東:こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺:こんにちは、森辺一樹です。
東:最終回ですけど、内山社長をお迎えして今日はどういうお話を。
内山:もう最終回なのですか?
森辺:内山さん、すみません。ゲストは4回ということになっておりますので、またお呼び致しますのでよろしくお願いします。
内山:来るかな、そういう時が。
森辺:今日は前回戦略と戦術みたいな話しをしていたと思うのですけど、あまりエリアを広げると話がこんがらがるので、中国というところでお話をしましょう。戦略を持てというと、何となく分かるのだけど具体的に戦略というのは何よというところで、僕は自社のことと市場環境と競争環境、流通環境を全部開いてそこからどうやって販路を築くことを組み立てるのかということをひたすらやっていくということを僕は戦略だと思っているのです。では、それを実行ベースに落していくとどんどん戦術になっていくではないですか。すごくいろいろなことが中国は起きますよね。その戦術の先にはさらに実行のところにずっとつながっていて、この辺の実行のところでなかなか日本企業は、戦略は何となく作り方は分かったと。作ってみようと作れたとしても、その戦術のところというのはなかなか、やるやらないは別にして対応力がどうしても追い付かないという気がするのですけど、その辺はどうですかね?ずっとあった文化を理解する必要がある、言語を理解する必要があるというふうにお話をされていましたけど、やはりそれがあるとある程度はいける?
内山:そうです。あともう1つ重要なのが広告戦略だと思うのです。中国、これどっちをターゲットにお話しするかというところで、僕がまたここに出席させていただく回数も変わるかもしれませんけど、BtoCとBtoB。前回はBtoBに触れたので今回はBtoCについてお話しすると、欲しいものの趣向とあとその自社の製品というのが、売りたい製品だとか。それがどれだけ目立つのか。自分がそれを持っていて、中国人はメンツなので、それを持つということが自慢できたりとか、それを持って自分が人よりも少しリッチな気持ちになれるというのをみんなにも認めてもらえるかどうか的な物がすごく重要なのです。それって何かというと、やはり本当に物がよくてそれを使っていると良くなるというものと、逆にメディア戦略をすごく投資をして、あれはあそこにたくさん出ているものだからということで安心をさせていく戦略。もう1つは本当に口コミ。この層しか使わないだろうみたいな。あの人が使っているから私も使う的な口コミ戦略というところがやはり大きく左右されるところだと思うのです。マーケティングの中で広告戦略の形になると、日本で想像している以上の広告投資金額がかかります。ですから、中国は物価も安いだろうから広告が安いだろう。そんなことはないです。多分日本のイメージしている2倍から3倍。もしくは、中途半端な広告では意味がないので、本当に勝負をかけるならいいところにドカーンと置いてやると日本では考えられない金額がかかる。
森辺:ネット広告だってベンツでも売らないと割に合わないのではないかというぐらい広告費とりますものね。
内山:そうです。最近はそれに加えて、すごくかかるからもっと口コミ戦略とか良い物だということを広めることをやると、ウェイボーとかウェイシーといういわゆるマイクロブログとか日本で言われている日本のLINEの中国版みたいなサービスで、みんな情報をとり合って、そこからインフォーマーサイトから買うような仕組みというのを結構作っています。かわいらしいものとか、本当にちょっと日本とは嗜好が違うので。嗜好を見極めるために無料でサンプルをドカーンと配るとかそういうことをやっているのです。だから本気で勝負をするとなると、本気の投資が必要になるというのが中国市場です。そういう意味で難しいということです。
森辺:結局本気で、僕はいつも思うのですけど、中国は13億人のマーケットを面取り、全取りしようというのは、僕は思わなくて良いと思っていて。それをするのは恐らく超一流企業、一部上場の超大手。ここは多分2割とらないと駄目、3割とらないと駄目と。そういう話ではないですか。度合いを考えても。けど、そうではない企業さんは全部取る必要がないわけです。13億の内の。そう考えるとやはりエリアをフォーカスしていくのか、流通をフォーカスするのか、業界をフォーカスするのか、多分何かもっともっとデカイ中国をギューっと縮めて攻めていくということも全然ありだと思うのです。
