東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、引き続き、ベトナムの話をしたいと思うんですが、セールス機能、チャネルを構築するという観点で見ると、ディストリビューターがセールス機能を持っていないというところが1つ大きな市場の特徴ですと。
森辺:はい。
東:そうすると、ベトナムに現地法人をいきなり出したり、工場を建てて、●機能●(00:56)で営業を出されたりという企業は多いと思うんですけども、今までいろいろなケースを見てこられたと思うんですが、ベトナムでこういう罠に陥りがちだなというケースが森辺さんなりに何個かあると思うんですが、ちょっと社名とかいろいろ実例は言えないと思うんですが、こういうことあるよとか、こういうことに気をつけたほうがいいんじゃないの?というのをちょっと教えていただければと思うんですが。
森辺:なるほど。たぶん、一番大きいパターンは、消費財メーカーででしょう?
東:はい。
森辺:やっぱり、爆発的な人口増加によって将来の大国が予想されるベトナムにおいて、早くから出て、早期に進出をすることによって市場を席捲しようということで出ていくわけだよね。
東:はい。
森辺:中間層が重要だということで、少しプレミアムな商品を中間層、これからさらに所得が増える中間層に向かって販売していくんだということで行って始めるわけなんだけども。MTから始めていって、MTではそこそこ入ったんだけど、結局、TTになかなか入れなくて、現法を残すと賄えないんで、もう赤字垂れ流しで何年も経ちますみたいな。
東:うーん。
森辺:当初の予測としては、MT取りあえず先にやるじゃない?
東:はい。
森辺:MTやったら今度TTだということで入れるという算段を持っていたんだけども、なかなか入れないと。その間に第一陣の駐在員が帰任になり、第二陣が来て、引き続きやらされているものの、そこから知識のキャッチアップが始まって、何となく課題認識されたときにはまた帰任になるみたいなことを繰り返していて。なかなか、あれ、5年前と変わっていませんね、7年前と変わっていませんねみたいな状態が続いているというのが結構、大半の企業の●常項●(02:57)なんじゃないかなと思うんですけどね。
東:うーん。そうすると、やっぱり、MTにはある程度入れるけども、TTでやっぱセルアウトさせるところが1つ課題になるということなんですかね?
森辺:そうですね。TTに並べるところもそうだし、セルインさせるところもそうだし、セルアウトもそうですよね、日系企業の場合はね。
東:うんうん。
森辺:なので、ターゲティングと4Pの組み直しみたいなことがうまくできなくて。要は、相当、だって2,000店舗のMTと50万店のTTが存在する中で、相当チューニングしないといけないわけですよ、4Pをね。なのに、ターゲットがふらふらっとしているから、4Pがなかなか最適化されていなくて。4Pが最適化されていないと当然TTには入らないので、そこのジレンマにずっとそういう状態で、どうしているかと言うと、みんなベトナムでつくったりしているじゃないですか。
東:はいはい。
森辺:生産拠点として入っていたりという流れがあるからね。
東:そうですね。
森辺:そうすると、ベトナムでつくったものをタイに出したり、近隣諸国に出したりして、何とかベトナムの法人を維持しているみたいなね。
東:うーん。
森辺:だから、本社もそんなに熱が上がってないけど、ベトナム国内だけの市場、売上を見たときには、全くもってお話にならないという、そういう問題を抱えているところが結構多いんじゃないですかね。
東:ふーん。
森辺:みんな、工場は持っているでしょう、ベトナムはね。
東:そうですね。持ち合わせているところが多いですよね。
森辺:うん。輸出でやったってね、輸出でやったらTTはいけないという話じゃない?関税の問題でね。そうすると、やっぱりMTになりますと。MTだともう2,000店舗しかありませんと。そうすると、儲かりませんというのは見えているので、ベトナムを輸出でやるところってそんなにないと思うんですよ。
東:はいはい。
森辺:そうすると、やっぱり現産現販なんだけども、工場の稼働率は全然上がらなくて、結局、ベトナムじゃなくてタイに売っているとかね、マレーシアに輸出しているとか、そういう話になるんじゃないかなと思うんですけどね。
東:なるほど。一方で、成功している日系さんも、以前の対談、グローバルの流儀で対談したエースコックさんもその1つだと思うんですけど、そこってどういうことで成功している、要因というか。
森辺:エースコックは、まず市場参入からすごく時間をかけて、今のマーケットシェア50%まできていて。彼らはやっぱり、当時出たときが20年とか前でしょう、きっとね。そうすると、MTなんていう存在がないわけなので、基本的にはTTに売るしかないですと。むしろ、その辺のリアカー引いてる問屋のおっちゃんに売るみたいな、そういう時代から始まったって社長がおっしゃっていたからね。そういう時代からだから、本当に、何だろう、TTで売るしかないんですと。そしたらコストを下げて売るしかないんですと。コストを下げてつくるためにはこうやってつくるしかないんです、ということを本当に安心・安全を考えながら、たぶんコスト削減してきたんだと思うんだよね。
東:はいはい。
森辺:その中で、彼らは非常に美しいディストリビューション・ネットワークをつくり上げて、うちの調べだと250社ぐらい、たぶん、ディストリビューターがいるんですよね。工場は公開されていますけど、10工場ぐらい縦長にダーッとあるでしょう。
東:はい。
森辺:なので、その10工場があの1,500キロのいわゆる敷地、ベトナムのね、にうまくつくられていて、その10工場から250のディストリビューターにディストリビューションがされていて、商品が配荷されていると。
東:なるほど。
森辺:プラス、自社のセールスがたぶん、直接MTをやっているんじゃないかと思いますけどね。
東:はいはい。分かりました。じゃあ、ちょっと、今日も時間が迫ってきましたので、ここまでにしたいと思います。
森辺:はい。
東:引き続き、よろしくお願いします。
森辺:ありがとうございます。
東:今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございます。