東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、ちょっと前回途中で切れてしまったんですが、自社のお客様のチャネルの診断と競合のチャネルの調査というかたちで合わせてやることによって意味があるということっだったと思うんですけども、ちょっともう一回、簡単におさらいということと、それに何が得られて何がどう変わっていくのかというところを教えていただければと思うんですけれども。
森辺:輸出ではなくて、現地に法人があって工場があって、現地でつくって現地で販売をするというステージにいる、現産現販のステージにいる製造業さんのやるべきこと。多くの場合は、長年現法を出しているんだけど、なかなかシェアが上がらないと。そのために販売を強化したいんだということでお問い合わせをいただくケースがあるんですけども、ディストリビューターを増やしたらどうかとか、変えたらどうかとか、そういう話になるんだけども、そもそもそのディストリビューターを触る前に、まずやるべきことは自社の販売チャネルの診断をやりましょうというのが1つ目。もう1つが主要競合の販売チャネルの可視化をしっかりしましょうということをやりますよと。多くの企業さんが、自分たちのチャネルと競合のチャネルをぼんやりとしか分かっていないというケースが多くて、具体的には競合が何社のディストリビューターを使っていて、どのエリアにそれがいて、どういう規模のディストリビューターで何人ぐらいの専任とか非専任の営業マンがいて、日々どういう活動をしていて、どれぐらいのストアカバレッジを持っていて、とかっていうことを全く数字で語れない。自分たちのディストリビューション・チャネルも、例えば、それを10としたときに競合な何なのかとか、自分たちのチャネルのレベル感を数字で基準値を持っていないというケースが結構あって、それを見ないと、何をどう改善していく必要があるのかということが全く見えてこない。なので、まずその可視化をしましょうと。それをやっていくと、売上を上げるために本当に効率のいい最適なチャネルってどうあるべきなのかということが見えてくるわけですよね。ただ単に数を増やせば売上が上がるかと言ったら上がらないわけですよ。数とマネージメントって一対になっていたりするわけなので、ディストリビューターをどう管理育成するかみたいな話も関わってくる話ですし、数だけでもないという。そうすると、やっぱりどうあるべきだというあるべき論みたいなことを導き出さないといけなくて、それを導き出せるのは自社の既存の販売チャネルを診断することと、主要競合のチャネルを可視化することなんですね。それをやって、例えば、それをわれわれはフェーズ1とかでやるんですけども、フェーズ2以降に実際にディストリビューターと契約をして売上を上げてみたいなことをやっていくんですけども、その精度に関わっちゃうんですよ。だって、ちゃんと基準値を持って戦略的にチャネルをつくっていくのと、ただ穴が開いたところにパッチするみたいな感じでチャネルをつくっていくのだと、もう全然あれが違うじゃないですか、出来上がりがね。なので、イメージすると、設計図がないところにどんどん、どんどん、ブロックを積み上げていってお城をつくっていくのか、最終的につくりたいお城のイメージを明確にしてから逆算で1年1年建物をつくっていくのかの違いなんですよね。それをやっていけば、ディズニーランドのきれいなお城みたいなものができるけども、どういうお城をつくりたいかという設計図をつくらなかったら、出来上がったら気持ち悪いわけのわからない建物になる可能性もあるわけでしょう?
東:うんうん。
森辺:ちょっと例えが分かるかな?
