サカニシ:皆さん、こんにちは。ナビゲーターのサカニシです。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
サカニシ:今日も、前回に引き続き、森辺さんの気になる会社、今回パート4ということで、4社目のご紹介をお願いします。
森辺:いやーもう、知りもしないし会ったこともないのにペラペラ勝手に気になると言って、本当に恐縮なんですけど。
サカニシ:すみません。
森辺:今回は気になる会社は「有楽」という会社で、何となく聞いたことあるんじゃないかなと思うんですけど、正式名称は「有楽製菓株式会社」。東京の会社なんですけどね、昭和30年設立、資本金1,140万円、事業内容は菓子製造販売です。
サカニシ:お菓子屋さん。
森辺:菓子屋さんですね。年商は97億弱、従業員300名強と。さて、サカニシさん、この「有楽」という会社は何をつくっていると思いますか。誰でも知っている。知っているよね、見ちゃったもんね、今ね。
サカニシ:見ちゃいました。
森辺:はい、ブラックサンダーをつくっている会社で。
サカニシ:大好きです。
森辺:大好きだよね。これもうみんな大好きだと思うんだけど、最近だとスポーツ選手とか安倍首相がブラックサンダーと言ってさらに人気がブレイクして。この会社も実は古くからあるんだけど、ブラックサンダー自体が伸びたのって最近なんだよね、2000何年だっけ?
サカニシ:そうですね。
森辺:何かホームページにグラフが出ているんですよね。
サカニシ:一気に伸びたのが。
森辺:一気に伸びたのが2005年ぐらいだからね。2004年、2005年ぐらいから2009年ぐらいの4~5年で10倍以上になっているんだよね。
サカニシ:すごいですね。
森辺:2004年にはだいたい販売個数って1,000万個いっていないんだよね。それが、5年で1億1,000万個突破しちゃったという。
サカニシ:すごいですね。
森辺:それぐらい一気にドーンって行ったブラックサンダーと。この会社も20円でこれを売っているわけじゃないですか。ブラックサンダー20円だっけ…、まあ、数十円で売っているわけですよ、コンビニでね。これだけ、言ったら中小企業、中堅菓子メーカーが日本でこれだけのポテンシャルを出していて、チョコをつくっている会社だと僕が日本で一番好きなチョコレートの会社はチロルチョコという会社なんだけども、その会社の次ぐらいに僕はこのブラックサンダーをつくっている「有楽」が好きで、こういう会社の商品こそもっともっと海外に出るべきだし、日本の中で、日本の消費者飽きるから、ブラックサンダーだけ出していても絶対売れないんですよ。これ、ブラックサンダー何とかとか。
サカニシ:そうです、たくさんあります。
森辺:北海道に行ったら抹茶なんちゃらサンダーとか、ホワイトなんちゃらサンダーとかいっぱい出てくるんだけど、結局、ブラックサンダーが一番美味しいなと思うんだけども、僕は。なんだけど、新商品を出していかないとなかなか飽きられちゃう中で頑張るんだけど、ふと、成長著しいアジア新興国なんかに目を向けると、こういう会社にはチャンスはすごいいっぱいあって。ただ、やっぱり悲しいかな、これぐらいの中堅規模の会社だと海外に対する知識なんてないわけですよ。ノウハウなんてないわけですよ。どうやってチャネルを取ったらいいか、下手したらMTとTTの違いすら分かっていないという会社は、こういう中堅企業には珍しくなくて。結局、どういうことが起きるかというと、このシリーズで何回も言っている、日本とか海外に輸出入商社に販売して、以上売り切り、あとは勝手によろしくお願いしますと。どこの国でどのくらい売れているかは何となく分かっているけども、じゃあ、どういう中間流通事業者を通じて、どういう小売にどういうふうに並べられて、どういう消費者がそれを買って何を思っているかなんていうことは、メーカー側は全く分かっていない、港から港のビジネスをやっちゃっているわけですよね。それが僕の言う輸出ビジネスという非常に古いモデルのビジネス。モデル自体は輸出でもいいからチャネルビジネスをやらなきゃいけなくて、チャネルビジネスというのは、自分たちの商品がどういう流通事業者を通じて、どういう小売にどういうふうに並べられて、どういう消費者がそれを手に取って何を思っているのかということを、日本でやっているように当たり前にやっているように把握するビジネス。それができるための強固なディストリビューションチャネルをどうつくるかということを考えないといけないし、それをするための戦略だし、参入戦略だしという話でね。けど、やっぱりこれぐらいの規模の会社にそれを自力でやれというのは無理なんですよ。僕はこういう会社こそ支援したいし、こういう会社こそ世界で勝たせたい。日本でこの会社が、ブラックサンダーがどうあがいたって明治とロッテに勝てるわけないでしょ?チョコで。はっきり申し上げる、無理ですよ、これは。もう規模の差があまりにもつき過ぎていると。ただ、それは日本での話であって、世界で、戦うフィールドを世界に持っていったときに、明治だってロッテだってグローバルじゃ大したことできていないわけですよ。ごめんなさい、明治さん、ごめんなさい、ロッテさん。大したことできていないわけですよ。聞いていないことを望むけどもね、でも、悪口じゃないですよ。できていないと。それはなんでできていないかと言ったらノウハウがないからですよ。だから、スタートラインは一緒でね。ブラックサンダーにだってそのチャンスはあって、戦うステージを世界に広げてそこで勝っていく。そうすれば、日本ではロッテや明治に負けても世界では勝つ。それ、世界で勝ったら日本の負けは帳消しですから。
サカニシ:なるほど。
森辺:こういう会社には本当頑張ってほしいし、日本の僕は宝だと思うし、これがずっと時間が経ってあと10年経ったら、もうアジアの、ASEANの菓子メーカー、チョコメーカーもどんどん成長していますから、もう何もできない。そうなる前に今からやらないと、チャネルをつくるということは時間かかりますからね。今から投資をしていくということをぜひやってもらいたい。輸出ビジネスなんて現地の景気と日本の円の為替に左右されるアンステイブル、かつ、サステナビリティのないビジネスですから、そこに戦略性もロジックも何もない。あるのは現地の景気と円の為替。円が安ければ輸出は増える、現地の景気が良ければ輸出は増えると。ただ、現地の景気が一旦悪くなったら、為替が円高に振れたら輸出は止まるというビジネスなので、こんなことしてちゃだめで、やっぱり自分たちで戦略的にチャネルをつくっていくということをこういう企業にこそやってもらいたいな、こういう企業こそ手伝いたいな、そんなふうに思います。
サカニシ:はい。分かりました。
森辺:以上です。
サカニシ:はい、ありがとうございます。
森辺:はい、ありがとうございました。
<終了>