小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日は、リスナーの皆さまからいただいた質問に対してお答えしていただきたいと思います。
森辺:よろしくお願いします。
小林:よろしくお願いいたします。では、早速質問でございます。こちら、大手消費財メーカーさまからのご質問でございます。「自社だけでの戦略づくりに限界を感じているが、コンサル活用も不安。すでに多くの国々に進出しておりますが、十分な成果が得られていません。その要因は、戦略の甘さにあると考えております。しかしながら、自社のリソースだけでの戦略策定では限界を感じています。一方で、コンサルにお願いすることにも慣れておらず、不安を感じています。どのようにすべきでしょうか?」とのご質問でございます。
森辺:なるほど。…はい、了解しました。結論から申し上げると、ぜひ使ってください!ということだと思うんですけど。(笑)
小林:(笑)うーん。
森辺:ちょっと、自分とかコンサルを肯定するような回答になりすぎちゃうとよくないので、できる限り客観的にお話をしたいと思うんですけど。総じて、日本の企業ってコンサルを使い慣れていないと言うか、使いきれていないと言うか、使い方が下手と言うか。それは実際に先進的な企業に比べると、欧米に限らず、先進的な企業に比べると、やっぱりあると思います。コンサルっていろんな分野の専門性があるので、一派ひとからげにはならない。例えば、僕らだったらグローバル戦略、中でも販売チャネル戦略に完全に特化をした会社なので、それ以外のことをやれと言われても、正直、実績もノウハウもないですよという話なので、それぞれに専門性があるので、どこの会社がどういう専門性を持っているのかというのはしっかり把握をしないといけない、というのがまず1つかなと。自力で分からないものを自分でうんうん、うんうん、考えて、何かしようとすることほど無駄なものってなくて。
小林:うーん。
森辺:だって、海外のことよく分からなくて。戦略ってどうやって出てくるかと言うと、インプットの多さなんですよ。どれだけインプット、いわゆる情報を持っていて、その情報を知識と経験、知識と経験とセンスを組み合わせて革新的なアウトプットという戦略に変えるわけですよ。そうすると、インプットがない人がずっとうんうん、うんうん、考えていても、そんなのアウトプットなんか出ないじゃないですか。センスはあったとしても、その分野の知識も経験もないわけですよ。知識と経験って時間ですからね。それは時間をかけないとそういうものは備わらないということを考えると、うんうんやっていても、社内で一生戦略は出てこないという話になっちゃうので、結局、ありきたりの上から降りてきた数字の積み上げに対して商品を押し込んでいくような戦略になっちゃうし、その戦略が間違っているということにすら気付いていないというケースが結構あって。だって、何が正しいかが分からないということは、何が間違っているか分からないということじゃないですか。
小林:はい。(笑)
森辺:なので、こんな無駄なことってなくて。コンサルに何百万かかるのか、何千万かかるのか、何億かかるのか、分かりませんけど、それ以上の成果が出るのであれば、どんどん、どんどん、使って、時間を短縮するって、こんなにいいことないわけじゃないですか。今の現状のままだと、毎年毎年何かをロスしているわけでしょう?要は、本来獲れる利益をロスしているわけで、じゃあ、そこにコンサルに年間3,000万かかりました。3,000万ボーンと突っ込んで、例えば、1億円の利益が早く入ってくるんだったら、1億-3,000万で7,000万プラスじゃないですか。だから、そうやって考えると、自力でやったときに何年かかるのか、それをコンサル入れたときに何年前倒しできて、その前倒しに対していくらかかるのかという計算をやらないと、いや、うちの会社はコンサル使ったことないから、うんにゅんうんにゅん…と言っていても、ずっとたぶん、そのままになっちゃっていて。これ、大手と書いてあるから絶対使っていて、使っている部門はあるんですよ。ただ、この部門が使っていないというだけで。たぶん、誰かがそれを使って常習化と言うのかな、商習慣化させないと、たぶん、使うというあれにはならないので。
