東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回、原さんの本で「Action」ということで実行力とかそういったところがフォーカスされていたと思うんですけど、森辺さんが前回言っていた「NATO」と揶揄されてしまうというところもあると思うんですが、実行力という面でみるとやっぱり海外の企業から比べると見劣りするところがあると見られがちなんですか?
森辺:おそらく確実にやっぱり見られていますよね。日本の企業は慎重だ、日本の企業は「NATO」だ、No Action Only Talkということなので。この原マサヒコさんの本を全部僕も読んでいないので、実行力の定義というのをどこに当てているのかというのはちょっと別にして、実行力に欠けるというのは、日本の企業の、特に製造業の、さらに特にグローバルのというのになると、だって、商社がこれだけ発達した国も。
東:ないですね。
森辺:珍しいでしょう、総合商社。これってモノづくりをしてきたメーカーがいかにグローバル化に対するActionが下手かということを証明しているわけですよね。だって、それがなかったらこれだけ商社できませんからね。もちろん、資源が足りない国であって資源を外から輸入してこなきゃいけないというインポートの意味での商社はいいんですけど、エクスポートの意味での商社というのはやっぱりメーカーが単独で出れないからこれだけエクスポート商社が増えたというのはあるわけなんで、そういう意味ではやっぱりAction力が弱いですよね。
東:その辺はどうしたらいいのかとか。
森辺:これは原マサヒコさんの本を読むというのは1つあるでしょうけど、やっぱり2つぐらいの側面がある気がしていて、個としての側面と会社全体としての側面。Actionが取れないというのは、結構会社がリスクをよしとしないので、リスクになるようなことを社員が勝手にやるという土壌がないというのは1つ大前提としてあると思うんですよね。その中で20年30年ジャブ漬けにされるとそんなことをするということが悪になるわけじゃないですか。リスクが伴うAction=悪となるので、そうすると個も当然動けなくなる。だから、やっぱり組織が変わらないと個はいきにくいというのはあると思うんですよね。
東:卵が先か鶏が先かじゃないんですけど、個が先に動くのか組織が変わるのが先なのかみたいな話なんですかね。
森辺:うん。ところはあると思うんですよね。結局そんなのって若手のうちは許されるけど、けど異端児になるわけじゃないですか。それを油の乗った30代後半から40代でやって1ミステイクで命取りじゃないですか、日本の組織でいったらね。そうするとなかなかやっぱりやりにくいというのはあるんじゃないかなと思うんですけどね。全部の会社がそうとは言わないですけどね。
東:結構前に、元ヤクルトのヒラノさんなんかが。
森辺:ああー、懐かしいな、●(05:46)。
東:Podcastにたぶん出てもらったと思うんですけど、そのときに「海外に向いている人は結構そういう異端児的な人のほうが向いていたりするんだよね」みたいなことを言っていたじゃないですか。
森辺:そうですね。はいはい。
東:そうすると、それって森辺さんなりの解釈だとどんな?
森辺:その通りだと思いますよ。ちょっと武闘派的な、日本の会社の中だとちょっと狭苦しい感があるという、ちょっと目立っちゃうと、出る杭になっちゃうという人のほうが海外ではやっぱり成果を出せているし、そういう人のほうが10年とかやっぱりいる、ちょっとぱっと見日本人じゃない的なね、だから、そういう人のほうがいいんじゃないかなと思う。海外って多様性の受け入れだと思うんですよね。だから、日本みたいに、サイボーグみたいな、アンドロイドみたいな、いっぱいぶわーっとつくるような、どっちかというとそうじゃないですか、そうじゃない。
東:型にはまった仕事を。
森辺:うん。型にはまった仕事を嫌う人のほうが、海外は向いているんじゃないかなと思うんですよね。なので…。
東:型にはまらない仕事のほうが好きな人のほうが海外には向いているというのはどういうところなんですか?
森辺:例えば、海外に行くと型がない、型というのは、プロセスはすごく標準化されているし海外での1個1個の業務を見たときには日本よりもシステマチックに分業化されているということなんだけども、海外で業をつくりにいくという、日本から海外に行って業をつくりにいくというのは、まさに創業と同じ話なので。今ある1を2にしなさいね、2を3にしなさいねという業務ってもうまさにやり方も仕組みも全部オペレーションもあって、ただ、決まったことをひたすらやると。当然、自分なりにとかあるんですよ。なんだけど、0から1を生む仕事とは全く違うじゃないですか。で、海外に行くとその0から1を生む仕事なのでそういう人のほうが合っているという。僕が会ってきた、海外でこの人すごいなというような人はだいたいそういうタイプの人が多いという感じだと思います。
東:分かりました。今日は、森辺さん、ここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>