小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林マアヤです。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん。本日のPodcastなんですけども、前回に引き続き「リコーアジアフォーラム2018」ということで、以前登壇いただいたんですけども。前回が、第1章、第2章とご説明いただいたんですけども。
森辺:前回、前々回?
小林:そうですね。で、本日は第3章、ラストのご説明していただきたいと思うんですけども。お願いします。
森辺:はい、お願いします。「リコーアジアフォーラム2018」第3章は、これからの日本企業の新グローバル戦略ということで。世界競争力が低下してるよと、第1章でね。日本企業の世界競争力って低下してんだよ、と。世界で成功してるような先進グローバル企業って、やっぱりこういうところが主要成功要因だよね、っていう話をして。じゃあ、日本企業は、結論としてどうしたらいいの?新たなグローバル戦略って一体何なの?っていう話をして。まあ一つのメッセージとしてあるのが、「技術力がすべて」から決別しようよ、と。ここで誤解しないでほしいのは、僕は技術力を否定してるんではないんです。品質が悪いものよりも品質がいいものの方がいいので。技術の低いものよりも技術力が高いものが重要だし、メーカーにとって技術ってのはすべての根幹であるっていうことはよく理解してると。ただ、それが全てじゃないと。基にはなっていても、それが全てではない。それさえ良ければものが売れるったら、そうじゃなくて。やっぱり競争環境変わって、市場環境変わって、今や韓国や中国や台湾の会社が競合になったっていうことは、作る力と売る力、つまりはマーケティング力を重視した事業戦略の実施が、本当に重要で、作る力よりも売る力の方が重要なんだよね。それを証明してるのが、AppleのiPhone。彼ら、自分で作ってないでしょ。工場持ってないよね。けど、あれだけ売るわけだから、作る力よりも売る力の方が重要で。Appleのユーザーが「Appleのハードの品質がすっごいいいな、うぉー」って喜んでんじゃなくて、中で動いてるソフトウェアとかアプリケーションに感動していて、iPhoneのビジネスモデルそのものに共感をしてるし、会社の考え方やイデオロギーやヒストリーや創業者に酔いしれるわけでしょ。でも、それこそがマーケティングで、やっぱり、もの良ければいいって、そういう時代は終わったよねっていう、そんなお話をさせてもらって。ものを売るのに4Pってすごい重要で。日本企業はその海外で4P間違えちゃってて。どういう4Pしてるかっていうと、日本で実績のある商品を、できればさほど変えたくないと。変えずにプロダクトになるしと。プライスに関しては、少しは安くするけど日本と同じぐらいの価格だよと。プレイスに関しては、日本で慣れ親しんだ近代小売りを中心に。プロモーションは、できれば実績が出るまで投資はせずにやりたいと。そうなってくると、当然必然的に中間層には売れないから、ターゲットが富裕層になってって、儲からないスパイラルに陥っていくと。で、ますますプレミアムとかって言いだしちゃうんだよね。なんだけど、成功してる会社って、やっぱり中間層を絶対的にターゲットにしてるから、プロダクトに関しても、中間層が求める商品を、中間層が賄える価格、中間層が買いやすい売り場に並べて、中間層が選びたくなるような仕掛け、しっかりしてますよ、っていうね。そんな話をした。結局ね、いいものの定義っていうものを変えなさいと。品質がいいものがいいものじゃないんですと。技術力が高いものがいいものじゃないんですと。アジア新興国は、少なくともそんな風には思っていないと。だって、それがまさに家電業界で起きたことじゃないですか。日本のいいもの!っていうものが売れなかったわけでしょ。だからそれが、決してFMCGにとって対岸の火事じゃなくてね。必ずしも、日本のいいものが世界のいいものとは限らないよ。技術の高いもの、品質のいいもの、高機能なものがいいものじゃないよ、と。いいものの定義を、やっぱり、再設定していこうよ、という話をしてて。そういうことって、すべて根源を正していくと、突き詰めていくと、企業活動の中心に何があるかってことなんですよ。企業活動の中心には、本当は理念とか、フィロソフィーみたいなものが、イデオロギーみたいなものが当然あるんだけど、そうではなくて、企業活動の中心にあるべきものって、多くの日本企業って、もの作りが中心になってて。でも、そうではなくて、企業活動の中心はマーケティングであるべきだと。マーケティングの父、フィリップ・コトラーは、マーケティングをこう定義してて。マーケティングってのは、ものを企画して発明して生産して物流して販売して現金回収してアフターメンテナンスする、って、この一連の企業活動をマーケティングと言ってて。そのマーケティングの中には、もの作りも含まれてて。で、もの作りだけでは売れないわけですよ。そうすると、やっぱり、企業活動の中心にマーケティングを置かないと、だめだと。日本の多くのメーカーの経営者と、僕も会うけどね。海外担当役員ってのはいるけど、チーフ・マーケティング・オフィサー、所謂CMOっていう役職の人に会うケースが、本当少ない。最近ちょっとずつ増えてきたけど、やっぱグローバルで成功してる会社でCMOがいない会社なんで、無いからね。CMOっていうと、マーケティング的な課題を解決する人、みたいな風に思われがちなんだけど、そんなんマーケティング部長でよくてね。マーケティングで物事を解決していくっていうのは、別にマーケティング部長がやりゃいい話なんでね。マーケティング上の課題を解決するなんて。CMOってなにやるかっていうと、経営課題をマーケティングで解決していくっていうことが、CMOのやるべきことで。やっぱりマーケティングにおいて、CMOが経営課題をマーケティングベースで解決していくっていうことをやっていかないと、グローバル戦略なんか絶対に成功しないので。そんな話をして、嫌われたって感じですかね。まとめとしては、市場環境と競争環境、これだけ大きく変わった新たな時代における武器は、グローバルマーケティングだよ、と。もの作りじゃないよ、というまとめで締めくくって、さらにおじいさんに嫌われたという、そんな感じだったと思います。
小林:オチは嫌われたという。
森辺:多分嫌われたと思いますね。そんなオーラを感じました。
小林:でも、非常にいい機会で。リコーさんにも呼んでいただいて。
森辺:そうね。リコーさんは「良かったです」って言ってましたけど。アンケートの評価良かったみたいなので。
小林:そうですよね。
森辺:まあ、多分、気を遣ってくださったんだろうけどな。嫌われたと思うな。結構厳しいこと言ったからね。
小林:いえいえいえ。これが現状…
森辺:そんな話をさせていただきました、っていうのが今回の「リコーアジアフォーラム2018」でございます。で、今年も終わりですけど、来年もこの切り口で、色んな所講演・セミナーは増やしていきたいと思ってるので。大企業に向けて、中小企業に向けて。また、FMCG、所謂食品・菓子・日用品なんかの話が多かったけども、これからもう少し、そうじゃないBtoC、またBtoBもね。実は3割ぐらいうちは今BtoBですから、BtoBの話なんかもちょっと増やしていって。サンケイでやってる対談なんかも、勝手に思ってんだけど、BtoB増やしていきたいなと思っていて。なので、そんな風に考えてます。
小林:ありがとうございます。では、本日は第3章の、これからの日本企業の新グローバル戦略っていうことで、ご説明いただきました。じゃあ、本日のPodcastはここまでにいたします。リスナーの皆さん、ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。
<終了>