小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日は前回に引き続き、フォーブスの「世界で最も革新的な企業100社」という記事の内容で引き続きお話いただければと思うんですけれども、ちょっと内容を簡単にご説明させていただくと、日本企業は100位中7社のみがランクインしているということで、だいたい51社が米国の企業ということで。
森辺:その革新的な企業ランキングの中にね。
小林:やはり米国企業はすごく強いということで前回お話させていただいたんですけども。ここで本日は、なぜ日本企業は近年イノベーションを起こせていないのか、ちょっと森辺さんからお話いただければと思います。
森辺:前回ちょっとライブドア事件の話をしたんだけど、これはまた別の観点かもしれないんだけども、何て言うんだろうな、これ、たぶん、みんなが感じていることだと思うんだけど、目立つことをよしとしない文化がやっぱりこの国にはあって、みんな平等じゃなきゃだめだというね。成り上がって表に出るとそれが叩かれていくというのは、やっぱりあると思うんだよね。特に、年齢層が高い人たち、既得権益を握っている人たちがまずいて、下からガーっとこう上がってきて、あんまり出すぎると打たれるという。出すぎた杭は打たれるということわざがある通り、そういうところが非常にやっぱりあるよねと。だから、アメリカンドリームという言葉があるじゃない?
小林:はい。
森辺:アメリカで事業を成功して巨万の富を手に入れるということが、人々の憧れであるし、いいことの象徴であるというか、憧れの象徴であるよね、アメリカはね。なんだけども、日本だとそれって妬みの象徴というか、妬まれるでしょ? 今、前澤さんがテレビに出て、なんか妬みも半分ある気がするんだよね。だから、そういうところって僕はあると思うんだよね。別に、妬むという感情自体は別にいいんだから、別に人間としての自然な感情だからどうこう言わないけど、なんかそういう、何だろうな、日本人のその「一緒じゃなきゃだめ」みたいな、それってあるよね。そこがやっぱり1つ大きくあるんじゃないかな。だって、イノベーションを起こしているような人たちって巨額の富を手にしているからね、アメリカのシリコンバレーでね。そういったことも1つのモチベーションになっているし。だから、お金って、何だろうな、お金というのは使うためだけのものじゃないから、お金を手にすることによって自由が手に入って、それによってまた事業が革新的に拡大してとか、いろんな意味があるから、金銭的な価値という経済価値だけじゃなくて、いろんな意味でお金というのはすごく重要な尺度というか、ものなので、日本ってたぶん、お金を金銭的な価値でしか見ていないから、お金をたくさん持っている人は、なんかいやらしい、汚い、ずるい、あくどいみたいなそういう印象があるのかね。ちょっとごめんなさい。僕も頭がしっかり整理できていないからうまく表現できているかあれなんだけど、そういう側面が1つあるということと、あと、米倉先生がイノベーションというのは技術革新というふうに日本では訳すけど、決して技術の革新じゃないよということを、前回ウーバーの例をあれして説明したけどそんなところもあるし、あと、教育自体の問題も当然あるしね。いろいろあると思うんだよね、イノベーションを生まないって。だから、何だろうな、残念っちゃ残念で。ただ、これって一緒で、世界競争力とかというのも一緒で、世界競争力=イノベーションだから、企業なんてイノベーション生めなかったら成長しないわけでね。成長しないということは世界競争力失われていって、どんどん衰退していくと。そうすると、僕がよくセミナーで使う、これは、フォーブスじゃなくて、フォーチュンのトップ100とかの会社って、日本企業、1992年当時、世界の競争力ランキングって1位だったんだよね。でも、今、26位ぐらいに低下していて。じゃあ、フォーチュンのグローバル500に入っている会社って1992年当時って119社もあったのよ。でも、2位なんだけどね。1位はもちろん米国で、157社ぐらいあって。それが今、日本3位で52社まで低下していて。フォーチュングローバル500、1割ね。だいたい、ほら、さっき100社が7社って1割弱ぐらいでしょ。そんなものなんだよね。革新性も競争力も。じゃあ、1位の米国はやぱり依然1位で、現在でも134社、若干下げても134社あって、2位に何が入ってきているかというと、103社中国の企業。