小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、前回のPodcastでは、米倉誠一郎教授と行くビジネスツアーについてご紹介していただいたと思うんですけども、終盤に今年のガーナ&トルコツアーについては、次回、米倉先生をお呼びして直接ご案内していただこうということになったんですけども、覚えていらっしゃいますか?
森辺:はい。覚えています。
小林:本日は、大変お忙しい中、ご調整いただきそれが実現いたしました。法政大学イノベーションマネージメント研究科教授一橋大学イノベーション研究センター名誉教授米倉誠一郎先生にスペシャルゲストとしてお越しいただきました。それでは、米倉先生、よろしくお願いいたします。
米倉誠一郎先生(以下、米倉):よろしくお願いします。
森辺:よろしくお願いします。先生、遂に今年も「米倉誠一郎と行くビジネスツアー2019」が決定したわけですけども、今年は、ガーナ&トルコ9日間の旅ということで決まりましたが、ちょっとこの10年ぐらいを振り返りしたいんですけど。私、このツアーをお手伝いさせていただいて、今年で何回目かなとちょっと考えたときに、2013年にうちの取締役の東が初めて参加させていただいて、その次の年、2014年に米倉先生から「行くぞ」と言われて行って、13、14、15、16、17、18、19と、今年で7回目なのかなと思っていて。
米倉:7回目なんですね。
森辺:でも、先生、確か、13年の前に1回企業のVIPだけを連れて。
米倉:行きましたね。
森辺:プレトリア大学へ行かれているので、たぶん8回目になるのかなと思っていて、それを入れて。8回もこの米倉誠一郎と行くビジネス視察ツアーをひたすら、最初のほうは、南アフリカをずっとやっていましたけど、去年からケニアが入って、今年はガーナ&トルコということで、ずっとやっているんですけど、一体、先生、これ何の目的でやられているのかな?という。
米倉:そうですね。僕は2011年にプレトリア大学に行って、日本研究センターというのができたときに、その所長を引き受けたんですね。もうこれ、やっぱりアフリカってものすごい可能性があって、今ちょうど11億人ぐらいなんですけど、2050年までには20億になると。54カ国ありますから単体ではないんですけども、1つの大陸で20億と言うと、中国が14億で、インドが13億というぐらいですから、これはものすごいポテンシャルのある場所なんですよね。
森辺:そうですね。
米倉:でも、多くの人にとっては、「アフリカ?」とか、「ジャングル?」とか、そういうイメージしかなくて。「まず、これは日本の人たちに見てもらおう」と思ってツアーをやりました。ビジネスの人もそうなんですけども、学生たちも、それから、アフリカ、一緒に行ってあれですけど、BOPという1日2ドルぐらいしか稼ぎのない人たちが持っているマーケット、そのポテンシャルは3つぐらい重要なことがあって。彼らこそ21世紀を通じて大きなマーケットになる、40億50億のマーケット。2つ目は、彼らが今のわれわれと同じような暮らしをしたら地球は完全に破壊されるんですよね。ということは、何かサスティナブルな支援をしなきゃいけないと。もう1つは、日本がそのときにどんな役割ができるかと言うと、僕は、もう経済大国でもないし、政治大国でもないと。ましてや、軍事大国なんていう選択肢はないので、日本がそういうサスティナブルなイノベーションを向こうの人と一緒に開発して、でも、それはすべてヨーロッパ、アメリカ、日本に逆輸出できるぐらいのポテンシャルがあると思うんですね。その3つの理由から、まずアフリカを見ておこうということでした。去年は、アブダビを経由して、アブダビも中東ということを、われわれは自分の目で見ないと。普通、アブダビ…、あ、ドバイだ。ドバイでしたね。ごめんなさい。
森辺:ドバイですね。どのツアーの話かなと思って聞いていました。
米倉:そうそう、ごめんなさい。
森辺:ドバイですね。
米倉:ちょっと頭ボケているんで許してください。
森辺:いえいえ。
米倉:ドバイは、「えー」とか言って、みんな、あれ、石油で豊かになったと思うんですが、ドバイって石油1滴も出ないんですよね。
森辺:そうですね。
米倉:あれは意思の力でつくった、ある意味、シンガポールと似ていますよね。それからケニアに入ったというので、一緒に熱気球も乗りましたし、マサイ族と踊りましたけど。
森辺:よかったですね、気球はね、本当。
