小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林マアヤです。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん。本日も前回に引き続き、先日森辺さんが登壇したマーケティング研究協会主催の、「FMCG向けのASEANへの輸出を劇的に伸ばすための戦略的チャネル構築」。このタイトルなんですけども、こちらのセミナーで出た質問について、第2回目ですね。ご回答いただきたいと思います。
森辺:はい。
小林:お願いいたします。
森辺:はい、お願いします。
小林:では質問なんですけども、TTだけでなくMTに関しても、パッケージは小分けにするべきかどうか?という質問でございます。お願いいたします。
森辺:TTで商品を売る時って、小分けで売りますよと。TTっていうのは、結局、MTで10個100円で売ってるものを1個15円とか12円とかで売るってのがTTなわけですよね。1個あたりの単価は、MTよりもTTの方が実は高くて、消費者は損をするんですよ。なんだけども、消費者にとっては、TTで今使いたい分だけの1個を買えるっていうことの方が重要。10個買うっていうことは将来を先食いするって話でしょ。そんなお金は無いんですよ。そうすると、今欲しい1個だけを買いたい、というのがアジア新興国の中間層の心理なので、小分け売りとかっていうことが非常に重要であると。煙草も1本から買えるし、頭痛薬も1錠から買えると。飴も1個から買えるし、なんならインドとか行くとね、ペットボトルの水が一口いくらで売ってるわけよ。皆、口つけないように飲むわけ。労働者が来ては、一口、一口で。で、1ルピーかなんか払ってたと思うんだよね。すっごいなこれ、と思って。
小林:日本じゃ考えられないですね。
森辺:かなり地方の方行かないと見られないけども。究極はそういうことですよ。MTでも、パッケージを小分けするべきかっていうことなんだけど、どのレベルの小分けかっていうことは要検討だと思います。結局、自分たちの商品は、同一カテゴリの棚に並ぶわけですよ。チョコレートならチョコの棚に並ぶし、ガムならガムの棚に並びますと。ポテトチップスならポテトチップスの棚に並ぶし、スナック菓子ならスナック菓子のとこに並ぶと。袋麺もそう。なんでもそうでしょ。スーパーでね、ドン・キホーデじゃない限り、カテゴリ同じとこに並ぶわけですよ。そうすると、こっちの方が量が入ってるんだけど高いですと。言ったら、5倍入ってるから500円。通常は100円で売られてて、自分のとこは5倍入ってるから、もしくは7倍入ってても500円で安いじゃないかって売り方しても、市民権を得てるのがその100円の方だったら、「7倍入って500円で安い」って売り方したって、なかなかやっぱり、それ、難しいのでね。自分たちと同一カテゴリの商品で、自分たちよりも市民権を得ている、つまりはシェアが高いものがどういう売り方をしてるか、っていうことがすごく重要だし、あと、新しく新規参入するのには、その買いやすさ。商品に自信があると。食べてもらったら絶対気に入ってもらえる、とかね。使ってもらったら絶対気に入ってもらえる、っていう風に思うんだったら、おそらく多くの日本の企業の商品ってそうだと思うんだけども、最初の取りやすさ。試しやすさ。これ、すごい重要だと思うんですよね。そうすると、やっぱり彼らにとって1ドルはすごい重要なんですよ。安くする、売る必要まったく無くて。アジア新興国ってね。むしろ高く売ったらいいと。何が言いたいかっていうと、同じ1ドルでも、僕らが1ドル、まあ100円て言いましょうか。100円でお菓子買って、まずかったら「うわ、まずい」っつって捨てて、二度と買わないで「なんだよ、今日ついてねーな」で、多分3歩ぐらい歩いたら、10秒後には忘れてますよね。
小林:そうですね。
森辺:なんですけど、アジアの人たちにとってみたらね。100円でお菓子買ってまずい、なんてことは、もうあり得ちゃいけないのね。だって、150円で1食食べれるわけだから。そうすると、100円でお菓子を買うってのは、相当な覚悟を持って買いにかかるわけですよ。それがまずいっていうリスクを負える中間層がどれだけいるかっていうと非常に少ないので、もう既に買ったことのあるもの、名前の有名なもの、テレビでCMでよく見るもの、皆がSNSで「美味しい」って言ってるものを買う傾向があると。ただ、それが100円じゃなく10円ですよと。「とりあえずファーストトライ」って10円だっていったら、彼らもそれを手に取って「あ、美味しい」って100円のものを買いだすっていう。こういう戦略で小分けにするんだったら、MTでも当然やるべきだと思うんですよね。すごくいいことだと思いますね。試食でどうのこうのなんてやってるんだったら、そういうのがいいんじゃないかなって思いますけどね。っていう回答したんじゃないかな。
小林:はい。ありがとうございます。では、本日お時間がやってまいりましたので、ここまでにさせていただきたいと思います。
森辺:はい。
小林:皆さん、ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。
<終了>