小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日のPodcastですが、本日も皆さんからいただいた質問に対してお答えしていただきたいと思います。
森辺:お願いします。
小林:よろしくお願いいたします。では、早速、質問でございます。こちら、製造業の方からのご質問でございます。「現在のディストリビューターでこれ以上シェアを上げられるのか悩んでいる。20年以上お付き合いしているディストリビューターですが、最近、本当にそのディストリビューターでこれからさらにシェアを上げていけるかどうか不安です。こういった課題に直面している場合、どのようにすることが適切なのでしょうか」というご質問でございます。
森辺:なるほど。製造、B2B、B2C、それは書いてない?書いてないね。
小林:そちらは書いてないですね。
森辺:でも、会社名が書いてあるか。でも、匿名だからね。
小林:(笑)
森辺:(笑)なるほどね。この課題はどの企業も、グローバル展開している企業で、センスのいい会社はだいたいこの課題に気付いていて。要は、20年以上前って書いてあるじゃない?
小林:はい。
森辺:30年ぐらい前の企業もいて、当時の担当者がどういう経緯でそのディストリビューターを決めたのか分からないんだけども、ずっと来ていますと。今、自分が担当しているんだけど、自分が担当するまでの過去20年間に、もう、10数名という人がたぶん、担当してて。だって、何年かおきに担当が代わっていくわけだから。そうすると、10人とか10何人とかという人が担当してきていて、ずっとそこと付き合っていて。もう20年も付き合っていると、そこがディストリビューターだというのはもう、常識的な話になっていて、それ以上も以下もないみたいな、そういう感じになっていたりするんですよ。こと、問題が起きたりとか、売上があまり芳しくないってなったときに初めてこの課題が表面化してきて、本当にこれでいいんだろうかと。ただ、基本的には日本のメーカーさんというのは、ディストリビューターに売ることのかなりの部分を任せてしまって、現地法人があっても、基本的には、その先の顧客とかユーザーってディストリビューター任せだし、もし輸出でやっている場合だと、年に何回か行って、もしくは、数年に何回か行ってぐらいのレベルでやっているケースも結構あって。そうするとその先の実態が全く把握しきれていないというのって往々にしてあって。なかなかうまくいかない理由を言われても、まあ、ただ聞いて「そうか」と、「頑張ってほしい。以上」みたいな、それに対して対策を打てないと言う状態って結構あって。たぶん、8割方9割方の製造業は今、そういう状況だと思うんです。うまくいってないという。こういう状況の企業がどうしたらいいのかというのは、非常にシンプルで。皆さんの競合のディストリビューターと、自分の競合のケイパビリティを比較をするということがすごく重要で。例えば、競合企業A社B社C社のディストリビューターが当然いるわけですよね。そのディストリビューターと比べて自分たちのディストリビューターはどうなんだということを見たときに、自分たちのディストリビューターは何が長けていて、何が劣っているのか、もしくは、戦闘能力を総合評価したときに、向こうが、例えば、100だとしたときに、自分たちは120なのか、それとも80なのか、もしくは50なのかというのを見ていって。もし、50だったら、常に戦闘能力の総合値で50の差があるわけでしょう?そうすると、毎年毎年50差が開いていくというのは当然の話で、この差異を埋めていくということをしないといけない。じゃあ、埋めるためには、さすがに50差が開いていたら、別のディストリビューターと併用していくということをたぶんしないといけないし。ディストリビューターはいやがりますよ。「独占だ、独占だ」と言っていやがります。自分たちが全然行けていない地域に関しても「独占だ、独占だ」といやがるんだけども、そこはやっぱりしっかり話して、エリア別で、自社内競合を極力しないようなかたちでエリア別で複数のディストリビューターを使って、しっかりと顧客リーチをしていく、B2Bだったらユーザーリーチをしていく、B2Cだったら小売のストアカバレッジを増やすということをやっていかないといけないし。それはもう1個増やすことが、今の既存のディストリビューターにとってもプラスなんですよ。