東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、今日はどこから?
森辺:今日はベトナム、ホーチミンからお送りしております。
東:久し振りですかね?
森辺:そうですね。東さんと一緒に出張行くのがもうめっきり減っているので、もともと少ないのにさらに減っていて。だから、めっちゃ久し振りじゃないですかね?
東:そうですね。
森辺:ホーチミン来たのも僕は久し振りかな、東さんは結構来ているんじゃないかな?
東:はい。じゃあ、そんなホーチミンでどんな話をしましょうか、前回はたぶん仮説の話をしたんですけど、今回はどんな点を?
森辺:今回は戦略についてちょっとお話できたらなと思うんですけど、どうですかね?
東:分かりました。前回、仮説で、実際仮説を検証するところ、戦略も含まれてくると思うんですけど、森辺さんが考える戦略というのは具体的にどんなことか、ざっくりで構わないので教えていただきたいんですけども。
森辺:「戦略って一体何なのか?」ということだよね。戦略という言葉を僕たちはすごく簡単に使うじゃないですか。すごく簡単に使うんだけど、戦略ってすごく広い意味もあれば狭い意味もあると僕は思っているんですね。その中で、ひと言で戦略は何なのかを述べろと言われたら、たぶん僕の定義は勝つための方法論だと思うんですね。その勝つための方法論をどれだけ具体的にできるかということが優れた戦略だと思っていて。なおかつ、もしそうならなかったときにどういう対策を打てるかというプランB、C、Dなのか、対策A、B、Cなのか、そういったものが用意されている戦略、これが非常に強い戦略だと僕は思っていて、戦略ってそういうものじゃないかなと思っています。
東:分かりました。外資系の、ベトナムでもそうですけど、戦略を見ていると結構分かりやすいなというイメージを受けるんですけど、複雑そうで結構分かりやすい、はっきりとした戦略を立てているなと。一方で、日本企業さんなんかを見ていると意外と分かりにくいと言ったら変ですけど、ちょっとぼやんとしているなというイメージを受けるような感じをするんですが、その辺はどうですか?
森辺:そうですね。まさにそうで、僕たちがベンチマークをしていつも調べている欧米の先進的なグローバル企業、これはBtoCであってもBtoBであっても、戦略というものがしっかり練られているわけですよね。その末に、過去に練られ上げた戦略に基づいてオペレーションがなされているので、非効率性が非常に少ないというのが1つの大きな特徴で。今、東さんがおっしゃったシンプルというのは非常に重要で、欧米の優れた企業って戦略がすごくシンプル、何か難しいように見せる必要なんか全くなくて、戦略って勝つための方法論じゃないですか。そうすると、その方法論がシンプルであればあるほどいいわけですよね。非常にシンプルだと。対して、日本企業は、欧米は戦略に対する投資をすごいやっているんですよ、戦略をつくるまでにね。対して、日本企業というのは戦略をつくるまでの投資という概念がないからそこに予算がつかないわけですよね。結果として、走りながらとか、やってみてとか、気合と根性でとか、日本での実績をベースにとか、ということになってしまって余計に時間とお金を使ってしまって機会を逃すというのがやっぱり大きいんじゃないかなと思うんですけどね。
東:今の話だと、外資系は意外と立ち上げ前なのか、実行前に戦略をきちんと練りますと。そこにお金を投入してきちんといろんな調査をやって自分のことをして準備をすると。一方、日本は結構、見切り発車といったらあれなんでしょうけど、見切り発車的な話になって、やりながら積み上げ型で考えていくみたいなことが多いということですかね?
森辺:そうですね。そこがやっぱりすごく違って。先進国だけにモノを売っている時代はよかったんですよ、それでね。だって、つくれるのは日本企業しかつくれなかったので、何にしろね。けど、今こうしてアジアの企業でもつくれるような時代になっていて、競争環境が劇的に変わっている中で、今までの積み上げ式で出たところ勝負みたいな、出たところ勝負力の対応力は非常に高いと思うんですよ、日本企業ね。戦略ないのに出たところ勝負でよくこんなに戦うなと思うんだけども。けど、やっぱりなかなかその戦い方じゃ苦しくなってきているというのが現状じゃないかなと思うんですけどね。
東:分かりました。今日は、森辺さん、ここまでにしたいと思います。今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>