小林:はい。
森辺:いますよ。部門にはコンサルとか直送会社にこんなにコストかけてどうするんだみたいな。自分たちで調べろみたいな。でも、製造業って調査するのは専門じゃないし、コンサルするのも専門じゃない。何か戦略を考えるのって、それは自分たちで考えなきゃいけない部分もあるわけなんだけど、インプットがあって、知見をもらって、最終的な判断をするのがメーカーの仕事で。何か不得意な領域のことをやるって、もし、それができちゃうんだったら、コンサルなんて商売要らなくなっちゃうじゃないですか。
小林:そうですね。
森辺:だから、そこは程度にもよると思うんだけども、日本の企業はあまりにも全部を自前でやりたがる。そんなこと言ったら、生産だって自前でやる必要なくて。だって、Appleは自分たちでものをつくっていないわけだから。
小林:そうですね。
森辺:自前でやるべきものと、やらないべきものというのは、臨機応変に分けないといけないし、不動産だって自分で持つべきもの、持たないべきものってあるわけだから、何でもかんでも自分でやるというのは、たぶん間違いで、何でもかんでも自分でやればコストがかからないという発想する上司は、僕はだいぶ危険だと思っていて。コストはかかっていない、要は、コストはかかっていないんだけど、ロストはしているんですよね。
小林:うーん。なるほど。
森辺:だって、本来、早く得られるはずの利益を得られていないわけですから、自分たちでノウハウないのに、うんにゅんうんにゅんやっているわけですからね。そっちのほうが、僕は大きな損害だと思うので、やっぱり、使わないといけない。そこそこ知られている会社だったら、そんなわけ分からない会社はそんなにないですし、たぶん、提案書を見れば一発で分かるんですよね。提案書を見て、自分で、「あー、なるほどね」と。「こういうふうにやって、こうなるんだね」と、何となくこれやれそうだなと思えば、たぶん、その通りになるから、提案書次第。コンサルって、絶対、提案書が出てくるので、「見積もりでいくらです」という、そういう話じゃないんですよね。このものいくらって、要は、メーカーだと、型番があって、数量があって、いくらって出すと思うんだけど、コンサルというのは、提案書が絶対に出てくるので、それを見ればいいと思うので。うまく使ってもらったらいいんじゃないかなと思っていて、うまく使っているところは、やっぱり早いですよね、ナレッジの蓄積が。どんどん自分たちの中に取り入れていけるので。一方で注意しなきゃいけないのが、コンサルに任せきりというのは駄目で。いかに彼らのノウハウを吸収していくかという話だと思うので、それはちゃんとやっていかないといけないし。あと、コンサルの専門性を見極めるということね。どこでもかんでもお願いしたらいいというわけじゃなくて、専門、餅は餅屋なので、専門性ということと、それとあと、結構あるのが、要は、コンサルでずっとお付き合いしているんだけども、製造業のメーカーの人よりもコンサルのほうがよく事情を分かっていて、なぜならば、製造業は3年に1回人事異動があって、新しい人がどんどん、どんどん、来るんだけど、コンサルは一貫してそこをずっと使っているから、言ったら、コンサルのほうがよくその会社の事情のことをよく分かっていたりするというケースもあるので、そういう意味でも、使い勝手はいいのかなと思いますけど。でも、不安ですよね。コンサルって何か鼻につくしね。鼻につくって、僕もつかれているのかな。
小林:(笑)
森辺:と思います。あと、頭の筋肉だけじゃなくて、足腰の筋肉がしっかり動くコンサルを使わないと。結局、仮説なので。頭を使ってやることというのは、仮説をどう立てるかという話で。実際に足腰の筋肉を使ってやってみたときに、現実ビジネスって仮説とは絶対にずれてくるので。そのずれに対して足腰でどうやってずれを調整するかということが非常に重要なわけなので。あまり頭でっかちで足腰の筋肉がしっかりしていないというのはよろしくないと思いますけどもね。でも、使ってみたらいいんじゃないですかね。海外事業をやるのに、だって、何億やるために海外事業をやっているんじゃないじゃないですか。そんな金額だったら国内でやれという話でね。何十億でもないですよ。取りあえず、ASEANの小国で10億やりたい、20億やりたいという消費財メーカーだってあるのかもしれないけども、基本、そんなレベルの話だったら、日本国内の地方都市やれという話だから、やっぱり、「100億、1,000億やっていこう、将来的に」という話をしているのに、コンサル費用の数百万だか数千万だか分からないですけど、年間数千万のコンサルの費用にコスト意識みたいなことを言っていたら、それはちょっとなかなかたぶん勘定が合わないので、そういう話じゃないんじゃないかなという気が僕はするんですけど。これは僕の見方かな。メーカーの観点に立ってみると。