だって、20年前、中国の企業なんてもう三流、四流、五流企業と言われたのが、今じゃ超一流だし、世界最大大物白物家電ハイアールでしょ。今、いっぱいメディアでもニュースになっている中国の会社、いっぱいあるけど、ものすごく成長したよね。フォーチュンのトップ100位以内に入っている会社だって当時20社いたのに、今7社しかいないわけですよ。結局、25年前にいた20社ってそれこそ本当にトヨタ自動車から日立製作所、松下電器、日産、日本のそうそうたる経団連に入っているような、入っているようなというか、入っている会社なんだよね。なんだけど、今じゃ、蓋を開いたら、7社に、13社減ったんだけど、何が減ったかと言うと、企業は入れ替わっていないんです。ただ、20社から13社が削り取られて7社が残ったと。ただ、1つだけ、1社だけ例外があるのは、25年前にフォーチュン100に入っていなかった企業が1社だけあるんですよ。それはソフトバンクで、ソフトバンクだけが革新性を持ってイノベーション起こし続けて、入れ替わったと。ただ、一方で、アメリカの25年前の157社と今の134社って入れ替わりがやっぱりあって、25年前にツイッターなんて会社ないし、フェイスブックという会社ないし、グーグルという会社もないし、アップルはあったけど、今みたいなアップルじゃないし、マイクロソフトだってそうだし、テスラだってそうだし、ウーバーだってそうだし、スペースXだってそうだし、インスタグラムだってそうだし、そういうことですよ。イノベーションを生み続けてきているというね。だから、やっぱり何だろうな、日本というのはアメリカから今の地位を奪ったわけですよ。製造国としての日本、技術大国ニッポンみたいな、より安く、より小さく、よりよくつくったわけだよね。だって、もともと、テレビだって、ラジオだって、車だって、全部欧米でつくられていたものを、日本が見よう見まね、猿まねと言われていたんだよ、昔。中国企業のことをひと昔前ばかにしていたけどね、日本企業も猿まねと言われていて。松下幸之助、「マネ下」と言われていたからね。
小林:「マネ下」!
森辺:うん。松下幸之助なんか神様でしょ、パナソニック、松下電器ね。今はパナソニックだけど、「マネ下」と呼ばれていた時代があったわけだから、それだけ欧米から真似して、いつしか一流になっていったって、今の中国企業と一緒ですよ。もともとは物まねだ何だって、いつしか一流になっていって、アメリカからその場を奪ったと。日本からその座を奪ったと、中国が奪って、奪いつつあるというのが今だと思うんだけど。アメリカはそのときにハードからソフトウェアにトランスフォームしたんだよね。転換していったわけですよ。もう、ハードは日本に勝てないと。であれば、われわれは、ハードの中で生きるソフトウェアでその地位を築いていくし、これから重要になってくるのはソフトウェアだということにいち早く気付き、そこに徹底的に投資をしたというのがアメリカで。じゃあ、日本は今、何をやっているかと言うと、いまだに、「いやいや、日本の技術は」とか言っているわけですよ。下町ロケットとかみんな好きでしょ。僕も大好きなんだけど、もうそういう世界じゃないんですよね、グローバル競争って。だから、中小企業の技術力とか、大田区の技術を結集してとか、東大阪の技術がすごいとか、そういうストーリー好きじゃないですか、日本人って。でも、そんなレベルで世界は動いていないというね、いまだに、やっぱり技術に固執しすぎていて、モノづくりとか技術という、これを最大で唯一の武器だと思ってしまっていることが、そもそもイノベーションを生むじゃまになっていて。この話をすると長いんだけども、1冊の本が書けてしまうのかもしれないんだけど、やっぱり技術が真ん中にあるんですよ、日本企業ってね。でも、世界で革新的な成功している会社というのは、必ずマーケティングが企業経営の中心にある。それが僕は大きな違いだと思うんですよね。技術を中心に置くのか、マーケティングを中心に置くのか。これからは、ますますこれだけ競争環境と市場環境が変わってきているので、マーケティングを中心に置かないと、日本企業はますます世界における競争力や革新性を失っちゃうんじゃないかなというふうに思ったりします。ということで、だいぶ話しちゃったけど、こんな感じで、取りあえず今回は時間きたんじゃないかな。
小林:はい。森辺さん、ありがとうございました。お時間やってまいりましたので、本日はここまでにいたします。リスナーの皆さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。