小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日のPodcastなんですけども、前回に引き続き、マーケティング研究協会で参加者の皆さまから質問をいただいた件に関してご回答をいただきたいと思います。
森辺:はい。
小林:今回は第3回目なんですけども、質問です。アジア新興国で商品を売るには単価を安くするべきなのか?という質問でございます。
森辺:ありましたね。単価を安くするべきなのかって、それだけ聞くと、幼稚な質問だなって思っているリスナーもいるかもしれませんけど、非常に高度な質問をこの方はされていて。要は、何を言いたいかというと、当然、可処分所得、1人あたりの収入、物価、すべてにおいて、我が国とはだいぶ差があるわけで、そうすると、安く売らなきゃいけないのかという質問というのは当然出てくると思うんですけど。僕、この質問に関して一貫して話をしているのは、その必要はないと言っているんだよね。むしろ、高く売れと。メーカーにとって高く売れることほどいいことはないわけですよ、高く売れることというのはね。安く売るよりも絶対に高く売ったほうがいい。ただ、1つ気を付けなきゃいけないのは、これ、FMCGでしょ。食品・飲料・菓子・日用品なわけですよ。この人たちの最大のビジネスモデルのポイントって、いかにたくさんの人に、いかに早い頻度で、いかに繰り返し、いかに永遠に、死ぬまで、一生買い続けてもらうかというのが、ビジネスのもう、ビジネスモデルの根幹なわけですよね。そうすると、高くして一生に、例えば、3回しか買ってもらえないよりも安くして10回買ってもらえるんだったら、20回買ってもらえるんだったら、絶対後者なわけですよ。そうすると、僕は、FMCGは高く売れと、ただし、その国の中間層が賄える限界ギリギリの高さであるべきだというふうに答えていて。賄えなかったらもう意味がないんですよ。賄うというのはどういうことかと言うと、自分たちの生活の中に取り込んでくれるということですよ、中間層が。一番ターゲットはマスの人口の多いところをターゲットにしなきゃFMCGは成り立たない。だって、数十円、数百円のものを売っているんだから、一番人口の多いところ、中間層、そこを狙うと。その人たちが、いかに他社じゃなくて自社のものを繰り返し繰り返しずっと買い続けてくれるかってことが重要なわけじゃないですか。そうすると、賄える価格じゃなかったらそんなことは実現しないわけですよね。高いものなんて誰でも買えるんです。特に、メンツを重んじる中華系の華僑の人たちは1回や2回買いますよ、高いものでも。だって、われわれだって買えない? 高いもの。1回や2回買えるでしょ。なんだけど、1回2回買うんじゃだめなんですと、車じゃないからね、家じゃないから。家だったら一生に1回買えばいいでしょ。古い? 最近は2つ3つ買うのかな。
小林:いやー。
森辺:車も5台10台買うのかな。
小林:いやいやいや。
森辺:分からないけど、そういう数じゃない? なんだけど、やっぱりこの食品・飲料・菓子・日用品なんていうのは、賄わないといけないから、決して安売りする必要はないと、高く売れと。ただし、それは賄える価格の一番上のところのライン。
小林:ギリギリのラインってことですね。
森辺:うん、ここを狙うべきだというお話をしたんじゃないかな。
小林:ありがとうございます。お時間やってまいりましたので、本日はここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。