これ、しっかり話をすれば、絶対にへそは曲げない。なんでならば、そのディストリビューターにとっても、そのメーカーを失うのは困ることですから、だから、そこはしっかり比較をして、人を増やすとかね。もちろん、切り替えるというのもそうですよ。例えば、向こうが100で、こっちが20だったら、もうこれあと4社は増やさないといけないわけですよね。そうすると5社マネージしないといけないということを考えると、いっそのこと切り替えたほうがいいんじゃないの?ということにもなりかねないわけなので。方法は状況によって都度調整をしていかないといけないことなんですけど、基本的には主要競合のディストリビューターと自分たちのディストリビューターがどうなのかということを見ると。差がそんなに開いていないのであれば、今のディストリビューターともう1回仕切り直しをして、対競合に対してどういう活動をしていく、どういう施策をしていくということを一緒に協力的にやっていくということも1つ重要だし。でも、大概の場合は、日本の企業は、今まで大した支援をしてこなくて、基本的に売ることを任せてきたので、急にやる気になって、「施策だ何だ、ああだこうだ」って言い始めると、ディストリビューターにだいぶいやがられて、「分かっていないんだから口を出すな」と言われて、そう言われると、何もできなくなってというような状況があるので、なかなか大変なんですけど。そういうところにわれわれがお客さんと戦略をつくって、ディストリビューターがへそを曲げないようにうまいことやらせていくなんていうプロジェクトを年間に何十本もやるんですけど、そんなことをやっていかないと、なかなか難しいんじゃないかなというふうに思いますけどね。
小林:なるほど。
森辺:でも、これもやったことがないと、やっぱり、これも流れるプールと一緒で、ずっと右向きに流れているんですよ、ディストリビューターは今までそのやり方で何十年もやってきているわけじゃないですか。それをいきなり「左向け左」と言って流れを左に変えるって、だいぶ無理で。
小林:難しいですね。
森辺:こんなのわれわれも一緒でしょう?
小林:うん。
森辺:例えば、今まで9時5時で仕事をしていて、平々凡々でやっていて、それが仕事だと思って20年やってきて、いきなり外資系出身の鬼上司みたいのが、鬼上司というか、その…。
小林:(笑)
森辺:非常にロジカルなのが入ってきて、全く違うやり方をバババババッと言われたら、ものすごい抵抗するでしょう?
小林:そうですね。
森辺:基本的に人間というのは、自分たちが長年やってきていることを変えようとすると、ものすごく抵抗したがる生き物なんですよね。
小林:そうです。最初は苦労するし、変化嫌いますよね。
森辺:うん。そう。人間は最も変化を嫌うんだよね。
小林:そうですね。(笑)
森辺:なんだけども、変化を求める、今の現状を打破して、新しい未来をつくろうと思うと、やっぱり、その反対のエネルギーを思い切り吹き飛ばさないといけなくて。
小林:そうなんですよね。
森辺:その摩擦を恐れていると、たぶん、何にも起こらなくて。
小林:うんうん。現状が変わらないというか。
森辺:結構、日本の企業は多くて、摩擦を恐れちゃうという。ディストリビューターとの摩擦、社内の摩擦。そこが非常に僕も、これは日本人的な考え方で、摩擦が起きないと変わらない。日本からイノベーションが起きないというのはまさにそうで、アメリカが起こしたイノベーションをよりよくするという意味での、技術革新という意味でのイノベーションはたくさん起きるんだけど、それはだって、堅実に研究を続けていけば、どんどん、どんどん、よくなっていくから。ただ、全く今まで存在しなかったものをパーンと生み出すようなイノベーションというのは、やっぱり、なかなか生まないのは、摩擦や衝突を恐れてしまうからなかなかそこは生み出せないって、全然話が逸れていっちゃったけど。なので、この方のご質問にお答えするとどうするのか。まず、競合のディストリビューターと自分たちのディストリビューターを比べてみてください。もう、圧倒的な差があると思います。その差異を埋めることが今、この方が悩まれていることを解決する最短の道だと思います。はい。
小林:かしこまりました。ありがとうございます。本日のPodcastはここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。