内山:中国はそういう意味だと北京に行ってどこかのそこを落せば一気に広がるのではないかという、日本と対中国ビジネスにおける都市伝説があるのですけど、そんなのはないのです。なぜなら、中国というのは共産党政権だからみなさん共産党幹部がこの省に分かれていているわけです。そこに対して横で実績をあげた人たちが上に上がれる仕組みなので、みんな競争し合っているわけなのです。各省。ということを考えると、勝負はまず都市でやるべきなのです。その中でも日本製品が売れる、または自社の製品が売れるという調査をぜひ、してくださいと。それは森辺さんに頼むでもいいからしてもらって、売れる可能性があるその都市と価格設定を見極めてからそこを集中的に攻める。そこを攻めたら口コミで広がる可能性というのを重点的に考えるべきだと思います。攻めるのは本当に沿岸部からせめて欲しいなというふうに思います。内陸部からという手ももちろんあります。ですけれども、内陸部はやはりちょっと分からない人にとっては腕がいい。それなら本当に人も多くて何とか落ち着いている上海、大連、そういったところからまず攻めてみられるのはいかがかと。後悔の部分も高いし。
森辺:そうですよね。確かに。だからフォーカスですよね、重要なのは。
内山:フォーカスです。今、本当にざっくり申し上げて、大変失礼な気持ちに僕もなっているのです。なぜなら中国ビジネスはこうだということを言い切れないのです。
森辺:言い切れないでしょうね。
内山:広過ぎて。なので、本当にそのターゲット、その製品に合わせてそれを本当にいけるのかといういわゆる調査、分析というのが必要になるのです。
森辺:だから僕、内山さんのこと好きなのです。内山さん、お詳しいのに自分が言い切れないと言うではないですか。結構中国はこうだ、僕は全部知っているという人もいますよね、いっぱい。けど、そんなわけなくて、僕も分からないし。だからやはりその考え方は非常に良いと思います。言い切れないわけですよね。だから戦略を作っていかないといけないし、戦術を作っていかないといけないし、全部をこう準備をしっかりした上でやっていかないと、魚群のように出ていっても、神風特攻隊のように出ていってもやられて、お金を落して帰ってくるだけですよということなわけですよね。
内山:本当によく考えてもらいたいのは、少なくとも僕は中国のことをよく知っているし、専門家の内の1人と言われる存在だと自慢すれば、そういう言い方をすればそう言えます。ただし、この僕でさえ怖いのです。対中ビジネスに関しては。それはやるときに、自分も失敗していますから。それは慎重にやる。慎重になって本当に考えてやるという、今フェーズなのです。ちょっと10年前の対中ビジネス投資とは違うのです。だから今それほど混沌として何やっても成功するというところから、こう戦略を練ってからでないと成功しない。そういうふうに変わってきている。それはやはり認識すべきだし、僕らみたいな中国のことをよく知っていると言われている部類の人間をもう10年前の情報を出しているわけではなくて、最新の情報をどれだけ拾って聞いていただいている皆様にこうなのだとお伝えできる、そういうやはり真摯さとかは必要だなというのは改めて感じます。
森辺:では、あれですかね。内山さん、中国市場はこれからも日本企業はさらに投資をしていくべきだと。そのやり方は別にして。
内山:みなさんもう投資しているでしょ。それは今投資してくれと言って、何やっているのだと言われるからあれですけど、中国で働く仲間は粛々とこの間にも戦略を練って業績を上げて着実に変化をしていく。それはわれわれが気付かないのか、メディアが放映しないのか。中国で成功しているとかと言ってもしょうがないかもしれないからと。そういうメディアに流されるような自分たちではなくて、ちゃんと実質的にそれを見てどうなっているのかを考えていくと、僕は、着実に進化はしていると思います。ですから、投資すべきかしないべきかではなくて、やるべきかやらないべきかと考えたときに、日本はもっと中国で稼げる。それだけは断言できる。今のやり方をちょっと変えれば、もっと稼げる。それは逆に言うと、増税なんてする必要はないのかもしれない。海外で稼いで、これだけ円安だったらもっと稼げる。税収を企業の税収からとれと、個人からとるなと言いたいですけど。
森辺:企業経営側からしたら、企業からとってもらっては困りますけど。なるほど。そうでしょうね。これだけ今まで10年、20年中国に投資をし続けて痛い目にも遭ってきているわけですからね。ここから稼がないで何をするのだと。
内山:あと、中国は逆に言うとすごく力も付けているのです。もうそのうちに日本も必要としなくなるぐらい技術の抽出も終わってきて、社会インフラも整備されてくる。国という体系がまとまらなかったものが、国としてまとまろうと努力をしている。今日本が絶対必要だろうと日本人は思っていると思うのだけど、それが、タイミングが遅れたりすると別に日本に頼らなくてもよくなるのです。だから僕はそういう意味で、先手を打って今まだ困っている段階のときにちゃんと手をつないでおくと。そこでちゃんとビジネスとして成り立たせると。そういう政治も運営しないといけないし、経済も運営しないといけないし、経営者もでていかないといけない。それをやっておけばあの人口13億人、14億人というものは必ずこの日本の良い製品を欲しくなるはずだし、ビジネスとしてもうまくいくはずなのです。だから本当に最終チャンス。今どう考えるか最終チャンスだと僕は思うのです。
森辺:確かにそうですね。そんなに残された時間がないですものね。
内山:ない。あまりない。それをもっと感じてほしい。彼らは頭がいい、本当に。