東:(笑)
森辺:分かりにくい例えかもしれないけど。とにかく最初にビッグピクチャーを描こうよという、チャネルのね。「最終的にどうなりたいの?」「最終的にシェア30%獲りたいんです」と。「じゃあ、30%獲るために必要なチャネルってどうあるべきなの?」というところから、「じゃあ、まずは10%目指してここまでやろう」「15%目指してここまでやろう」ということをやらないといけないのに、とにかくつくってみて、つくってみたチャネルで結果として5%になったとか、6%になったとかというようなレベルのことをやっていたら、いつまで経っても競合には勝てない、シェアは伸びないじゃないですかということを申し上げている、というのがわれわれのやっていることですかね。
東:なかなか、そこって理解がされにくいかも。
森辺:うん。現場は理解しますよね。
東:そうですね。
森辺:うん。だから、役職が上になればなるほど、「そんな現場の細かいチャネルのどうのこうのって何年も前から出ているんだからできるでしょう?なんで売れないの?いいものつくっているのに」ぐらいの、たぶん感覚なので。現場は苦しんでいますよね。
東:なるほど。
森辺:そうね。
東:そこって、競合もただやっているわけではなくてチャネルは進化していくということも含めて、やっぱり明確に分からないといけないということなんですかね。
森辺:うん。競合のチャネルだって強弱しているし、責任者が誰になったかによって強くなったり弱くなったりしているわけなのでね。そもそも主要競合のチャネルのストラクチャーってどうなっているの?と、ストラクチャーというのは、いわゆる、何て言うんだろうな、アートワークというか、ストラクチャー、構造として見たときにどういうふうになっているのかという、要は何社のディストリビューターがどのエリアにどういうふうに点在していて、それがどういう機能を果たしているかみたいなね。そもそも、じゃあ、そのストラクチャーの中の1ディストリビューターを抜き取ったときにどういうようなディストリビューターを好んで集めているの?とか、やっぱり特徴があるわけじゃないですか。そういったところを見て、PGだったらPGの好むディストリビューターの特徴があるし、ネスレだったらネスレ、ユニリーバだったらリーバ、ジョンソンエンドジョンソンだったらジョンソンエンドジョンソンの好む特徴があるのでね。そういうものを見ていったときに「自分たちの競合はどういうところを好んでいるのか。なぜ好んでいるのか。あー、なるほどな」ということが見えてくるわけですよ。そしたら、「われわれもそれを取り込んでいこう」とかね、「いや、われわれは別の考えだからこうしよう」みたいな話になるので、そういうことをしたり。あと、すごい重要なのは、海外のディストリビューターは、「はい。任せておしまい。あとよろしくね」でものは売れないわけじゃないですか。そうすると、いかにマネージメントをどういう体制でやっているの?ってこと。ディストリビューターのマネージメント、小売のマネージメントどうしているの?みたいなところをしっかり見ていくと、参入戦略をつくったりするうえでのベストプラクティスになるわけですよね。そんなことをやる。というのは、そうですね、われわれは最初にフェーズ1と位置付けてそういうことをやると。「今さら?」とかって言われることもあるんですよ。「調査を今さらするの?」とか、「ディストリビューターと契約をまずやりたいんだよ」と。なんだけど、それはそれでやるんだったらやるで結構だけども、やっぱりそれをやっていないと。だって質問に答えられないんですからね。「競合が何社のディストリビューターを使っているの?」って、「いや、だいたい10社ぐらいだと思います」とか、「どういうところを使っているの?」「いや、そこまではちょっと分かりません」とかね。「競合のストアカバレッジって何店舗ぐらいあるんですか?」「いや、ちょっと全く分かりません」みたいな話だったら戦いようがないじゃないですか。
東:そうですね。
森辺:だって、競合が持っている武器が分からないんだから、戦いようがないよね。なので、それと一緒で。試合でもそうでしょう?サッカーの試合とかでも、敵のいわゆる作戦とか、野球でもそうですけど、チームメンバーとか全部調べるじゃないですか。11人だっけ、サッカーね。
東:はい。
森辺:そうだね。じゃあ、11人がディストリビューターだとしたら、どういうディストリビューターがどういうふうにいるのかって全部見ないと、それは試合に勝てないのでね。売上つくるのはディストリビューターですから、そこをしっかり見ていくということをやるというのがフェーズ1かな。
東:分かりました。じゃあ、森辺さん、今日も時間が来てしまったので、ここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。