小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日のPodcastの内容なんですけども、前回に引き続き、ダイヤモンドオンラインの記事に掲載されておりました、タイトルが「昭和という「レガシー」を引きずった平成30年間の経済停滞を振り返る」ということで、平成元年と平成30年の世界の時価総額ランキングの比較について前回お話していただいたんですけども、なぜこうなってしまったのかとか、今後どうなってしまうのかとか。
森辺:イノベーションを生めなかったという話と、アメリカがなんで強いのかというのは、アメリカはシリコンバレーを中心にイノベーションができたという話と、中国の台頭が凄まじかったと。これは、ハードにおけるハイアールとか、コンカとか、ミディアとかさ、いろんなメーカーがあるけど、そういうハードにおける中国企業の台頭だけじゃなくて、IT・テクノロジー系、アリババやテンセントを始めとした、IT・テクノロジー系の中国企業の台頭も含みですよという話をしたんだよね。
小林:そうですね。日本企業としては、タイトル通りですね、昭和という「レガシー」を引きずってしまったですとか、イノベーションがアメリカのように起こせていなかったとお話いただいたんですけども。今後、令和を迎えて、日本企業はどうしていけばいいのか、ちょっと、森辺さんのほうからお話いただけますでしょうか?
森辺:令和が終わる頃にも、昭和という「レガシー」を引きずっていたらまずいよね。
小林:(笑)
森辺:でも、引きずる可能性あるからね。小林さん、笑っているけどね。
小林:令和が、そうか。終わる頃、そうですね。
森辺:令和になったからって、何か新しく自分が生まれ変わるなんて、こんなの妄想だからね。
小林:そうですね。
森辺:思い込み。毎年、新年になったら、「今年は」と言って抱負を立ててやるでしょう、お参りして。
小林:皆さんね、やります。
森辺:三が日終わったら忘れてない? 自分が何を抱負立てたか。
小林:はい。最初だけですね。
森辺:そんなもんなんですよ。だから、令和になったって、そんなもん、変えようと思わないと、自分の動力をめちゃめちゃ動かしてね、変わらないので、と思いますよ。
小林:(笑)
森辺:それで、何だっけ?
小林:ちょっと専門的にお話いただきたいんですけど。そうですね、令和に関係なく、今後、日本企業がこのランキングを見てちょっと感慨深いんですけども、今後、日本企業はどうしたらイノベーションを起こせるのか、また、アメリカですとか中国の企業のように、どうしたら日本企業は平成元年のように復活できるのか?
森辺:なるほどね。結論言っちゃっていい?
小林:うん。
森辺:結論をひと言で言うと、経営の中心にマーケティングを置くということなんですよね、日本企業がやれなかたことって。日本企業はこの30年間、経営の中心に何を置いたかと言うと、技術だったわけなんですよ。技術を経営の中心に置いてしまったので、すべての課題は技術で解決をするということをずっとやってきたと。ものが売れない、技術力を磨け。それが売れた。欧米を追い越した。これが「レガシー」なわけでしょう? なんだけど、今って、50歩100歩の技術をいくら磨いても全くだめな時代で、インターネット、昭和と令和の一番の違い、この平成という時空を抜けて一番の違いって、インターネットの出現なんですよね。このネットの出現によって、もう経営の中心に技術を置いたってだめなんですよ。もし、これが、ネットがこなかったら、なかったら、これたぶん、まだ技術を中心に置いていてもよかったかもしれない。本当はマーケティングを置かないといけないんだけど、技術を中心に置いていても何とかなったかもしれないけども、もうこうなってしまったら、やっぱり経営の中心にはマーケティングを置かないといけなくて。技術って、いわゆるプロセスじゃないですか。手段なんですよね、技術というのは。いいものをつくるための手段であって、技術はね。だから、いくらいい技術を使っていいものをつくっても、売れなきゃ意味がないので。日本のスマートフォンがまさにそうでしょう?日本の家電がまさにそうでしょう?
小林:はい。
森辺:いいんでしょう?液晶テレビがまさにそうでしょう?世界の亀山モデルなんでしょう?
小林:はい。
森辺:シャープのね。どこ行っちゃったの?
小林:そうですよね…。
森辺:なので、やっぱり経営の中心にマーケティングを置くということを本気で本当にやらないとだめ。いいものの定義を変えられるんですよ、そうすると。経営の中心にマーケティングを置くということは、いいものは必ずしも技術力が高い、品質がいいものじゃなくなるんですね。そうすると、新興国、先進国を含めて、いろんな国で求められているものに実直に対応が取れる。世界標準化をする上で、それぞれの国に現地適合化をしていくということができるようになるので、いかにマーケティングを経営の中心に置くかということだと僕は思いますよ。だって、それを技術じゃなくて、マーケティングを置けば、いいものの定義を変えられるんですよ。日本企業がなんでこうなっちゃったかと言ったら、いおいものの定義を変えなかったから。われわれのいいもの、日本国民1億2,000万人が「いい」と言うもの。日本のメーカーが日本の市場に押し付けてきた「いい」という製品・商品、こういったものを、われわれはいいものだと言ってきているわけでね。やっぱりそこを変えていかないとだめなんじゃないかなと思います。というか、確信しています。
小林:おお!
森辺:というところでいかがですか?
小林:うん。とっても分かりやすかったです。(笑)
森辺:はい。
小林:ありがとうございます。本日のPodcastはここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。