東:こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺:こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、引き続き米倉先生をお迎えしておりますけれども。
森辺:先生、どうぞよろしくお願いします。
米倉:よろしくお願いします。
森辺:今回最終回ということで、今こちら東も1度先生に連れて行って、ご一緒させていただいたアフリカなのですけど、先生今アフリカに年に何回も行っているようですね。
米倉:2年半ぐらい前にアフリカで学会があって、僕は日本の話をしに行ったのですけど、そこで南アフリカのプレトリア大学という非常に良い大学の中で、日本と南アの友好条約締結100年を記念して日本企業とプレトリア大学が日本研究センターを作ったのです。そこに行って、一代目の所長が終わったのだけど、二代目が急遽作ったので困っているという話しを聞いたときに僕は引き受けなければ行けないなと思ったのです。やはり日本と南アは100年の友好条約を結んで、関係を持っているにも関わらず、存在感がずっと低下している。そういう南アにはやはり各地区目覚ましい韓国と中国企業があると。これは大変なことだと。南アフリカはGDP、1人当たりで言うと27位かな。総額で言っても87位ぐらいで。これはアフリカの中でもはるかにすごく存在感がありますし、27位というのは中国の1人当たりのGDPより遥かに多いのです。アフリカの中では周りをみて先進国として頑張ってきて、しかも27年の投獄を経てマンダラ大統領が大統領に就任して、他民族を受け入れるレインボー国家になろうではないかと。そのかけ声のもとで、ワールドカップを生んできたし、そうやって頑張っている国に、やはり日本が手を差し伸べない。われわれの経験した技術とか経験してきた国づくりとか、それを率先していかないというのが恥ずかしいことだと思うのです。引き受けて、なるべく日本の若い人たちをアフリカに連れて行く、ちょうど明日から授業がありますけど、アフリカのNBAたちが日本にきて、受け入れて授業をしたり会社を案内したりとか。そういうことをやろうと思って引き受けたのですけど、日本の中のどうしても崩さないと行けないのが、アフリカというと遠いとか何を言っているのだと。ワールドイズフラットなのですよ。1時間もすればどこへでも行くということをすることなのです。それがもう1つと、やはりアメリカは世界で最も豊かな国ですよ。ドイツも地下の石炭産業エネルギーという歴史から言っても豊かな国なのです。だけどこの極東の何もない日本が、ある意味知恵だけでここまできた。しかもこの間アフリカの学生がきてビックリするのです。「先生!この地下鉄にゴミが落ちていない」僕もそうやって見てみると、確かに日本の地下鉄はゴミが落ちていないのです。これは明るい北朝鮮、シンガポールと違って、(拾うことを)強制して落ちていないわけではないのだと。人情で落ちていないのです。JR東日本新幹線の年間遅延率が8秒とか。「えー、8秒!?」。日本のことを知ってもらいたいし、日本の学生にはアフリカのことを知ってもらいたいと思ってやっているのですが、去年20人ぐらいのNBAの学生が来て、3日間シンガポールにいて、最後3日間東京にいて、帰るときに向こうのNBAの学長が、日本とシンガポールを見てきた、日本には驚嘆する素晴らしい技術。いろいろ素晴らしい会社を見たのです。そして、諸君日本とシンガポールがあった。今度どっちに投資する?と聞いたらば、なんと19人がシンガポール。1が日本。僕は「えー」と。グリーにも行ったし、GMOも見たし、ソニーも行ったし、ごみ1つない地下鉄の驚き、ここまで来て何でだと。やはりシンガポールに未来を感じたと。中国もあるのだよと。やはりオープンネスというのかな、あそこもそんなオープンではないのだけれども、でも国を上げて世界の人に来てもらいたい。世界の人に投資をしてもらいたい。だから僕がシンガポールに去年行ったときに、経済企画庁の担当役員、まだ32、3ですよ。日本担当になったと言うので、日本語ペラペラ。韓国もやらされて、韓国語勉強しろと、韓国語も出来る。大学から公務の大学にいって、スタンフォード大学、化学のマスターをとって、でも姿勢は何しろシンガポールに来てください。僕はシンガポールではどんな企業に来てほしいのですかと聞いたら、リストができていると。