東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回の引き続きなんですけど、結構、現地法人の組織がアンバランスになっていると。日本人はだいたい3年~5年、長いところで10年という方がいらっしゃいますけど、なかなか10年いらっしゃる方って。
森辺:少ないですよ。
東:少ないじゃないですか。
森辺:うん。大企業じゃほとんどないですよね。
東:そうですよね。そうすると、大手だとやっぱり3年~5年が標準で、長くなって6年か7年かなみたいな感じだと思うんですけど、そうすると、変わった人が結構、私、変な意味、可哀そうだなと思うところもあって、いきなり変わってきたけど組織にはずっと務めている人がいて、彼たちのほうが現地のことをよく分かっていて、日本人で海外赴任したこともない人がいきなり行くと結構辛い状況ではあるのかなという、外から見ていると思うんですが、そこにクリティカルな問題点があるということは事実だと思うんですけど、その辺はどうしたらいいのかなという。
森辺:これはもう80年代のビジネスモデルなんですよね。そもそもそれが通用したのって80年代ですよ、僕がシンガポールにちょうど住んでいるとき、うちの親父はそうでしたよ。シンガポール人ですら、言ったら、今のようなシンガポール人じゃなかったのでね。何年前ですかね、30年前。そうすると、その時代はアジアに優秀な人なんていうのは、そもそも民間企業が採用できるような時代じゃなかったわけで、その時代の採用モデルとか人材育成モデルを今もそのままをやっちゃっているという。
東:引き継いでいて。
森辺:引き継いでいると。ただ、現地の人の人件費が上がったなというのが違いで。これだけ優秀な現地のアジアの人たちが育ってきている中で、日本企業は本当に優秀なインドネシア人を採用できていないし、ベトナム人も採用できていないし、フィリピン人も採用できていなくて、そういう優秀なフィリピン人やベトナム人やインドネシア人やマレー人やタイ人って全部外資に取られているわけですよ。そこがそもそも問題で、ひどい会社だと部長の、現地人部長いるじゃないですか。その人よりも役職が低い日本人のほうが当然高いお給料をもらい、暗黙の了解●知●(04:35)の中でその日本人のほうが上みたいな、だから、日本語ができることが結構すごく重要な要素になっちゃっているみたいな。
東:採用的な。
森辺:うん。いるでしょ、通訳がやたら幅きかせちゃっているような会社とか。あと、日本語ができる人が出世しちゃう、現地人のね、会社とか。それは現地語のしゃべれない、英語のしゃべれない日本人の駐在員がその人が必要だからそうなっているみたいな。この問題は中国でも散々昔から言われていて、「いやいや、うちはもう現地による現地法人マネージメントができています」という会社も結構いるんですよ。なんだけども、中に入ってみると、確かに現地人をトップに立てているんだけども、お目付け役の日本人がしっかりいたりとか。その日本人が現地のことをよく分かっていないから、「承認印押すだけかな、仕事」みたいな、そういう会社結構ある。今日はなんか否定的ですね、僕ね。でもね。
東:でも、それだけ人材が育ってきているのにそれを●とりなわして●(05:54)いるところにまだまだ伸びる余地があるという。
森辺:ある。逆に返したらそうですね。
東:そうすると、やっぱり日本人を派遣して、高い年収と駐在員手当が付いて、車が付いて住居が付いて経費使って、と考えると現地の優秀な人を何人も雇ったほうが、最終的には長い目で見るとビジネス的にはいいという。
森辺:そりゃあ絶対いいですよ。だって、日本人ができることって自分でもできませんか。そう考えると、僕だったら、僕が本社の送り込む人だったら絶対自分ではできないようなことをしてくれる人を送り込みたいわけですよ。そうするとやっぱり優秀な現地人のほうが絶対にいいので。もう、日本企業は日本人によるグローバル化をやっぱりやめないといけなくて。この話は僕5年くらい前からずっとしているんだけど、日本の本社がグローバル化していなかったら絶対海外の現地法人なんてグローバル化しないんですよ。日本の本社がやっぱり外国人の採用をしているしている、始めた始めたと言っても、まだほんの一握りじゃないですか。何だかんだ言って日本人のほうが偉いしね。だから、その考え方をやっぱり根本的から変える、多様性を受け入れる、ダイバーシティとかって今、女性と男性でみたいなことを言っているけど、日本の場合はそうではなくて、もっと国際的なダイバーシティとか多様性みたいなものを受け入れないと。特に、日本人は自分と違うものを否定するんですよ。絶対にそういう民族なので、そこがグローバル化の足を引っ張っているからそこからやっぱり変えていかないと。僕も変なやつは嫌いですよ、嫌いで、脈々と日本人の血が流れているなと、自分と近しいのを周りに置きたい、うん、と思いますよ。でも、やっぱりいけないなと思いますもん。なので、そういうところを変えていったらいいんじゃないかと思うんですけどね。
東:じゃあ、簡単にまとめていただいて。
森辺:簡単にまとめると、もうこれからのグローバル展開とか現地法人の経営・運営というのは、もう日本人によるグローバル化ではなくて、現地人によるグローバル化を推進していかないと究極負けますと。そのほうがコストも安いし、生産現場はいいですよ。なんでかと言ったら日本のほうが圧倒的に長けているから。ただ、販売法人に関してはやっぱり全部現地化をしていかないと、僕は、結局負けちゃう、そんなふうに思います。
東:分かりました。今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>