東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回の続きで、本社の権限移譲というかたちだと思うんですが、その辺はどうしたら、われわれも結構見ていて、結構2つのパターンに分かれると思うんですが、その辺はどうですかねというか。スピード感的にはやっぱり日本でジャッジして現地に下ろしていくほうがぽんぽんぽんとものが決まっていくようなパターンが多いと思うんですけど。
森辺:一時期、日本の企業の中で、権限移譲が遅れているとか、現地主導でとか、そういう風潮あったじゃないですか。
東:駐在員を帰すとか。
森辺:ローカル主導でとか、僕、それ、紙一重だと思っていて。言ったら権限移譲も重要だし現地主導も重要ですと。なんだけど、もっと重要なのって自分が持っている権限、本社が持っている権限を誰に、言ったら、委譲するのかという、この相手。また、それからローカル主導でと言うんだけども、どういうレベルのローカルがその現地法人にいるの?というのはすごく重要で、明らかに先進グローバル企業の現地法人と、日本の現地法人だと、ローカルの社員の質が違うわけですよ。そうすると、何でもかんでも権限移譲すればいいというものでもないし、何でもかんでもローカル主導でやればいいというものでもないと思うんですよね。例えば、日本国内で20年やってきました。そういう日本人がいきなりアジアに駐在して4年経ちました。その4年アジアにいると、サラリーマン人生の中で20年国内でやってきてたった4年アジアにいる人にその国のすべてのジャッジをさせるんですかってさせないでしょ? 20年日本の会社の国内に勤めると、役職ってどれぐらいですか、部長ぐらいですか?
東:部長ぐらいでしょうね。
森辺:うん。部長さんがいきなり社長になるわけですよ、現法に行ってね。それで部長の仕事と社長の仕事って全然違うじゃないですか、管理職と経営者ぐらい違うわけですよ。そこでいきなり経営者の仕事をさせるって、日本の本社で経営者になるための教育をその部長にしてきたんですかというとしてきていないわけですよ。対して、欧米の会社は社内の中で選抜組の経営者をつくるために経営者教育ってやっているわけですよね。そういう人たちが子会社や海外法人の経営者になっていくわけじゃないですか。そうすると、そもそも僕、そこも違うと思っていて。結局、日本の駐在員が雇う現地の社員のレベルも低かったりするわけですよね。欧米の先進的な企業に比べるとね。そうするとそういう状況の中で、何でもかんでも現地に権限移譲という話でもないし、ローカル主導という話でもないと思っていて、決めるべきところは全部本社が決める。ぶっちゃけ、欧米の先進的なグローバル企業になればなるほど本社が決めていますよ、重要なことは。すべて本社が重要なことは決めて、その枠の中で現地がオペレーションを回すっていう、決めることは基本本社なんですよ。じゃあ、何を現地がやっているかと言ったら、オペレーションを回していて、オペレーションを回す中で派生する判断はすべて現地がやると。経営に関わる判断というのは全部本社とかリージョナルヘッドクォーターがやる話なので、そこを勘違いしちゃうと変なことになっちゃうというのは僕はすごく思うんですよね。
東:そうすると、それが何となくごっちゃになってしまうと、いろいろな判断を間違うというか、方向性がいつの間にか違う方向に行っているみたいなことも多々あると思うんですけど、その辺はどうしたらいいんですかね?
森辺:やっぱり本社が、僕は、現地のことをまず現地よりも理解をして、その上で経営判断をしないといけなくて。今まで過去、なんで権限移譲が日本企業は必要だとか、現地主導で、ローカル主導でなんていうことが言われたかというと、ローカルや現地のことを一切理解しない本社が勝手にすべてを決めてきたからそう言われてきているだけで、そんな現地のことを1ミクロンも分かっていない本社が決めるぐらいだったら現法やローカルが決めたほうがいいという発想でそう言われてきているだけの話で、それは本社がよくよく理解をすれば本社が決めたほうが絶対にいいんですよ。欧米の先進的なグローバルメーカーと日本のメーカーの違いは、本社が現地のことをよく理解しているかしていないかの違いであって、本社がやっぱりグローバル化していなかったら企業のグローバル化なんか絶対に達成しないので、そこはやっぱり大きな勘違いだと僕は思っています。
東:分かりました。森辺さん、ここまでにしたいと思います。また、よろしくお願いします。ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>