小林:でも、その1社員の方が、コンサルを使う、使わないって最終決断を出すのも上司と言うか、上の方ということですね。
森辺:でも、決裁金額によるんですよ。この質問者の役職が分からないから、何とも言えないですけど、自分の決済金額が、僕が100万円だったら、100万円でコンサル雇えないから、そうすると、やっぱ、上の決済権者とコンサルを会わせて、どうプレゼンさせるかだね。コンサルにどうその決済権を持っている人に納得させるだけのプレゼンテーションをさせるということをしないと、たぶん、駄目なので、そこはそうなんじゃないかな。今、僕が、じゃあ、メーカーの人間だったとして考えたときに、自分が本部長です、決裁権限年間1億円持っていますと。じゃあ、その1億円をどう使おうかって振り分けていて、3,000万ぐらいありますと。そうしたときに、コンサル使ってうちの海外事業をちょっと力を入れていこうとしたときに、単年で組まないから、じゃあ、3カ年とかで組んでいくわけだよね。自分のこの今の海外事業本部長が5年ぐらいはやるだろうと。じゃあ、5年の中でどうやろうかと。「会社の目標としては5年間でこれだけ数字やれ」と言われていると。そしたら、今の既存を伸ばすという意味でやりますと。一方で、その5年間の中で、どうこの海外事業部の基礎力をつけていこうかと思うときに、今いる人間を教育するのか、あと、海外に長けている人を中途採用するのか。もう、いずれかじゃない?
小林:はい。
森辺:そうすると、今いる人を教育するんだけど。じゃあ、誰が教育するの?という話になるわけだよね。学校じゃないからさ、♪ピンポンパンポーンと言って授業を始めるわけにはいかないわけだから。
小林:(笑)はい。
森辺:より粒度の細かい案件をガンガン、ガンガン、やっていって、学んでいくわけでしょう?
小林:はい。
森辺:そうしたときに、そういう意味でコンサルを使っていくというのは、全然ありだし、じゃあ、中途で採用してきた人がどれだけ定着するのかということも考えたり。
小林:そうですね。
森辺:あと、グローバル人材雇って、1,000万以下で大手の消費財メーカーでグローバル人事って来るのかな?と思うんだよね。分からないんだけど、その辺の相場が。
小林:そうですね。
森辺:ただ、グローバルをバンバンやれて1,000万以下で雇えるんだったら、僕が雇うよという話だからねそういうことじゃないと思うんだよね。値段が張ると思うんだよね。1回雇ったら首にできないわけだから、こっちから、会社はね。
小林:そうですね。
森辺:そう考えると、コンサルの費用のほうが全然安くて。だって、いやだったらすぐ解約できるわけだから。そうすると、うまく使ったらいいんじゃないかなというふうに思うんですけどね。
小林:はい。
森辺:でも、こんな質問を僕にしたら、「使え」って言うよね。(笑)
小林:(笑)
森辺:使うなとは絶対に言わないですよ。僕は、だって…。
小林:弊社がコンサルなので。
森辺:うん。信じているし、コンサルは価値があると信じているからね。でも、おっしゃっている意味はすごく分かります。悩みますよね、自分の会社で使ったことなくて、いきなり1,000万も2,000万も年間使うとかって言うと、だいぶ抵抗はありますよね。
小林:かしこまりました。じゃあ…。
森辺:頑張ってください!
小林:(笑)
森辺:うちは安いです。
小林:(笑)よろしくお願いいたします。じゃあ、森辺さん、ありがとうございます。
森辺:ありがとうございます。
小林:本日のPodcastはここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。