小林:皆さん、こんにちは。スパイダーの小林マアヤです。
森辺:皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。
小林:森辺さん。本日は、先日私も同席させていただいた、マーケティング研究協会主催の食品、飲料、菓子、日用品等の消費財メーカー向けの、「先進グローバル企業に学ぶ 新興国における戦略的チャネル構築」、こちらのセミナーの中で出た質問について、リスナーさんの皆さんと共有していきたいと思うんですけども、いかがでしょうか。
森辺:はい。素晴らしく長いセミナーのタイトルですね。
小林:そうですね。
森辺:了解です。いいですよ、引き続きやりましょう。いいことだと思います、共有していくのは。
小林:そうですね。今回の質問なんですけども、欧米企業の多くはたくさんのディストリビューターを抱えていると思うんですけども、そのたくさんのディストリビューターをどのように管理しているのか?という質問なんですけども、ご回答をお願いいたします。
森辺:これはね、欧米の先進的消費財メーカー、例えば、所謂鉄板のネスレ、PGA、ユニリーバとね、コカ・コーラ、ペプシコ、ジェネラルミルズ、ケロッグ、あとジョンソン&ジョンソンとかね。そういうところって、複数のディストリビューター使ってますよと。日本企業だけが訳も分からず一か国一ディストリビューター制をひいてるんですよと。なぜそうしてんのかと聞くと、かにばるからっていうことと、あと、管理の手間が増えるからということで、所謂アジア新興国という、非常に流通構造が特殊な、小売構造も特殊で近代小売と伝統小売が入り乱れてるような市場において、配荷力よりもかにばることとかね、管理の手間が大変だとかっていう、二の次三の次のことを気にしてる日本企業は間違ってますよっていう話をしていて、その中で、欧米企業が複数使っているのはよく分かったんだけども、それって大変じゃないの?っていう、そういう質問の背景なんですよね。で、「いや、大変ですよ」っていうのが、まず一つあって。じゃあその大変なことをどうしてるかっていうことなんだけども、重要なのは、大変か大変じゃないかっていうよりも、いかに自分たちの商品を消費者まで届けるかっていう、所謂4Pでいうプレイス、チャネルのところの方が圧倒的に重要で、まずそれが届かなければ売上げは上がらないわけなので、届けるチャネルを作るっていうことが本来消費財メーカーとして、優先順位の最も高い仕事であると。そう考えると、P&Gなんかは昔は50社ぐらいASEANで使ってたんですよ、どの国でも。なんだけど、それを取捨選別して、集約して、今では各国で大体8社ぐらい。けど、いずれも中規模から大規模のディストリビューター、2社が大規模、残りの6社中規模、みたいなね。でも、これは、P&Gがそれぐらいの数ですんでるのは、取り扱ってる商品群がやっぱりああいう商品群なので、それぐらいですんでるんですよ。尚且つ、カニバリは、多少の小競り合いはありますよ。ただ、基本的にはエリアか、もしくは小売で分けてるんで、この地区で売っていいよと。この地区はA社、この地区はB社っていう風に分け方、もしくは、欧米系の会社は、例えばAっていうディストリビューターが、どの地区のどの小売に強いかっていうことを、事前にしっかり把握しているんですよね。日本企業は、ディストリビューターのA社が、どの地区のどの小売に強いかっていうことを、具体的には把握できていない。「うちはなんでもできるよ、強いよこの国では」って言われたら、「ああ、そうですか」ってそのまま信用しちゃって、なあなあで進んでって、蓋開けてみたら全然配荷進まない、みたいな状況が多いんですけども、欧米はそこをまず把握している。なので、そういうやり方でかにばらせないっていうのが一つですよね。ネスレとかユニリーバとかになるともう、150とか、200とか使ってるわけですよね。そういう会社は、僕は、ネスレ・ユニリーバモデルって言ってるんだけども、またP&Gとは違うと。で、どういう風に管理をしてるかなんだけど、まず管理の前に、どういう風に選定したのかっていうことすごい重要で、結局配荷をさせるっていうことが最大の目的なので、大変か大変じゃないかっていうことよりも、しっかり配荷させるためにはどのエリアにどういうディストリビューターをどれぐらい配置すると配荷できるのか、っていうことから数が決まってますと。じゃあ、それを、どういうディストリビューターを選ぶかっていうところ。結局管理って、すごい、人間で、自分が教員だとして、すごい優秀な学生を管理するのと、不良みたいな学生を管理するの、どっちが楽ですか。
小林:優等生。
森辺:優等生ですね。楽だよね、先生としてみたらね。そうすると、優等生のディストリビューターを選ぶっていうことはすごい重要で、選ぶところに力を入れなかったら、不良のディストリビューターばっかり集まっちゃったら、そりゃ管理大変でしょ。そこで1と100ぐらい違うんですよ、その落差が。だから、まず選定っていうのをしっかりやる、っていうのが欧米だし、本来のディストリビューターの決め方。これは、信用における、しっかりとしてる、実力のあるディストリビューターを選ぶっていうこともそうなんだけども、所謂代理店契約、販売契約を結んだ後のストラテジー、マイルストーン、そういったものまで具体的に決めていくっていう、そっち側もすごくしっかりしてるんですよ。それができると、まず第一関門クリアなんですよ。そこで一気に楽になる。優等生か不良かっていうことでね。もう一つは、じゃあ優等生であっても、放っといたらグレちゃうかもしれないじゃないですか。だから、いかにグレさせないかっていう仕組みをしっかり作って、それをしかもシンプルに作って、それをルーチンワークとして回していくっていうことに欧米は長けていて。そこがやっぱり非常に優秀ですよね。日本企業も、日本だとしっかりそれができるんだけど、なんか国境をまたぐと、とか相手が外人になると、そこがなあなあになってしまう。ストラテジックにならなくて、俗信的●(9:35)になってしまうってのが一つ大きな問題なので、そこが課題なんじゃないかなと。ノウハウもそうなんだけども、そんな感じで大丈夫ですか。そんな答えをしたと思います、僕。
小林:分かりました。ありがとうございます。ではここからは、お時間がやってまいりましたので、今回は
森辺:ここまで?
小林:はい、そうさせていただきます。
森辺:はい、ありがとうございました。
小林:ありがとうございました。
<終了>