固有名詞入りで、こういう会社に来てほしいなと。こういう会社だったら法人税は6%ぐらいでもいいかなとか、具体的な。そういうふうに考えてみると、日本の実効税率42%。政府に言ったって、外国企業来てくれるなみたいな感じ。外国人にとって大分良くなったけど、分かりにくい地図、分かりにくい街。人々は親切だと思う、1人1人は温かいけど分かりにくいよね。言葉も通じるかと言われると、シンガポールもそうです。そういう点ではわれわれもモダンな日本の開国をどんどんやっていけないといけないし、もう1つ日本のいいものを売りに行くというそういう姿勢が大事ですよね。物を売るのではなくて、事故が起こらない体質、そういうことをやりにいくと。だからJR東日本がJR北海道に人を派遣する。これは非常にいいことだよね。日本の中でも技術にばらつきとか、永住化ができなくなっているのだから、このやり方を世界中に売りにいく。こういう考え方をしないと、やはり世界から尊敬を受けないし、やはり日本の知恵を、お金を出しても欲しいと言われるような立国に、国の作り方に変えて行かないといけないです。アフリカにいると実感するのです。
森辺:日本とアフリカの今後の関係も、もっともっと積極的に密な関係になっていく。
米倉:そうですね。もう1つ、BOPマーケットに対してのものすごいお金が減ると言われている。本当に型落ちのものを持って行く。BOPマーケットこそ最先端の物が欲しい。あるいはBOPマーケットだからこそ自分の、立派な個人として扱ってほしい。そういう気を忘れて、BOPだから10年前のものを買おうだとかで良いのではないかとか、型落ちしたこのテレビで良いのではないのとやっていると、絶対負けますね。センシティビティはものすごく良い。そのためにはやはりそこに行かないとか。
森辺:ネットがこれだけ普及すると、情報が瞬時に海を超えていますからね。
米倉:僕もトルコに今年7月に行ったでしょ。トルコはガソリン250円もするわけ、リッター。それはガソリンから一番税金がとれるから、とりやすいからということなのだけれども。
森辺:レギュラーですか。
米倉:レギュラー。トルコにはトヨタが進出していて、トヨタカローラを作っているのだけれども、10年前のトヨタカローラなのだよね。そこにヒュンダイが最新のを持ってきて、韓国車は負けないというのがあるから、基本内装はレザー張りなのだよ。そういう形が新しいからだと思うのだけど、でも250円だったらこれはアクアだろうとか、これはプリウスだと思うよね。話し変わるけど、学生連れて沖縄に行ったけど、2泊3日の団体。そうしたらレンタカーがついてくるのだよね。集団で借りると。何かというと、アクアがついてきた。トヨタの。沖縄大学でゼミを開いて、ホテルから3、4往復ぐらいして海とか行って、どうだろう、それでも5、60キロ、80キロぐらい走っているのかな。そして最後にガソリンを入れないといけないのね。ガソリン入れて、領収書が出てきた。495円。「えっ」。3リッター。やはりすごいなと。日本のハイブリッドはすごいなと思った。あれをトルコに持って行く勇気があれば。
森辺:トルコは比較的日本作ですよね。
米倉:250円だったら絶対ペイする。
森辺:新興国に行くと、いわゆる型落ちを持って行って、一方で韓国とか中国は最新をぶつけていったときに消費者が韓国や中国の方が何かいいブランドなのだ、いいメーカーなのだと思い込んでいってしまっていて、どんどん日本のプレゼンスが下がっていることが心配です。
米倉:感じるところがね。後輩の清水(洋)くんがロンドンから帰ってきたときに、先生、ヨーロッパではソニーは性能が良いけどデザインはサムソンだよねと言っているのですと。ちょっとまて、それは逆だろうと。サムソンは性能いいけど、デザインはソニーだよね。違いますよ。ソニーは性能がいいけどデザインはサムソンですよというふうになっているのですよというのを聞いて、確かにニューヨークの美術学校、あそこにはサムソンの寄附講座3つぐらい持っているしな。パーソンズか。本当に日本はすごいなと自分たちが思っているうちに、世界の違う見方をしているから私は身を引き締めて、もう一度ゼロからスタートで世界に打って出ると。あとは大事だと思います。
森辺:ありがとうございます。全4回にわたり、大変長い間どうもありがとうございました。
米倉:ありがとうございました。