米倉:そうですね。でも、やっぱりケニアっていうものが持っているポテンシャル、それから、やっぱり中東というものをこれからどういうふうに扱っていくのか、今回もホルムズ海峡が閉鎖何とかって言っていますけど、日本にとっては生命線なんですよね。8割近くはあそこを通っているので。
森辺:そうですね。
米倉:これ、悪い言い方ですけど、アメリカの言いなりになったり、どこどこの利害関係になったりじゃなくて、日本としての立ち位置を決めていかないと、やっぱり日本の存続に関わることなので、そういうことも地政学的に日本の人たちは見たほうがいいなと思って去年は企画しました。
森辺:そうですよね。実際に僕、参加をしていて思うのは、こんなことでもなければ、ケニアにもガーナにも行かないと思うんですよね。トルコ辺りは行くかなとか、ドバイ辺りもいつか一生に1回ぐらいは行くかなと思うんですけど、若いうちに行っておこうとは思わないと思うんですよね。たぶん、それよりももっと楽しい選択肢、ハワイがあったり、バリ島があったり、そんな選択肢があると思うんですけど。でも、確かに先生がおっしゃる通り、私たちの豊かさって、BOPの人たちがベースとしてあるうえに、もしかしたら成り立っていて、でも、それを変えていくのが、サスティナビリティだったり、これからの世界なので、それを少しでも考えるきっかけを1人でも多くの日本人がつくれればいいなというのが、もしかしたらこのツアーの一番大きな目的、目的というか、成果なのかなという気もするんですよね。
米倉:そうですよね。
森辺:参加者の方が言われるのが、別にアフリカでビジネスしようという人が参加していないですよね。どちらかと言うと、日本でバリバリ働いている人たちが、この1週間、米倉先生とときを一緒にしながら、道中いろんな話をして、何か気付きを得たという、それぞれ、たぶん得ているものは違うと思うんですけど、気付きを得たというところが、アンケートを見ても満足度が一番高いので、そんなところにあれがあるんですかね、このツアーの魅力があるんですかね。
米倉:みんなで一緒にワイワイと行くというのもいいと思うんですけど、今回はトルコを選んだのは、やっぱり東西文明の接触点ですし、そこにも多くの仲間がいるので、今のトルコ、何が起こっていて、どうして今、ヨルダン政権であんなふうになっているのかっていう背景を知るっていうことはとても大事だと思うんですよね。だから、そのトルコを経由してガーナに入ると。なぜガーナか?と言うと、やっぱり西アフリカっていうのも、東アフリカ、ケニアとかもそうだし、タンザニア、あの辺、英語もできますし、比較的安定しているんですけど。ガーナも政権的には非常に安定しているうえに、親日国ですよね、ガーナチョコレートっていうぐらいですから、そのポテンシャルをきちっと見ておく。それから、われわれ誇るべき野口英世博士があそこでいろんな黄熱病の研究とかをしていたという、そういうことも若い人は忘れているので、もう1回、日本がガーナとか西アフリカでできること、あるいは、その彼らのポテンシャル。そして、さっきも言いましたけれど、本当にサスティナブルなことをしないと、あそこも大量にPCなんかのオフィスごみを受け入れて、それを燃やして、子どもたちがそこからレアメタルを採取するというのを、フィリピンで起こっているようなことが起こっているので、それも放っておいたら、結局、われわれに返ってくるので、日本としてどんな手助けができるのか。そんなことを楽しみながら見に行きたいですね。
森辺:分かりました。ありがとうございます。そしたら、ツアーの詳細は、また次回、先生もう次回はいませんけども、私のほうでプログラムのご案内をしたいと思います。先生、あれですよね、遊びあり、勉強ありで。
米倉:そうですね。(笑)
森辺:半分半分のツアーですよね。
米倉:はい。(笑)半分半分、まあ、7分勉強と。ただ、カッパドキア、これは僕も行ってないんですけど、素晴らしい洞窟ホテルもありますし、熱気球も乗りますし。
森辺:7割勉強、そうですね。
米倉:あと、今、森辺さんがおっしゃったように、一緒に行った仲間とその後ずっと続くネットワークをつくってですね。
森辺:1回やっていますもんね。
米倉:世界のことを考えてほしいという会にしたいと思います。
森辺:なるほど。ありがとうございます。それでは、この辺にしたいと思います。リスナーの皆さん、どうもありがとうございました。
米倉:ありがとうございました。