東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、この間の講演会で、ある…、クローズドなので名前は伏せておきますけども、結構、どこに行っても今、中国メーカーの台頭が激しくて、自分たちの単価が100円だったり500円だったり、いろいろとすると思うので、数百円で売っているものを、中国メーカーだったり、国に行けば現地のローカルメーカーが10円とか数十円で売っているみたいな、10分の1で売っているようなものを、その競合に対してどうすればいいのかみたいな、というような質問があったと思うんですが。社名も商品も伏せておきますけども、一般的に、これは自動車でもたぶん言えるし、たぶん普通の機械系でも言えるし、FMCGでも言えると思うんですけど、どっちに寄せたらいいのかなというような話だと思うんですが。その辺って、ものによりけりだと思うんですが、どう思いますかねっていう。
森辺:そうですよね。えっとね…、そう、セミナーやったんですよ。5月に、コロナ禍の中でリアルのセミナーをやったんですよ。呼ばれて行ったんですけど、「本当にやるんですか!?」って言って行ってね。マスク着用で初めてしゃべったんだけど、まあ、大変だよね、息苦しくてね。
東:(笑)
森辺:死にそうで、マスク本当に外したかったんだけど、言ったら、2メートル先ぐらいに人がいて、座ってて、僕、立ってるじゃない?
東:はい。
森辺:マスク外したら、絶対この人たち嫌だよなと思って、頑張ってマスクしてやってたんですよ。その会を主宰している人は、もうマスクなんかしてないんだけどね。
東:(笑)
森辺:なんだけど、僕はマスクをしてやったんだけど。
東:はい。
森辺:その講演会で確かに質問がありましたと。もう少し詳しく言うと、結局、ローカル品が数十円で売られていて、自分たちの商品が100円か150円か何かしていますと。そんな中で、100円150円、要は、ローカル品とか中国品が数十円で売られているということは、それがベースなわけですよ、中間層にとってみたら。自分たちは、一方で、100円とか150円ぐらいの値段にどうしてもなっちゃうと、輸出なのでね。
東:うんうん。
森辺:そうしていると、あれが伸びないじゃないですか、シェアがね。
東:そうですね。
森辺:うん。だから、どうしたらいいんだ?という、そういうご相談なんですけど。これね、どの領域にも言えるんですよ。例えば、飴でもいいし、ガムでもいいし、ペンでもいいし、スナックでもいいし、何でも言えちゃうんですよ、ローカルでつくっているものとか中国企業がつくったもの、これはB2Bもそうですよね。
東:うんうん。
森辺:よく分からないですけど、今こうして使っているマイクとかね。
東:そうですね。
森辺:あと、ケーブルとかね、この何か、この何、変換機みたいなやつ。
東:はいはい。
森辺:こういうものでも何でもそうなんだけども、多くの日本企業は品質が素晴らしくよくて、いいものをつくっています。ただ、中国系が安く出してくるので、アジアに行っても欧米に行っても困りますと。昔は、「安かろう悪かろう」だったので、明らかな品質の差があったので、ぶっちゃけ、勝てましたよと。お客さん、仮に中国製を買ったとしても、すぐに、その…。
東:違いが分かるって。
森辺:違いが分かるという。今って、違いは分からないわけですよね。昔は見て分かったのが、今、見ても分からないと。じゃあ、使って分かるのかと言ったら、使っても分からないんだよね。で、どうするのかという話なんだけど、答えはね…、ドリームプロダクトをつくり出すしかないんですよね。ドリームプロダクトってどういうものかと言うと、いわゆる目で見て分かるようなものをイノベーションで生み出して売っていかないと、もう何倍とか、さっき言ったように、下手したら10倍の差なんてもう無理じゃないですか。買ってもらえないに決まっているじゃないですか。だから、やっぱりそこに付加価値をつけるっていうことをやっていかないといけなくて。どういう付加価値かということはすごい重要なんですけど、例えば、食品だと、いや、こっちのほうが原材料がいいから栄養価が高いですとかね、何とかですと言うんだったら、やっぱりそれを思い切りプロモーションで訴求しないと、そんなの消費者に伝わらないですよね。だって、ただ並べていてね、パッケージに「ビタミンC入り」って書いて貼っていて、そんなビタミンCなんて気にしてないですよ、新興国の人ね。栄養価なんて気にしてないですよ。口では「ヘルスが大切だ」と、「健康第一」とかって言ってるけども、日々の生活の中で、そんな気にするかって、気にしないじゃないですか。ペンだって、そうですよ。昔の中国製のペンは、確かにインク漏れしたんですよ。僕、シャツが赤くなっちゃったりとか、手が黒くなっちゃったりとか、よくありました。けど、今、インク漏れなんかしないじゃないですか。
東:はい。
森辺:そうすると、書けりゃあいいという話でね。昔みたいに書くことが中心じゃなかったわけですよ。今って、タイプすること、ということになってくると、ペンの必要性が昔以上に絶対に少なくなっている。
東:そうですね。
森辺:そう考えたときに、いや、モンブランのようなブランドペンを売るんだって言うんだったら、もう高く売ったらいいと思いますよ。それこそ、桁が2桁と3桁違うペンを売るわけじゃないですか。
東:うんうん。
森辺:そうじゃないんだとすると、やっぱりマスを相手にしないと、ペンもチョコも、さっき言った食品も、基本的にはビジネスになり得ないわけじゃないですか。数売らないとね。だとすると、僕は、値段を下げざるを得ないんじゃないですかと。付加価値が生めない、目に見える付加価値が生めないんだったら、コモディティ化して、そこの勝負で勝つしかないですよ。
東:うんうん。
森辺:中途半端に150円で売っていると、数が稼げないので、いずれ厳しくなるというところだと思うんですよね。
東:はいはいはい。
森辺:ポイントは、この「いずれ厳しくなる」なので、その「いずれ」が来るまで、たぶん変われない企業がほとんどなんじゃないかなと思うんですけどね。
東:なるほど。
森辺:ちょっと、回答が長い?
東:(笑)なので、ちょっと次回も続きをやりましょうか。今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。