東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回はディストリビューターの選定のタイミングとか、早くしないといいディストリビューターがいなくなっちゃいますよとか、そういう話をしたと思うんですけれども、今回、ディストリビューターのマネージメントというところをよく森辺さん言われると思うんですが、その辺についてどう思いますかというところなんですけど。
森辺:ディストリビューターの選定とディストリビューターのマネージメントって、ニコイチじゃないですか。もちろん、いいディストリビューター、できる限りいいディストリビューターを早く選定をしないといけないということは、メーカーがアジア新興国市場でマーケットシェアを高める上で大変重要な物事ですよね。ただ、いくらいいディストリビューターを選定してもその後のマネージメントがおろそかであれば、多くの日本企業の場合はおろそかになっているということすら気付いていないので、マネージメントの方法次第でどうにでもなりますよというのはやっぱりありますよね。どうにもだめなディストリビューターを選んじゃったら、どうマネージメントしたってそれは10年経ったって20年経ったってどうにもならないというのはあるんですよ。ただ、ある一定基準以上のディストリビューターを選定したということを前提とするならば、そのディストリビューターをどうマネージメントするかによって効果は50にもなれば100にもなるって、全然変わってくるというのは事実です。東さんの言う通りですよね。
東:具体的にその辺は、例えば日本企業のお客さんとかを見ていてどう感じるのかというところと、先進グローバル企業がどうやっているのかというのは、森辺さんなりにはどう感じていますか?
森辺:そうですね、日本の消費財メーカーの場合、まずディストリビューターに期待することって小売に押し込むことじゃないですか。まずMTですよね。MTもスーパー系なのか、コンビニ系なのか、ドラッグ系なのか3タイプあって、そのいずれか、もしくはすべてに押し込む力があるのかどうなのかというのが、まずたぶん1つ見るべき力。アジア新興国でTTの比率が高いところでTTやらないとどうにもならないようなところは、TTへの配荷力があるのかどうか、もしくは2次ディストリビューターを含めてディストリビューションネットワークを持っているかどうか、これ見ますよね。この2つってどちらかというと小売に商品を押し込む力なんですよね。4Pで言うとPlaceですよね。最初のProduct、Priceはメーカーの仕事なので、ディストリビューターにはPlaceを最大に期待すると。当然、輸出でやっていると、その後ある程度押し込んだものにはPromotionをかけないといけない。ディストリビューターによっては、特にBTLを含めて、ある程度Promotionの支援を得意としているところとそうでないところもあるわけじゃないですか。Promotionというのは、当然メーカーの最終的には仕事なんだけども、導入とか参入期って一緒に折半してやっていくわけじゃないですか。いかにディストリビューターに半分折半させるかというのは、これはテクニックですよね。そんな中でブランドを育てていくわけなんだけども、自分が捕まえたディストリビューターが何に強いのかをそもそも分かっていない、仮に分かったとしても、それを放置しちゃっているというケースってすごく多くて。例えば、押し込む力も具体的にどういうチャネルに押し込む力が強くて、どういうチャネルに押し込む力が弱いのかというのを、付き合って何年も経った今ようやく分かっているとか、あと、付き合って10年以上経っているのにわれわれが調査をしてようやく分かってくれたとか、そういう日本の企業さんたくさんいらっしゃるでしょ。押し込む力の部分でもそうであるので、Promotionなんていうところは結構壊滅的で、弱かったら「弱いんだ、ふうん、以上」みたいな、そんなのはすごく多いと思いますね。本来ならばメーカーは弱いところを強くなれって言っても、そんなの10年とか15年かかるわけじゃないですか、強くなるのに。そうすると、自分たちが使っているディストリビューターのウィークポイントを発見したら、それを別の方法で補わないといけない。Promotionに関しては自分たちがリードをとってプロモーション会社を使ってPromotionするとか。そうしないと、Promotionしないことになる。ディストリビューターというのは、いわゆるストアカバレッジを広げる力、つまりは並べる力なわけで、どうやって選ばれるかというのはPromotionになるわけですよね。そこはやらないと絶対に商品は売れないというのは、これはマーケティングロジックなので、そうなったときにやっぱり放っといちゃだめで、そのPromotionに対して自分たちがリードをとってどう補うか、ここがすごくたぶん重要な力だと思うんですよね。
東:分かりました、森辺さん、今日はここまでにしたいと思います。次回も引き続きこの話をお聞かせください。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
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