東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:引き続き、法政大学の特任講師の内容を共有したいと思うんですけども。そしたら、普段の授業の何となくの様子というか、森辺さんなりに客観的に見ていてどんな感じなのかとか。
森辺:僕、大学院に行っていないので、大学卒業なんですけどね。
東:大学の講義だと結構大人数で、ゼミ以外は1対数十みたいな感じじゃないですか。
森辺:100…、もう、大きい6大学とかになると●ダイコウ●(02:54)で半分くらい寝ているみたいな、全くそんな感じじゃないよね。大きくてもやっぱり数十人の、30人とか40人ぐらいの授業で、基本、誰も寝ていない。やっぱり社会人と学生の違いで、社会人学生なので本気で命懸けて金払って来ているという。
東:自分で払っているんですよね、基本、たぶん。
森辺:会社が払っているというのもあったとしても、その会社に払わせる責任ということがよくよく分かって来ている人たちだからそういう雰囲気は全くないですよね。もう、超真剣勝負。やっぱり、米倉先生の授業の方針として、「質問あるか?」と言われた瞬間に手を挙げないと、もうダメ出しを食らうので。「質問の内容なんて手を挙げてから考えろ、指されてから考えろ」という、そういうスタンスなので、やっぱり質問がないというのは。
東:問題意識がないということですもんね。
森辺:うん。それは先生やっぱりグローバルで見ているからね、国際会議とかに行っても、日本人は質問しないじゃない? でも、質問しないということは議論に参加していないということだから、もう存在していないのと一緒ぐらいの勢いなので、基本的に僕の受け持っている授業はそういう感じ。全員がこの、100分のクラスが2個とかあるんだけど、100分間もうめちゃめちゃ集中みたいな。1回休憩しますけどね、質問しまくりみたいな。
東:そうすると、最初から、米倉先生に言われる前からバッと手を挙がるのか、やっぱり徐々にそういうのを言われながら慣れていって挙げるようになってくるのかというのはどんな感じなんですかね?
森辺:最初から手が挙がるのは、30人中3人だよね、10%ですね。やっぱりそれを厳しく言われるので、それが評価にもなるし。
東:じゃあ、質問をして、手を挙げて質問することが1つの評価指標になっている。
森辺:評価指標になるんでね、それが存在意義だし、参加していることだし、どれだけ変な質問であろうと、まず、質問がないということはそこに存在していないということなので、そこは厳しくされるし。
東:そうすると、徐々に最初の3人が増えていく感じなんですかね?
森辺:もう最初のクラスでそれがガツンと言われるから、その100分の終わりぐらいにはもう全員が手を挙げているという状態ですね。集中しないと、何を聞くという、どういう質問をするというのもあるから。先週、僕の担当の授業でやったんだけども、やっぱりもうずっと、止めないと質問が止まらないぐらい質問が出ますよね。質問の内容がやっぱり社会人学生なので高度、非常にレベルが高い質問であると。
東:森辺さんの講義だとどんな質問が、これすごいいい質問だなと思ったのって?
森辺:僕は、前回やったのは、日本企業のグローバルマーケティングとリーダーシップみたいなそういう授業をやったんですよ。内容としては、日本企業のグローバル経営が、過去、現在、未来とどう変わってきていて、日本のリーダーシップ、もしくは日本企業のリーダーシップって世界で見たときにどう変わってきているのかって、そういう話。あと、後半の、100分100分なので、後半がマーケティングのフレームワークの授業をやったんだけど。前半のほうの話では、やっぱり日本のグローバル化っていうものにおける戦略性の足りなさみたいなところを、初めて彼らは知るわけですよね。
東:森辺さんの話を聞いて、「そうなのか」って思うということですかね。
森辺:「そう言われてみれば」と、「自分の会社もそうだわ」と。要は、そういう部門にいる人はすぐ分かるんだよね。僕のセミナーとか講演とか聞きに来る人というのは、そもそも海外事業部にいるから。
東:そうですね。関係性がありますもんね。
森辺:そこについてはもう分かっているじゃない? どういう状況かということは。だから、その状況を打破するためにどうするのかという話を僕はするわけですよね。けど、一方で、学生はそういう部門にいないので、まず、状況を説明しないといけない。その状況で衝撃を受けるわけなんだけども、やっぱりそこに対する興味を持ち始めますよね。見えてくると、たぶん、グローバルに行く、経営に携わるという、この2本軸を考えている子たちばっかりなので、やっぱりそこをどう打破していけばいいのか、会社に戻ったときにどう自分の会社を変えられるのかということを、やっぱりすごく質問されて、逆に、タクティクスというか概念のところの話のほうが多いかもしれないですね。だから、そういう意味では、問題意識が高いからそういう状況の問題があるということを言ったときに、それをどう改善したらいいかなということを質問されるのは多かったですね。
東:例えば、どんな質問が出てくるんですか、どういうのって?
森辺:例えば、それはなぜ、日本はアジア新興国に出遅れてしまったのかという、当時の経営陣は何を考えて「出る」という判断ができなかったのか。欧米、いわゆる、世界の10大消費財メーカーなんかが全部欧米系だとか。あと、BtoBでも欧米のほうが、一部の日本の消費財メーカーを抜いては海外進出が進んでいるとかという話の中で、やっぱりなぜそういう経営判断になってしまったのかということをすごく知りたがりますよね。
東:なるほど。分かりました。今日は長くなってしまったので、ここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>