東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、新年二発目ということで、まだ、年明けて早々なんですけれども、よくクライアントさんから受ける質問の中に、「どうやって具体的にやったらいいんですか?」みたいなことは、いろいろチャネル構築に関して、もしくは、ディストリビューターとの交渉ですかね、に関して聞かれるんですけども、なかなか答えづらい部分はあると思うんですけど、その辺はどうですかね?
森辺:僕、すごく思うのが、われわれの仕事ってクライアントの9割がもう既に進出をしている企業じゃないですか、アジア新興国にね。そのアジア新興国に進出をしている企業の再参入戦略をつくるみたいな、そういうことが仕事だと。多くの日本の企業さんで言えるのは、過去、そんなに情報をきっちり集めて分析して戦略をつくって出るということをしてこなかったと。どちらかというと、安価な労働力を求めて生産拠点をつくったという過去があって、その延長戦上でアジア新興国も市場になったので、営業法人を立てて気合と根性で何とか売ろうみたいな。アジアの経済成長に乗ってある程度成果を出してきたと。ただ、アジア新興国の企業もこれだけ成長して、欧米の先進的なグローバル企業も相当先にいっている中、非常にアジアでの競争がグローバル化してきて激戦しているという中で、今までのその戦略なきアジア販売というか、海外販売、グローバル販売みたいなものに限界を感じている企業が再参入戦略をつくりたいということで、われわれに依頼をしてくると。今、お話した通り、圧倒的に情報量が少ないし、それを分析して戦略をつくるなんてことをやってこなかったので、まさにわれわれの仕事であると。だから、それをやって戦略提言をするというのが1つのわれわれの仕事ですよね。戦略提言までと、その提言した戦略をわれわれがお客さんに代わってやるというのがもう1つの仕事で、われわれの仕事って2つあると。たぶん、通常のコンサルは調査して分析して戦略提言して、で終わりだと。むしろ、われわれは半分以上の仕事が、戦略提言の後の仕事が半分以上ありますよと。ただ、いつも悩むのが、戦略提言をしましたと、そこまででいいというお客さんいらっしゃるじゃないですか、やるのは自分たちでやると。ただ、今までそういったことをしてきていない人材が、いきなり「こうやったらいいんですよ」という戦略を見てそれができるかというと全く違うじゃないですか。だから、そこにすごく私は難しさを感じる。それで、出してきた戦略が「悪いんだ、甘いんだ」と言われても困るし。なので、やり方と誰がそれをやるかによって全然結果が変わってくる。だから、そこってすごく一蓮托生なところがあるので、そこをすごく思うんですよね。
東:そうなると、その辺の実行の部分をどうするかということですかね?
森辺:うん。やり方としては正しくても、やる人が正しくなければ、正しい結果って生まれないじゃないですか。だから、うちも「戦略提言だけしてください」というのは極力お断りをするというのはまさにそこで。だって、正しいやり方を教えても、経営資源、人・モノ・カネ・情報がうまく使われなければ、その戦略って全くもってワークしないから。であれば、提言しても意味ないので、「悪い提言だ」と言われてしまうので、であれば、端から受けないというのは多いと思うんですよね。だから、そこってすごくやっぱり日本の企業は情報を集めてこなかった、情報を分析してこなかった、そして、その分析結果をもとに戦略をつくって海外進出をしなかったという、やり方のまずさというのは1つあるんですよ。ただ、一方で、それをやってこなかったからそれができる人材が社内でいないという、この2つのまずさというのが混在していましてね、だから、いくらやり方だけ教えても、それやったことないんだからできないので。分かりやすく言うと、分からないですけど、「ボクシングの試合は、ジャブをこう打って、ストレートこう打って、アッパーカットでノックアウトすればいいんだよ」って教えてもですね、ボクシングをやったことない人にそんなことを言ったって分からないじゃないですか。それと似ているというんですかね、なんかそういうことをすごく感じるんですよね。言っていること分かりますか、難しいかな?
東:そう、ちょっと伝わりにくいところはあると思うんですけど、次回も引き続き、この辺りについて話し合いたいと思いますので、森辺さん、よろしくお願いします。
森辺:よろしくお願いします。
<終了>