東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回、海外に向いている人といったら変なんですけども、日本の組織だと出る杭の人のほうが海外で成功しやすいと言ったら変ですけども、海外では型にはまりやすいと言ったらいいんでしょうか、そういった傾向があると思うんですけど、逆にそれって日本の企業からしたら、多くの日本企業はたぶんそういう判断を下さないじゃないですか。出る杭に人をわざわざ海外に送ってそこで成功させようって意図的にやっている企業って、私、結構見ていると少ないと思うんですよね。
森辺:そりゃそうですよね。
東:そうすると、組織的にいうと、それって結構勇気がいることのように思えるんですけど、逆を裏返せば多くの企業は海外に向かないであろう人を海外駐在員として送り出している可能性が。
森辺:ある。
東:あるということにも聞こえるんですが、その辺はどうなんですかね?
森辺:いや、その通りだと思いますよ。そもそも帰任前提での海外赴任じゃないですか、3年~5年で帰任と。3年~5年で帰任をしてしまうということでも現地の企業や欧米の企業に比べたらディスアドバンテージが大きいにもかかわらず海外に不向きな人材を送っている。むしろ、日本に事業部があって、「いや、うちはあいつが欲しい、こいつが欲しい」と。「いやー、これはちょっと勘弁してくれよ」と。「今、俺、うちで引き受けられないよ、こいつは」とか、ぶっちゃけいろいろあると思うんですよ、人事ってね。
東:組織の中でもですね。
森辺:組織の中でもね。人が決めている話ですから、人事部が見て決めているわけではないでしょう?
東:そうですね。
森辺:すべてをね。当然、そこには好き嫌いもあるだろうし、能力もあるだろうし、いろんな要因で決まっていて。そうやって出されていくわけなんですけど、結果として、それで日本ではちょっとNGと思われているような人が海外に出されてそこで成果を上げたというケースも当然あるでしょうし、逆に、日本で優秀で海外に出て行ってなかなか成果上がらずちょっと腐って帰ってきちゃったというケースもあるでしょうし、そこはやっぱり戦略的じゃないとは思いますよ。そもそも日本人を送り続けているということがもう大前提として本当は間違っているんですけどね。
東:それは帰任前提で。
森辺:帰任前提でね。
東:よく現地法人に行くと、われわれもいろいろ面会したり勉強させてもらったりする機会があるんですけど、現地社員のほうがもう10年とか15年います、下手したら20年います。現地法人の社長なのか、ある程度の立場として日本人の人が1年目で来ちゃいますとなると、結構組織がアンバランスな感じを、客観的に見ると受けるんですけども、そういったのって外資系は。
森辺:ないですよね。もうそこが本当に遅れていて。これをグローバルな環境にいない人にいくら言ってもやっぱり分からないですよね。でも、これってもう本当にクリティカルな日本企業の問題で、われわれの言う欧米の先進的なグローバル企業、アジアに白人なんかいないじゃないですか。3年4年で土壌つくってオペレーションの仕組みつくって、それをリージョナルヘッドクォーターとか本国からモニタリングして管理をする。あとは、現地の優秀な人材を育てて彼に一切を任せるという、現地の人主導な現地の事業をやっていくわけで、いつまでも日本人が出ずばっていってそこで事業をやる、3年~5年で帰任して1カ月で引き継ぎって何を引き継げるんだという話ですよね。それの繰り返しなので、どんどん、どんどん、言ったら、ちょっと進んでまた戻ってみたいな、なんか。
東:1歩進んで2歩。
森辺:2歩下がる、なんかそんな歌あったよね。いや、1歩進んで2歩下がったら後退しているじゃないかという話でね。でも、実際にはそんなことになっていて、それに飽き飽きする現地の優秀な社員は辞めて先進的な企業に行ってしまうと。欧米の企業とかローカルな企業でも今、十分先進的な企業たくさんあるのでそっちに行きますよと。優秀じゃない人たちばっかりが集まってしまう日系の現地法人なんていうのは腐るほどあるじゃないですか。それを本社が分かっていない。見抜けていない。なおかつ、そうやって優秀な人が辞めていってくれたらいいですけども、もともと優秀だった人がその日系の現地法人で腐っていくというね。10年も経ったら、まあ人間なんて完全に別人になるじゃないですか、腐った環境で10年仕事したらね。そんな状態の現地企業なんていうのは腐るほど見てきているじゃないですか。だから、僕はなんか戦略がないとかっていうこともさることながら、そっちのほうがクリティカルな問題だと思っているんですよね。
東:分かりました。
森辺:これはもう1回、次回も話したほうがいいと思う。
東:結構根深い。
森辺:根深いですね、これは。
東:分かりました。今日は時間が来ましたのでここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>