森辺:日本でも中国のエリートが来ているではないですか、結構。その人たちは英語も話してもちろん日本語も話して、外資系の金融の会社であったり、会計監査法人なんかに結構いて。日本の中でも結構コミュニティーを作っていますけど、やはりああいうグローバルな感覚を持っている、僕らがそのメインランド中国で会わないような中国人を、中国のドメスティックを叩き上げでグワーっと上がってきた中国のエリートと、いわゆる北京大エリートと。アメリカで教育を受けてきている中国エリートと2タイプいるではないですか。僕これはどっちもすごいなと思って。会ってお話をしていると、怖いぐらいになってしまうのです。あまりのエリートぶりに。
内山:違いがすごいでしょ。例えばイメージをしていて、テレビに映っていて。ベランダから物干し竿がバーンと出ていて、中国では外で洗濯物を干しているのだみたいなイメージとしてある、そういう雰囲気は全くないです。だからスーパーエリートさんたちだし、それなりに社会インフラ、それなりにお金も持っている。
森辺:そういう人たちに接する機会というのはそんなに多くないではないですか。どちらかというと汚い中国に行って、ワーワーと言っている中国人を見てこれが中国人だと思っているけど、実はそんなの大間違いでものすごくエリート層というのはものすごくたくさんいるではないですか。
内山:いますよね。そこは全然違うと思います。
森辺:違いますよね。だからああいうのを見ているとどうなのだろうなと。日本は大丈夫なのかなと思ってしまうのです。
内山:あと逆に、皆さんがどれくらい気づいているか分からないですけど、中国から日本に旅行に来られている方はすごくたくさんいるのです。この前の記事でやっと1,000万人超えましたみたいな報告がありましたけれども、そのうち中華圏から来ている人。特に台湾から来ている人は台湾なんか200万人超えているのです。1位が韓国、2位が中国・台湾みたいなそういうイメージだと思うのですけど、これは着実に接する機会が増えている。これは日本においてもビジネスも小売。日本に来て物を買う。外国の中国人が来て。彼らに対してもっと物を売るためにどういうおもてなしをしていくかというのかも分析しながらやるともっともっと稼げるところが来るのです。
森辺:この間、やまとごころの村山社長をお呼びしてインバウンドビジネスとアウトバウンドのビジネスとがリンクしているというお話をしたのですけど、まさにそうです。東京オリンピックまでは確実に観光客は伸びるでしょうし。
内山:中国の方は不動産大好きです。
森辺:多いですよね、銀座とかの不動産は。
内山:どれくらいが気付いているか分からないけど、本当に中国の方は不動産買いまくっていますからね。ワンラウンド(15:50)とか、あの辺とかも周り、僕もその辺住んでいますけど、中国の方が多いですからね。中国の方が多いって、うちにいました。
森辺:親戚だっていろいろ。
内山:毛嫌いするのではなくて、共存していって嫁もこの前言っていたのです。中国人と日本人がめちゃくちゃ仲良くなることはないと。ないのです。だから、仲良くしようなんて思わずに、まずは夫婦(めおと)の関係とか言っていましたけど、それはうちが仲悪いみたいな。話しまして。日本と中国は夫婦、いわゆる夫婦の関係で良いのではないかと。夫婦は別に住んでいるときもあるので。だけれども絆では結ばれていて生活にはできているので、でも分かれていて、お互いけんかをするときもあるけどしょうがないよね、みたいな。そういうもっとビジネスライクの考え方。お互い協力して稼げるところは稼ごうよと。自分たちは自分たちでいいじゃんと。そういうことができるような環境を作って上げたら
と思います。
森辺:結構日本の経営者でも、年配の方は中国嫌いの方が多いですからね。
内山:多分、僕らも逆に中国というところが、新しい中国しか知らなくて、昔のところは知らないと思うのですけど、でも逆に言うと僕らは新しい中国を知っていて新しい中国がこれからの物を買ってくれる、対象者になってくると思うのです。だからこそ、若い者としては若いものなりのマーケティング戦略。そしてこういうところは危ないよと教えてくれる年配方の中国感。それはやはりわれわれビジネスをやるものとしては大切にしつつ、その中で情報を得てイノベーションも出していくと。そうすれば必ず中国ビジネスはうまくいく。
森辺:素晴らしい締めくくりで、内山さんありがとうございます。
内山:もう終わりですか?
森辺:少々時間が来てしまいました。もし何か最後にリスナーのみなさんにメッセージでもあれば。
内山:僕は本当に日本と中国がビジネスとしてうまくいけば、何か新しいものが見えると思っていて、それが何のか正直分からないです。だけれどももったいないと思って。この日本の技術、日本はもっと中国で売って稼げる。そのためには僕ができることはみなさんにちょっとだけ中国語を勉強いただけるようなサービスを提供する。
森辺:超速中国語。
内山:超速中国語をぜひ使ってみてください。
森辺:ありがとうございました、内山さん。
内山:ありがとうございました。