小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林マアヤです。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん。本日も前回に引き続き、マーケティング研究協会主催の、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカー向け「ASEANへの輸出を劇的に伸ばすための戦略的チャネル構築」、こちらのセミナーで出た質問について、ご回答いただきたいと思います。
森辺:はい。お願いします。
小林:お願いいたします。本日の質問なんですけども、森辺さんがいつも「1か国1ディストリビューター制はだめで、ディストリビューターを複数活用すべきだ」っていうことを仰ってるんですけども
森辺:FMCGの場合はね。尚且つ、輸出じゃなくて現法、現産現販の場合、現地に販売方針がある場合は、複数のディストリビューターを使わないと所謂アジア新興国ではだめですね、と。なぜならば、MTよりもTTの比率が圧倒的に高いので、そのTTの何十万・何百万のストアカバレッジを1社のディストリビューターでカバーすることは、現実的に、物理的に不可能だから、と言ってます。
小林:はい、ありがとうございます。と、「複数のディストリビューターを活用すべきだ」と仰っているんですけれども、それはディストリビューターを同士を競わせるのか、どうなのか。その辺を繙いていただきたいと。
森辺:ありましたね、そういう質問ね。競わせろと言ってるんではないです。正確に言うと、同一エリアで競わせろとは言っていない。これはやっちゃだめ。例えば、A地区はA社に任せて、B地区はB社に任せるということをやるべきで、A地区をA社とB社でやらせるということではないんですよ。それをやっても、お互い金額の叩き合いやって、最後、利益が取れなくなって潰し合うだけなんで。それは、先進的なグローバル消費財メーカーもやっていません。あくまでエリアで分けてる。例えばベトナムで言うと、ホーチミンとハノイとダナンとかね。前にもこのPodcastで話したと思うけど、ホーチミンのディストリビューター、ハノイで物売れるかって、売れないから。南北戦争の名残がまだ残ってるんで。ハノイのディストリビューター、ホーチミンでやらせるっていうのはあると思うんだけど。けどやっぱり、ハノイの本社の会社のホーチミンの支店よりも、ホーチミン地場の会社のホーチミン本社の方がパワーがあるってケースの方が、圧倒的に多いので、やっぱり、エリアエリアだよね。まだまだ日本みたいに全国津々浦々流通できるディストリビューター、ドーンみたいなところが無いから。結局、サブディス使ってたりするんでね。サブディス使って纏めちゃうってのもありなんだけど、だとすると、そのマージン構造をしっかり計算したうえで、サブディスどういうとこ使ってるのかっていうのを全部把握したうえで使うっていうのは、ベストだと思うんですけどね。なんなら、ホーチミンでも12区プラスαあるわけなんですよ、エリアがね。そうすると、何区と何区はここにやらすけど、何区と何区はここにやらすとか。こういう分け方を区ごとにやっていくっていう、それぐらいやる。区と区の境界線で、この道のこっちは何区で、この道からこっちは何区って、当然あるわけですよ。そうすると、たまにやんちゃなディストリビューターのセールスがクロスオーバーしたりするっていうケースもあるけども、それぐらいの火花は覚悟前提だからしょうがないにしてもね。基本的には、同一エリアで競争はさせない。ということなので、そういう意味での競わせようっていうことはないと。ただ、A地区のA社とB地区のB社のパフォーマンスを比べて、A地区のA社、B地区のB社、C地区のC社、D地区のD社を、それぞれ各エリアでのパフォーマンスを見た時に、「A社がやっぱり一番効率いいね、なぜA社がこんなに効率よく販売できて、セールスがいいんだろう」って。そのA社のノウハウを、B社C社D社に浸透させてったりもするし、「A地区のA社はすごくいいけども、B地区のB社は良くない」となった時に、じゃあB地区は別のZ社に変えるとかね。そういうことどんどんやって、ディストリビューターをどんどん変えてくわけですよ。交換交換して。で、最適なディストリビューションネットワークを作ってきてるってのが、先進的グローバル消費財メーカーで、P&GのASEANなんか元々50社とか60社使ってたわけですよ、ディストリビューター。けど、今大体どの国も1か国8社ぐらい使ってて。大手2社、中堅6社みたいにね。PGは、そういう比較的中規模以上のディストリビューターを好むんだけども、中堅規模でいくつかは、もう完全にPGの商品しか売ってないみたいな会社あるんですけどね、ディストリビューターね。そういうところもやっぱり、選択と集中で…ごめん、選択と集中ってちょっと違うな。しっかり分類してきたわけですよね。いいディストリビューターとそうでないところ。いいディストリビューターには徹底的に支援をして、選んできてると。取捨選別してきてるので。そういうことですね。
小林:ありがとうございます。では、お時間やってまいりましたので、本日はここまでにいたします。リスナーの皆さん、ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。
<終了>