小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林マアヤです。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん。本日も前回に引き続き、マーケティング研究協会主催の、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカー向け「ASEANへの輸出を劇的に伸ばすための戦略的チャネル構築」、こちらのセミナーで出た質問について、ご回答をお願いしたいと思います。
森辺:ちょっと宣伝なんですけどもね。マーケティング研究協会さんからまた依頼があって、今年、多分、2018年11月ぐらいに同様のBtoC向けの、所謂FMCG向けの販売、ASEANのチャネル構築セミナーみたいなことを多分やると思うんで。輸出に特化したっていうよりも、輸出でやってる、ASEANを攻めてるステージの企業さんと、現地に法人出してる、TT含めて攻略に躍起になってる企業さんと、両方対象にしたセミナーやることになってるんで、またご案内をします。
小林:はい。
森辺:いうのを、ちょっと宣伝で入れました。
小林:ありがとうございます。
森辺:質問ね。
小林:はい。質問、お願いいたします。
森辺:どんな質問でしたっけ。
小林:じゃあ、本日の質問なんですけども、森辺さんはいつも「1か国1ディストリビューター制は●(3:27)だめと。上手くいかないと仰ってるのですが、実際に、やはりなかなか1か国1ディストリビューター制は上手くいかないっていう声が多いです。こちらは、具体的にどうすればいいのか?っていう質問です。
森辺:そうだよね。意味無き1か国1代理店制度。代理店とディストリビューターはちょっと意味合い違うんで、あえてディストリビューターって言った方がいいんだけど。日本だと、どっちでもいいんだけども。その理由なき1か国1ディストリビューター制をひいている日本企業は結構多くて。輸出でやってるんだったら、1か国1ディストリビューターでいいと思うんですよ。基本的には、ディストリビューターなんて少ない方が、言ったら、労力としてはそこで一纏めになるので、管理上は楽だよね。管理上はね。一つになってる方がね。いっぱいなってると大変ですよね。ただ、現実的に言うと、1社じゃカバーできないんですよ。だって、たくさん小売りあるわけじゃないですか。で、広い地域をね。日本でね、じゃあ言いたいんだけども、1か国1ディストリビューター制のFMCGのメーカーさん、いる?って言いたいんですよ。花王さんとかみたいに、直販してるんでディストリビューターそもそも使ってません、みたいなのだったらいいんだけど。日本で、FMCGの会社で「いや、うちはコクフしか使ってません」みたいな。多分いないはずなんですよね。菓子にしろ、日用品にしろ、「PALTACしか使ってません」みたいなね。多分いないはずで、複数の会社を使ってるはずなんですよね。それがなぜ、じゃあインドネシアになった時に、タイになった時に、ベトナムになった時に、1社でできるのかって。日本でできないことはASEANでできるわけがないっていうのと一緒で、特にFMCGのような、価格が安くて回転率が高くて裾野の広い、所謂中間層にたくさん数を売っていく。いかにたくさんの人に、たくさんの頻度で、繰り返し買ってもらうものがFMCGじゃないですか。ファースト・ムービング・コンシューマー・グッズっていうだけあってね。これって、やっぱり広いんですよ。その行き渡り方が。隅々まで行き渡らせないとそうはならないんで。むしろ、隅々にまで行き渡るべき商品が、FMCGなんですよね。そうすると、やっぱり1か国1ディストリビューター制では難しいと。輸出は、そもそもTT狙えない、MTしか狙えないので、ぶっちゃけ1か国1ディストリビューターで構わないし、むしろ、輸出っていってもね。タイだったらバンコク、インドネシアだったらジャカルタ、シンガポールだったらシンガポール、マレーシアだったらクアラルンプール、ベトナムだったらホーチミン・ハノイとか。もう、首都とかそれに匹敵するような都市しか、言ったら狙えないんですよね。だって、そこに富が集中してたりするケースが多いですから。そうすると、輸出戦略の場合は、1か国1ディストリビューター制でもOKですと。ただ、現法がある場合は、1か国1ディストリビューター制でTTがやれない。現法がある場合は、TTやらないと絶対に現法のコストがペイできないんですよ。だって、MTの数は限られてますからね。例えばベトナムだったら1500店舗ぐらいしかないし、フィリピンだったら6000店舗ぐらいしかないし。インドネシアだったら3万5000店舗あるけど、うち3万店はアルファマートがインドマレットだって言っていて。一方でインドネシア3000万店のTTがあって、フィリピン80万店のTTがあって、ベトナムは50万店のTTがあるわけでしょ。そうすると、それだけの何十万何百万のTTにしっかり配荷をしないと、FMCGじゃそもそも無いじゃないですか。そうすると、1社のディストリビューターで従業員100人ですと。1000人いたとしても、到底行き渡るわけないでしょ。例えばベトナムで考えたら、1500km以上ハノイとホーチミンの間で距離があって、物理的に無理だよね。ホーチミンのディストリビューターで、ハノイに配荷さすのなんて。もっと言うと、南北戦争の名残で、ホーチミンの人がハノイで活躍するのは難しい。ハノイの人がホーチミンで活躍する方が、全然楽であるということを考える時に、そういうものもあるわけですよ。そうすると、やっぱり1か国1ディストリビューターなんて無理だし、宗教が違ったりするわけで、フィリピンだって、ビサヤと下のミンダナオはイスラム系が多いけど、上の二島はクリスチャンでしょ。そうすると、やっぱり同じ宗教の人たちのディストリビューターでやらせた方がよかったりっていうことも、当然あるし。日本みたいに、1億2000万人総庶民っていうか、同じ基準でっていうのは、なかなか珍しい国だから、なかなか難しいわけですよね。そうすると、やっぱり地場に販売拠点を持ってやっていくっていうことは、1か国1ディストリビューターであると、TTが物理的に取れない。ここね、逆算で考えるたら分かるわけですよ。数十万・数百万のディストリビューターを、1社のディストリビューターで、1000人社員いたって取れるわけないですよね。で、その下に100社のサブディスを抱えてて、その100社のサブディスの社員が合計で1000人いて2000人だっつったって、2000人で30万店のTT、ベトナムの50万店のうちの30万店に食品が置けるんだよね、そういうTT回れる?って。2000人で30万店回ろうと思ったら何十年かかるんですか?って。しかも、それをデイリーでやんないといけない。もう無理って確定だよね。そうすると、数の原理で分かる。ネスレ、ユニリーバ、P&Gとか、マースとか、ケロッグとか、そういう会社は、はなからそれ計算してあるからね。そんなことしてないっていうことなので、非常に当たり前っちゃ当たり前なんですけどね。なので、1か国1ディストリビューターはだめですよっていう、そんな話ですよね。
小林:ありがとうございます。
森辺:はい。
小林:では、本日はお時間やってまいりましたので、本日はここまでにいたします。リスナーの皆さん、ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。
<終了>