小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日のPodcastの内容なんですけども、前回に引き続き、プレジデントオンラインの記事についてちょっと引き続きお話いただければと思います。
森辺:はい。
小林:このタイトルなんですけども、「同族経営が“普通の経営”より好業績なワケ」というタイトルなんですけども。前回、この同族経営がファミリー企業が一般的に非ファミリー企業と比べていくつか利点があるということで。
森辺:4つあったよね。
小林:4つですね、ちょっと説明させていただきたいんですけど、今回もちょっと説明させていただきますと。まず1点目に所有と経営が一致していること。2点目に経営者のモチベーションが強いということ。3点目に長期的な視点で経営がしやすいという特徴があるということ。最後に4つ目は家訓というかたちで強いコーポレートカルチャーを持っている。という4つの利点をこの記事では挙げられていたんですけども。反対に、やはり利点だけではなく課題もあるということで。その課題についてちょっと記事で挙げられているのが…。
森辺:前回その利点をグローバルの視野で見たときにどうだ、という話をさせてもらったんだよね。
小林:そうですね。
森辺:今回は、逆に課題?
小林:課題。はい。
森辺:どんな課題があるの?
小林:はい。課題なんですけども、血縁者が後継者となる場合、必ずしも能力のある人が選抜されるわけではないということで、ちょっとこのファミリービジネス特有の不祥事も起きやすいのも現状ということで挙げられているんですけど。この課題についてもちょっと触れていただけますでしょうか?
森辺:なるほど。特に日本は、このファミリービジネス、ご子息がその会社を継ぐべきだという、その固定概念が非常に強く、言ったら、平たく言うと、バカボンだったときにどうしよう?という話だよね。いわゆる、息子がバカボンで継いじゃったと。そしたら、成長しないか衰退するみたいな、そういう話だと思うんだけど。僕もいろんなファミリー企業と今接点を持っているけど、少なからず接点を持っている企業はすべて優秀なご子息が育っていて、さすがだな、帝王学みたいなものを生まれたときからずーっと、これ父親の背中を見て学んでいるんだなというのを感じるような人たちばっかりなのね。だから、俗に言うバカボンみたいなのを僕はちょっとあまり会ったことがないんだけど、そういうのがいるというのも理解はしますと。どっちかと言うと、サラブレッドみたいな、もう何か血統が違うわみたいなことを感じるようなご子息に会うケースが結構多いのは事実で。でも、日本にはそうじゃないファミリー企業もたくさんあるということだよね。僕、これ、経営と所有が一致しているというのは、やっぱり創業者がまずそうじゃない?
小林:はい。利点として。
森辺:あと、継ぐ人の所有というのは、一貫してファミリーが持つわけでしょう?
小林:はい。
森辺:そこに経営を乗せるというのは、これ、創業者だけだと思っているのね、僕はね。だから、強いという。この利点で言っていた、経営と所有が一致しているという強さというのは創業のときだけ。もしくは、後継者が優秀なときだけ。後継者が優秀じゃないときに、これが問題なわけでしょう? 優秀な創業社長、ファミリー企業の創業社長って自分の息子が優秀じゃないと思ったときに会社継がせないよね?
小林:そうですね。
森辺:うん。端から「継がせる」ということを言わない。要は、優秀じゃない息子に会社を継がせて、会社をダメにしちゃうのって、やっぱり数十億とか数百億前半の会社に多いと思う。それって、僕、パパが悪いと思うの。お父さんが自分の息子を色眼鏡で見ちゃっているから、それ、継がせちゃうわけでしょう? それ、気持ちは分かる。僕も息子ができたから。けどね、やっぱりこう考えないといけなくて。所有は息子なわけでしょう? 遺産相続するわけだから。
小林:そうですね。
森辺:生前贈与して株を移すわけだよね。なんだけども、所有でいいじゃんと、オーナーで。会社、誰が一番偉いの?って、オーナーが一番偉いわけでしょう?
小林:はい。
森辺:オーナーでいてくれて、優秀な経営者に経営をしてもらったほうがよっぽど企業価値が上がるわけですよ。であれば、もっと別のかたちで、息子が、例えば、アートが好きなんだったらもっとアートをさせる、音楽が好きだったら音楽をさせる。経営は経営者がやったらいいじゃない? 外から経営者を雇ってやってもらったらいいじゃない?と僕は思っているので。アメリカの会社なんかまさにそうですよ。そうしないと、やっぱり数百億後半、数千億みたいな世界観にはなかなかならない。そりゃね、パパが非常に大きな影響を持っていると思いますよ、父親がね。「お前はこの会社を継ぐんだ」みたいなことを小さいときから言わない。僕なんか全く、継がすつもりなんか全くないし。だって、そんな全然関係ないよね。たまたま、「やってみるか?」と言うんだったらありなんだけど、よくあるじゃない? 日本のポロッと涙の出るいい話。「こんな会社継ぐかよ!」と出て行った息子が、ホロッと戻ってきて、親父が危篤になって後を継いでくれる中小企業サクセスストーリーみたいな、そういうのあるでしょう。それが美徳とされているけど、そういうことじゃないと思うんだよね。
小林:本人の意思に反してまで継がせることはよくないということですね。
森辺:仮に本人の意思が継ぐってなったとしても、それはまた全然違う話だから。だって、お父さんお母さん甘やかしてきちゃったんだもん。これは無理よというケースだって全然あると思うんだよね。だから、そこは逆に、所有と経営を一致させない。二代目、三代目、四代目、以降はね、二代目以降は経営と所有をいかに分離をして、それでも経営をさせるかどうかということだと思うんだよね。別に会社に、アートも好きじゃないし、音楽も好きじゃないから会社にいないと困るんだということであれば、最高経営責任者にする必要って別になくて。最高理念…、何か分からないけど、最近の言葉で言うと、エバンジェリストみたいな、そういうタイトルを付けて、理念を伝達する、伝道するような人。要は、創業者の理念を最も理解しているわけでしょ、息子なんだから。そういうものを企業カルチャーとして社内外に伝達していくような立場をしっかりつくっていくということだっていいし。経営をやらすということが、たぶんもう違うんじゃないかなと思うんだけどね。それでも、経営と所有が一緒だからつぶれていいんだから、別に。だって、ファミリーのものなんだからさ。
小林:そうですね。
森辺:いいんだと。企業価値が減ろうがつぶれようが、俺の息子が社長できたらそれがいいんだと言うんだったら、それはそれでもいいと思うけどね。そうすることができるのも、またファミリー企業だよね。成長しようが、衰退しようが、つぶれようが、あんたの知ったことかというのがファミリー企業でしょう?
小林:自分に返ってきますからね、必ず。
森辺:うん。なので、僕がこうして偉そうに言うのは間違っているね。反省します。
小林:いえいえ。(笑)
森辺:というのが、僕の考えです。
小林:なるほど。
森辺:なので、日本企業は特にそうで、グローバル行ったら、もっともっと二代目以降は分離しているんじゃないかなという気がします。
小林:かしこまりました。ありがとうございます。本日のPodcastはここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。