったら50億ぐらい、45億ぐらいですから。それが言ったら、アジアならアジアの本当に一般の人の目に触れる、一般の人の生活の中に入る、日本では完全に入っているわけですよね、うまい棒はね。けど、そうじゃない状態なので、海外売上が本当に3割あるのか知りませんよ。仮にあったとしてもそうだし、円安だったら伸びるけど、円高に振れたら一気にそれって萎んじゃうわけですよね。輸出ビジネスの弱点って景気と円の為替なんですよ。為替がよければ海外輸出は伸びるので、海外は毎年伸びていますと、115%成長です、120%成長です。けど、それは戦略的に伸びているのかと言ったらそうではなくて、現地の景気がいいことが1つ目、もう1つは日本の為替が、円が安いから。向こうが買いやすいだね、円の価値が安いですから。それで伸びているだけなので、何の戦略性もそこにはないわけですよ。単に日本の輸出入商社や海外の輸出入商社を使って輸出しているだけだとすると、それは港から港の商売をしているだけで、前にも言ったけども、こんなのはグローバルビジネスでも何でもないと。重要なのは、自分たちの商品がどういう中間流通事業者を通じて、どういう小売にどういうふうに並べられて、どんな消費者がそれを手に取って、何を思ってリピートしているのかしていないのか、それを近代伝統両流通に対して配荷率を上げていく、ストアカバレッジを上げていくと、それを上げるためのディストリビューションネットワークをどうつくるかということがすごく重要で。でも、これだけ大手でも敵わないようなキラーコンテンツを持っているうまい棒という「やおきん」が、日本では逆立ちしたって、ちょっと「やおきん」に申し訳ないけど、カルビーには勝てないでしょ? 同じスナックつくっているおやつカンパニーには勝てないでしょ? 東ハトには勝てないでしょ? けど、それは高々この1億2,000万人の市場での勝負であって、勝負のフィールドを世界に広げたときに世界で勝ったら日本ではカルビーに負けていても、世界でカルビーに勝つんだよね。それぐらいのポテンシャルをこの会社は持っていて。大手の会社が海外でつまづいているのは、中小も大手も理由は一緒。お金があるとかないとかじゃないんですよ。だから、僕は、海外、アジア、新興国のビジネスは中小企業も大企業もスタートライン一緒だなと思っていて、それは最低限のお金は要りますよ。日本で全く売れていないような菓子メーカーが海外で売れるって、これは無理ですけど、ある程度の資金があれば、使うお金なんてそうそうM&Aでもしない限り一緒なんですから。そうすると、何ができていないかというと、やっぱりノウハウの蓄積がない、労力と時間を投資できていない、それはチャネルにですね。だから、大手も足踏みしちゃっているので、こういう小回りの利く会社が本気で海外に取り組んだらすごく可能性があるなと。商品自体はアジア新興国向けでね。なので、こういう会社は本当に頑張ってほしいなあというふうに、機会があれば社長に会いたいなと思いますけどね。なかなか会わないんですよね。ということで、「やおきん」、いい会社だと思います。
サカニシ:食べたくなりますね。
森辺:はい。
サカニシ:はい、ではまた次回にしたと思います。
森辺:はい。
サカニシ:ありがとうございます。
森辺:はい、ありがとうございました。
<終了>